2023年5月
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(目次)
プロローグ(4)
004.ヨーロッパとアジアをつなぐ中東(2/3)
ただ彼らが「アジア」と名付けた地域はユーラシア大陸の大きな部分を占めている。緯度で言えば西経10度(ポルトガル)からベーリング海峡の東経180度まで地球を半周するユーラシア大陸のうち、ヨーロッパの東端イスタンブールは東経30度である。つまりユーラシア大陸の6分の5はアジアであり、ヨーロッパはわずか6分の1にすぎないのである。
したがってヨーロッパ人自身もアジアを一括りにできずいくつかの地域に分けた。それは彼らから見た地理上の遠近というごく単純かつ一方的な区分であった。ヨーロッパから近い順に近東(Near East)、中東(Middle East)、南アジア(South Asia、インド亜大陸)、東南アジア(South East Asia)そして極東(Far East)と名付けたのである。極東(Far East)とは「東の果て」のことであり、聞きようによっては極東の人々に対してずいぶん失礼な言い方ともいえる。(仮に立場が逆になっていれば、英国、フランス等は西の果て「極西諸国」と呼ばれていたかもしれない!)
ともかくボスポラス海峡を渡ってすぐが「近東」。現在のアナトリア半島一帯であり、さらに東のレバント(現在のシリア、レバノン)及びイスラエル、イラク、イランあたりまでが「中東」である。但し近代史では「近東」と「中東」が一体化して「中近東」と呼ばれ、さらに現代では単に「中東」の呼称が一般化している。そして中東の向こうにあるのがインド、パキスタンの南アジアである。
(続く)
荒葉 一也
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