解説: 『ポテチ』の中村義洋がメガホンを取り、『舞妓 Haaaan!!!』の阿部サダヲと『ジーン・ワルツ』の菅野美穂が夫婦を演じた感動作。石川拓治原作のノンフィクションを基に、夢物語だといわれていたリンゴの無農薬栽培を成し遂げた農家の苦難の道のりを映し出す。笹野高史や伊武雅刀、原田美枝子や山崎努らベテラン俳優たちが豪華共演。実話をベースに描かれる、地道な研究から奇跡を成し遂げた家族の波瀾(はらん)万丈の生きざまに感極まる。(シネマトゥデイより)
あらすじ: 1975年、秋則(阿部サダヲ)は青森県弘前市で妻の美栄子(菅野美穂)と共にリンゴを栽培していた。彼は、年に十数回にわたり散布する農薬が原因で皮膚に異常をきたしてしまい、寝込むこともある妻の体を心配して無農薬でリンゴを育てることを心に誓う。だが、農薬を使わないリンゴ栽培はその当時「神の領域」ともいわれ、実現するのは絶対無理だと思われており……。(シネマトゥデイより)
妻が前から見たいと言っていたので、平日だが夕食後に近くの映画館まで見に行ってきた。予告編やテレビ、ラジオの紹介でだいたいの内容は知っていたので、ストーリーについて意外性はない。しかし、結末の予想がついたものの、感動して泣けるという点では見に行ってよかった。
阿部サダヲが主演となると、大げさでコミカルな演技が予想されたが、この映画ではかなり抑えた演技でストーリーに真実味が持てた。また、この手の映画は、脇役陣の演技力に依るところが大きい。オヤジの山崎務の重厚さや子役の3人の娘たちの存在は大きい。りんご栽培がうまくいかなくなって、秋則がもうやめると言い出した時、長女の雛子の言った「やめたら何のために私はこんな貧乏してるの!絶対やだ!」にはグッとくる。まさにこのシーンは、泣かせる場面だ。監督の思惑通り泣けてしまった。
そして、一番光っていたのは妻役の菅野美穂だろう。ツンとしたちょっと生意気な美女というイメージがある菅野美穂だが、この映画では、家族を顧みない夫をやさしく見守る妻の役を上手に演じていた。家を飛び出し、いなくなった夫と再開するシーンの笑顔がたまらなく可愛い。女優として十分なキャリアを持っている彼女ではあるが、結婚して円熟味が増してきたような気がする。
この映画を見て無農薬でりんごを栽培するというのが、いかに大変かということがよく分かった。この映画は実話であり「奇跡のりんご」は実際に販売されているそうだが、入手するのは大変らしい。無農薬で収穫できるようになるまで10年以上かかったのだから、大量には作れないのだろう。りんごは大好きだが、いったいこの「奇跡のりんご」は、どんな味がするのだろうか。