マーリンの美味しい生活

ストレス解消は観劇と食べ歩き。

湊かなえ「花の鎖」

2013年06月28日 | 
とても読みやすくてあっという間に読んでしまいました。

別々の話だと思って読んでいたのが、途中であれ?もしかして??・・・読み進むうちに過去と現在が鎖で繋がれているように意味を持っていることに気づいた時、なんとも言えない温かな感動がこみ上げて来ました。

こういう湊作品もいいですね。

先日、NHKのドラマ10で始まった「激流」も謎めいていて面白かったです。次回が楽しみ。

柴田よしきさんの原作を読んでみようかなと思っておりまする。

東京芸術大学美術館 「漱石の美術世界展」

2013年06月28日 | 美術館・展覧会


漱石の小説というと子供の頃に読んだ「吾輩は猫である」「坊ちゃん」「こころ」。

ところが、確かに読んだはずなのに、小説の中にこんなにも多くの美術に関する記述があったなんて全然覚えてなかった。完璧にスルーしてたんですね。美術的な知識もなかったから、ただストーリーを追うだけだったんでしょう。

そんな私には、目からうろこのこの美術展。とても興味深かったです。

吾輩は猫であるのアールヌーボー調の装丁の表紙も素敵だったし。

彼の作品に登場するターナー、酒井抱一、横山大観、伊藤若冲などの作品は見応えがありましたが、一番面白かったのは漱石が同時代の画家を評した言葉でした。

かなりの辛口コメントで。

良し悪しよりは好き嫌いという感情に流されるタイプとみました。

気持ち悪いとか汚らしいとかどこがいいのかわからない・・・といったコメントが並んでいて。

まあ確かに「駄作だな~」とシロウトの私にも思える絵でしたけど。

最後に漱石自身が描いた画が展示されていたのですが、お世辞にも上手いとは言えないものでした。

自分では大層良く描けたと思っていたそうですが、あれほど辛辣に人の絵を批評しておいて自分には甘いんだから~と可笑しかったです。ちょっと子どもじみたところがあった人なのかも。

それにしても当時これだけ美術に造詣が深かった人はそうそういなかったでしょうから、感心します。

子供の時に読んだことがある本でも、大人になり色々経験を積んでから読みかえすとまた違った見方ができるかもしれませんね。

この美術展を観た後、漱石の本をもう一度読み返してみたくなりました。

ターナーの松やロンドン塔の王子たちや人魚などの絵を思い出しながら。