2010年9月25日(土)
#140 バッド・カンパニー「Young Blood」(Run with the Pack/Swan Song)
#140 バッド・カンパニー「Young Blood」(Run with the Pack/Swan Song)
バッド・カンパニー、76年リリースのサード・アルバムより。リーバー、ストーラー、ポーマスの共作。
バドカンは73年の結成以来、何度かの休止期をはさみながらも、いまだに活動を継続している息の長いイギリスのバンド。
とはいえ、全盛期はやはり、第一期といわれる73年~82年、ポール・ロジャースが脱退するまでの約10年だろうな。
レッド・ツェッペリンを擁するレーベル、スワン・ソングよりデビュー。メンバー4人ともすでにプロとして十分なキャリアをもっていただけに、いきなりトップ・バンドの座へと躍り出た。
イギリス出身のバンドながら、ブルース、R&Bを主軸とするアメリカン・ミュージックを強く意識したそのサウンドで、本国よりむしろアメリカでブレイク。ZEPに続いて、70年代ロックの覇者となったのである。
とまあ教科書的な知識はこのへんにしておいて、バドカンの魅力、そしてブレイクの秘密はやはりポール・ロジャースの歌だと思う、なんといっても。
その男くさい容姿に負けず劣らず、男くさ~い歌声。いわば声のマッチョ。これが、エルビス以来線の太いソロ・シンガーを求め続けてきたアメリカのリスナーに、大ウケしたといっていい。
きょう聴いていただく「Young Blood」は、もともと57年に黒人ドゥワップ・グループのザ・コースターズがヒットさせたナンバー。
ロックンロールのソングライターとして最も成功した二人、リーバー=ストーラーのコンビに、モート・シューマンとのコンビで数々の名曲をものしたドク・ポーマスが加わって書かれた。この3人で作れば、ハズレなんてありえない。いわば、最強のR&Bチューン。
その名曲を約20年ぶりに甦らせたバドカン・バージョンは、とにかくノーギミック、ストレートなバンドサウンドに、コースターズよりさらに男くささ50%増量のボーカルが乗り、完璧な出来ばえ。
これを聴いて体中の血が騒がないようなヤツは、若者にあらず。こう断言して間違いない。
バドカンではあまり使われないピアノが、この曲では非常に重要なアクセントになっている。タイトなリズムを見事にキープし、かつヤマ場を作り出しているのだ。永久不滅のロックンロール・サウンドとは、まさにこれ也。
先日も当欄で書いたことだが、ロックンロールとは、軽くてしかも重い音楽。バドカンはそれをパーフェクトに体現している。
曲よし、パフォーマンスよし。20世紀の音楽資産として末永く聴き続けてほしい、そんな一曲であります。