![]() | イニシエーション・ラブ (文春文庫) |
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文藝春秋 |
図書館で大分前に予約してあった『イニシエーション・ラブ』がやっと順番となり、一日で読み終えた。内容は、1980年代後半の静岡市と東京を舞台に男女の出会いと別れを描いたもので、Side-AとSide-Bという2編に別れた構成となっていた。なぜ、Side-AとSide-Bという2編に別れていたのかというのは、最後の一行を読むとその意味がじわっと分かってくる。
この作品を読んでみたいと思ったのは、そのキャッチコピーが「読み終わった後は必ずもう一度読み返したくなる」と銘打たれていたことだ。また、今年の5月には、松田翔太と前田敦子主演で映画化公開もされている。映画のキャッチコピーも「最後の5分、全てが覆る。あなたは必ず、2回観る。実写化不可能といわれた小説が、ついに映画化」という思わせぶりな言葉に、かなり気になっていた作品でもあった。映画を見てなかったので、早く原作を読んでみたかったのだ。
たしかに、そのキャッチコピーは大げさではなかった。原作の最後の一行で、“何っ!これは”とショックを受けた。読者をずっと騙してきた作者のテクニックにしてやられたという驚きで一杯になった。間違いなく「必ずもう一度読み返したくなる」はずである。ネタはバラシたくないが、単なる恋愛小説ではなく、最後の一行があることでミステリーといってもいい。
それにしても、内容が分かると、この作品の映画化は不可能のように思える。映画を見ていないので何とも言えないが、不可能と思える部分をどのように映画で表現したのかも気になった。そのうちWOWOWあたりでやるだろうから、じっくり見てみたいものだ。因みに『イニシエーション・ラブ』とは、“通過儀礼の恋愛”という意味だという。