2012年で初代5000形が運用を終了し、8000形は1969年から採用のアイボリーホワイトにロイヤルブルーの帯を纏う最後の形式にして最古参車両になりました。2002年から車体更新工事が施工されており、在籍する160両全車に施工されました。一番最初に更新を受けた8251F・8255Fは走行機器を界磁チョッパ制御のまま存置していましたが2003年度の更新車から走行機器を当時最新形式だった3000形3次車並みの性能にすべく、同型式と同様のVVVFインバータ制御方式に改造する工事が8254Fを皮切りに開始され一連の改造・更新工事は年度毎にグレードアップし工事は2013年まで続いた為、結果として複数のバリエーションが生まれています。更新工事完了後は160両全車が安定して活躍していましたが、2019年6月19日に発生した踏切事故で8264Fが被災し、復旧しないまま2020年4月に初の廃車になってしまいました。今後は2代目5000形の増備で、6両2編成のみの界磁チョッパ制御車から徐々に置き換えられると思われます。
急行線を快走する8260F+8060Fによる10両編成。8260F6両は2007年に更新改造を施工されており、フルカラーLEDによる行先表示などを採用する一方、ブランドマークが制定される以前だった為、車体のOERロゴが存置されています(2008年からの施工編成では撤去)。また、行先表示は当初3色LEDを採用している編成と同様に明朝体でしたが、はね・はらいの表現があると文字の形態を認識しにくくなる視覚障害者に配慮してか2012年にゴシック体に改修されています。
VVVF化改造後は、車両番号の末尾を揃えて8000形同士の10両編成を組むのが主流ですが、検査周期の違いや走行距離調整などから別々に運用されることもあり、写真は多摩線各停運用に単独で充当されている8256Fです。比較的初期に更新を受けたため、正面・側面は3色LEDを採用しており2018年のダイヤ改正時に表示内容を改修しましたが、明朝体の文字は踏襲されました。増設された2段電連と改造されたスカート周りが物々しい雰囲気ですね。
10両編成組成時に見られる先頭車同士が向き合う連結部。通勤車に於いても分割併合が頻繁に行われていた当時、6両編成は他形式と組む姿も見られましたが、現在は8000形4両以外と10両を組む事は無くなりました。
登場時はエメラルドグリーンの化粧板にダークブルーの座席モケットと、小田急通勤車で主流だった寒色系の車内でしたが、更新に際しては化粧板を白系とし座席は赤のバケットシートに改めた為、大幅に明るい印象になった車内。サービス面でもLEDによる車内案内表示や自動放送装置の新設で格段にグレードアップしました。
現在は2代目5000形の増備が始まったものの置き換えの対象になっているのは界磁チョッパ制御の6両2編成と1000形ワイドドア車の為、急速に姿を消して行くことは当面無さそうですが、車両増備と廃車の計画に変更があったようで8000形より先に1000形の1081Fが廃車になる衝撃の展開を見せたため、今後は増備だけでなく在来各形式の動きに注意を払うと共に、VVVFの8000形も来たら取り敢えず撮るくらいの気構えでいた方が良いかも知れません。