(注)本シリーズはブログ「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0355BpOilGas2015.pdf
(自給率が下がり続ける中国とインド、上昇気流に乗った米国。日本は昔も今も自給率ゼロ!)
(6)日本と米国、中国、インドのエネルギー自給率(2000年~現在)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/3-3-G05.pdf 参照)
2014年の統計値で見ると米国、中国、日本及びインドはそれぞれ世界1位、2位、4位及び7位の石油・天然ガスの消費国である(本章国別消費量参照)。このうち日本を除く3カ国は同時に石油・天然ガスの生産国で、特に米国は世界1位、中国は世界6位である(第2章国別生産量参照)。インドも石油・天然ガスの合計生産量は144万B/Dで世界24位である。これに対して日本はほぼ全量を輸入に依存している。
2000年から2014年までのこれら4カ国について消費量を生産量で割ったエネルギー自給率を計算すると、日本は当然ながら自給率0%である(日本の国内統計上では自給率は石油1%以下、天然ガスは数%程度とされているがBP統計では無視されているため自給率0%とみなす)。これに対して米国、中国及びインドの場合、2000年時点では中国は72%の自給率であった。そして米国及びインドの自給率はそれぞれ55%、43%であり、消費量の1/2前後は国産の石油・天然ガスでまかなっていたことがわかる。もっとも中国とインドの場合、2000年時点では天然ガスを外国から輸入する手段がなかったため天然ガスは生産=消費(即ち名目上の自給率は100%)の制約があった訳であるが、ともかく3カ国の石油・天然ガス合計の自給率はかなりの水準だったのである。
その後中国とインドでは経済発展によりエネルギー消費が急拡大し、米国も生産が消費に追いつかず、3カ国とも自給率は低下した。特に中国の自給率は2001年以降急激に下落し2002年に60%台、2004年には50%台に下落、2011年にはついに50%を割り込み2014年の自給率は46%となっている。インドも2000年の45%から2006年には37%に落ち込み現在は31%である。
ところが米国は2005年に50%にまで落ち込んだが、その後自給率は上昇傾向を続けており2014年にはついに自給率75%を達成しているのである。このところシェールガス或いはシェールオイルの生産が急上昇しており、将来は自給率100%も夢物語ではなくなっている。現にシェールガスについては数年内に輸出が開始される計画である。
米国と言う世界最大のエネルギー消費国が世界最大の生産国に変貌し、あまつさえ石油或いは天然ガスの輸出国になろうとしている。そして巨大な人口を抱えた中国及びインドは今後ますます世界中の石油・天然ガスを買い漁るようになる。このような現状を考えると石油・天然ガスの自給率ゼロを運命づけられている日本がエネルギー問題について重大な岐路に立たされていることは間違いないと言えよう。
(続く)
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