(2) LNG貿易
(5-2) 2021年の天然ガス貿易(続き)
(5-2-3) パイプライン貿易(図http://bpdatabase.maeda1.jp/5-G01b2GasPipeline.pdf 参照)
2021年のパイプラインによる天然ガスの国別輸出入量は概略以下のとおりである。なおパイプライン貿易では米国とカナダのように相互に輸出入を行っている国がある。例えば2021年に米国はカナダから759億㎥の天然ガスを輸入する一方、カナダとメキシコへ合わせて843億㎥を輸出している。国境をまたぐ多数の天然ガスパイプラインがあるためである。またオランダのようにかつてヨーロッパ一円に天然ガスを輸出していたが、現在ではむしろパイプライン網の中継点としてロシアから輸入した天然ガスを周辺国に再輸出しているケースもある。
(世界のパイプライン貿易の3割を占めるロシア!)
(i)国別輸出量
パイプラインによる天然ガス輸出が最も多い国はロシアでありその輸出量は2,017億㎥、世界の総輸出量の29%を占めている。ロシアの輸出先はほとんどがヨーロッパ向けで、一部中国にも輸出されている。第2位のノルウェーの輸出量は1,129億㎥(シェア16%)であり、年間輸出量が1千億㎥を超えているのはこの2カ国だけである。両国に次いで輸出量が多いのは3位米国(843億㎥)、4位カナダ(759億㎥)、5位トルクメニスタン(421億㎥)、6位アルジェリア(389億㎥)であり、冒頭に述べたように米国とカナダは相互に輸出入を行っている。これら上位6カ国による輸出量は全世界の8割を占めている。
世界第7位から9位まではカタール(211億㎥)、アゼルバイジャン(196億㎥)、イラン(173億㎥)である。カタールはLNGの輸出で世界2位であるが(前項参照)、ドルフィン・パイプラインと呼ばれるパイプラインにより、天然ガス資源の乏しいUAEに発電及び海水淡水化用の燃料として輸出している。
(パイプライン輸入総量の4割を占めるEU!)
(ii)国別輸入量
2021年にパイプラインによる天然ガスの輸入量が最も多かったのはEUの2,698億㎥で、全体の4割を占めている。これに次ぐのが米国(759億㎥)であるが、上記に述べた通り米国はカナダ、メキシコに自国産天然ガスを輸出する世界第3位の輸出国でもある。輸出入の差は84億㎥の輸出超過であり、LNG貿易(上記)に加えパイプライン貿易の面でも米国は純輸出国となっている。第3位以下はメキシコ(587億㎥)、中国(532億㎥)、カナダ(255億㎥)、UAE(195億㎥)である。
(続く)
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