
向田邦子のオリジナルのテレビドラマ版に比べて70年代を表現するのにあたって、ディテールの意識的な再現が細かい。
広瀬すずと同棲しているボクサーの本棚に「風と木の詩」「ローティーンブルース」の単行本が並んでいたり、「あしたのジョー」の単行本を尾野真千子の息子が読んでいるといった具合。
オリジナルの製作時には時代色の再現という意識は働かなかっただろう。
灰皿が至る所に置かれているとか、新聞(宅配の!)の挿絵の絵柄、東京の電話番号の03の後が今みたいに四桁でなく三桁になっているのが芸が細かい。
本木雅弘が浮気相手と間違えて家の電話にかけてしまって浮気がバレるなど、携帯が普及した今ではありそうにない。
四姉妹の名前に綱子・巻子・滝子・咲子と~子とつくのが、昭和だなあと思う。
乾いてヒビが入ったた餅を見て母親のかかとを思いだすって、アカギレ自体がほぼ見られなくなった今では遠くなった感覚だろう。
向田邦子のエッセイでもこういう当時でもやや古い感じのする言葉をよく使っていた。
四人姉妹というのは「若草物語」から「細雪」からキャラクターを取りそろえるのに便利な設定なのか。
是枝裕和監督とすると「海街diary」に続く四姉妹ものだが、広瀬すずだけだぶっている。