NEST OF BLUESMANIA

ミュージシャンMACが書く音楽ブログ「NEST OF BLUESMANIA」です。

音曲日誌「一日一曲」#136 タンパ・レッド「So far, So Good」(Great Piano/Guitar Duo 1941-1946/EPM)

2023-08-15 05:00:00 | Weblog
2010年8月29日(日)

#136 タンパ・レッド「So far, So Good」(Great Piano/Guitar Duo 1941-1946/EPM)





1930年代~40年代に活躍したシンガー/スライド・ギタリスト、タンパ・レッドとビッグ・メイシオ(p)の共演盤より。タンパ・レッドの作品。

タンパ・レッドは本名ハドスン・ウィテイカー。1904年、ジョージア州スミスヴィルに生まれる。

幼少期をフロリダ州タンパにて過ごし、髪が赤毛だったことからこのニックネームになったという。

彼が24才となった1928年にシンガー/ピアニスト、ジョージア・トムとのコンビで「It's Tight Like That」を大ヒットさせ、その名が広く知られるようになる。

レガシー、ヴィクター、ブルーバードなどのレーベルで、精力的にレコーディング。戦前だけでも200曲以上を録ったそうだ。

きょうの一曲「So far, So Good」は、41年以来シカゴで知り合い、生涯の盟友となるビッグ・メイシオとのコンビでの録音。

彼らの代表的ヒット「Worried Life Blues」とはだいぶん趣きの違った、明るい雰囲気のブルースだ。

やはりこれは、歌を担当したタンパ・レッドの、相方の重厚な歌声とは対照的な、非常に軽い歌い口によるところ大だろうな。

もし同じ曲をビッグ・メイシオが歌っていたら、かなりイメージが違っていたはずだ。

そのあたりがいかにもブルースなのだと思う。歌い手の個性がモロに反映され、同じメロディ、節回しでも陽性のブルースになったり、陰性のブルースになったりする。

いわゆる技巧を感じさせない素朴な歌声なのだが、よーく聴き込めば決してヘタではない。非常に個性的なタイプのシンガーだと思う、タンパ・レッドは。

さりげなく挟まれるスライド・ギターのソロ、そしてカズーのユーモラスな演奏もいい感じだ。

「ギターの魔術師」とよばれたその腕前は、代表曲「Black Angel Blues」あたりを中心に、ロバート・ナイトホーク、アール・フッカーといった後進のスライド・ギタリストたちに多大な影響を与えている。

スライド・ギタリストではないが、B・B・キングもタンパ・レッドのような流麗なギターが弾きたくて、あのスクウィ-ズ奏法を編み出したとか。

そういう意味で、20世紀ポピュラー・ミュージックにおいて、きわめて重要なアーティストだっだといっていい。

歌のほうは、まあご愛嬌なんだが、聴けば聴くほどそのよさがわかってくるような、独特の味わいがある。歴史的な名演、ぜひチェックしてみてほしい。

母屋はこちらです。


最新の画像もっと見る