石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

ニュースピックアップ:世界のメディアから(8月7日)

2007-08-07 | 今週のエネルギー関連新聞発表

・サウジアラムコがアジア向け重質原油を値上げ、2年来の高値に

 

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BPエネルギー統計レポート2007年版解説シリーズ:石油+天然ガス篇(3)

2007-08-06 | その他

6月12日、BPは毎年恒例の「BP Statistical Report of World Energy 2007」を発表した。本シリーズではすでに石油及び天然ガスの埋蔵量、生産量、消費量等のデータを抜粋して解説したが、最後に石油と天然ガスを合わせた形でその埋蔵量、生産量及び消費量についての解説を試みる。

石油+天然ガス篇(3):世界の石油と天然ガスの消費量

(1) 地域別・国別消費量

  2006年の世界の石油消費量は日量8,372万バレル(以下B/D)であり、これに対して天然ガスの消費量は年間2兆8,508億立方メートル(以下㎥)であった。天然ガスの消費量を石油に換算すると4,913万B/Dとなり、従って石油と天然ガスを合わせた1日当りの消費量は1億3,285万B/Dとなる。両者の比率は石油63%、天然ガス37%でほぼ2:1の割合である。

 消費量を地域別に見ると、欧州・ユーラシアが最も多く石油換算で4,024万B/Dであり、これに次ぐのが北米の3,806万B/Dであり、両地域は拮抗している。但し両地域を比較すると、欧州・ユーラシアは石油の消費量が2,048万B/Dに対して天然ガスの生産量は1,975万B/D(石油換算)であり、石油と天然ガスがほぼ同じであるが、北米は石油2,478万B/D、天然ガス1,328万B/D(石油換算)と石油の消費量が天然ガスの2倍近くに達している。

 欧州・ユーラシア、北米に続いて多いのはアジア・大洋州である。同地域の消費量は石油が2,459万B/D、天然ガスが756万B/D(石油換算)の合計3,215万B/Dであり、天然ガスは石油の3分の1に満たない。これら3地域の世界全体に占める割合は、欧州・ユーラシア30.3%、北米28.6%、アジア・大洋州24.2%であり、3地域を合わせると世界全体の83.1%に達する。残る3地域(中南米、中東、アフリカ)を併せても16.9%に過ぎず、石油及び天然ガスの消費が先進国及びアジアの新興工業地帯に集中していることがわかる。

 国別に消費量の多い上位10カ国を並べたものが下表である。

順 位  国名     石油         天然ガス                         合計

                   万B/D 順位 億立方米 順位 石油換算    万B/D    %

1 米国             2,059  1       6,197     1      1,068        3,127    23.5%

2 ロシア             274  4        4,321     2        745        1,018     7.7%

3 中国               745  2          556    11         96          840     6.3%

4 日本               516  3          846      7       146          662     5.0%

5 ドイツ              262  5          872      6       150          412     3.1%

6 カナダ             222  8          966     4        167          389     2.9%

7 イラン              167  15       1,051    3        181          348     2.6%

8 英国                178  14         908    5        157          335     2.5%

9 サウジアラビア   201 10          737    9        127          328     2.5%

10 インド             258   6          397   18         68           326     2.5%

全世界             8,372          28,508           4,913       13,285  100.0%  

 米国は石油と天然ガスの合計消費量が最も多く、その消費      量は石油換算で3,127万B/D、実に世界の4分の1の石油と天然ガスを消費しているのである。2位以下の各国の消費量の世界シェアがいずれも一桁台であることに比べ、米国が如何にエネルギーを浪費しているかが解る。

 米国に次いで消費量が多いのはロシアの1,018万B/D(石油換算)である。同国は石油の消費量は世界4位であるが、天然ガスを石油の2.7倍消費している。第3位、第4位はそれぞれ中国(840万B/D)、日本(662万B/D)である。両国を比較すると、石油の消費量は中国が日本を上回っているのに対して天然ガスの消費量は日本の方が多い。

 5位のドイツ以下は石油と天然ガスの合計消費量が5百万B/D以下であり、カナダ、イラン、英国、サウジアラビアと続き、第10位にBRICsの一角として経済発展が著しいインド(326万B/D)が入っている。

(2)1965年~2006年の消費量の推移 

 1965年から2006年までの石油と天然ガスの合計消費量の推移を地域別にプロットしたものが上図である。

  1965年時点では北米の消費量がもっとも多く石油換算では21百万B/D、欧州・ユーラシアがこれに次ぐ15百万B/Dであった。アジア・大洋州ははるかに少ない3百万B/D強であり、その他3地域(中南米、中東及びアフリカ)の合計もほぼ同じであった。 

 その後欧州・ユーラシアの増加が著しく第一次オイル・ショック(1973年)後には北米を追い抜いた。そして北米では第二次オイル・ショック直後の1979年の33百万B/Dをピークに1980年代は消費量が減少或いは停滞する中で、欧州・ユーラシアの消費は伸び続け1990年には41百万B/Dに達した。この時の北米の消費量は31百万で1979年の水準に回復していない。

 しかし1991年のソ連崩壊によりロシア、ウクライナなど旧ソ連邦の石油消費量が急減し、欧州・ユーラシア全体の消費量は90年代後半には35百万B/Dとなり、北米とほぼ肩を並べるようになった(但しこの間も欧州・ユーラシアの天然ガス消費量はそれほど大きくは減少していない)。90年代後半以降は両地域とも石油・天然ガスの消費量は再び増勢に転じ、2006年には欧州・ユーラシア4千万B/D、北米38百万B/Dとなっている。

  1965年から2006年までの約40年間の中で、北米及び欧州・ユーラシア地域がそれぞれ消費減退と言う波を経験した中で、アジア・大洋州及びその他の地域の消費量は増加の一途をたどっている。特に1965年に3百万B/Dに過ぎなかったアジア・大洋州は、オイル・ショック後も消費量が減退することはなく11百万B/D台を維持し、80年台後半以降は急激に増加、90年代半ばに2千万B/Dを超え、更に2004年には3千万台を突破、2006年の石油と天然ガスの合計消費量は32百万B/Dである。この増勢が続けば数年以内に北米及び欧州・ユーラシア地域を抜き去り、世界一の消費地域になるものと思われる。

(石油+天然ガス篇第3回完)

(これまでの内容)

石油+天然ガス篇(2):世界の石油と天然ガスの生産量

石油+天然ガス篇(3):世界の石油と天然ガスの埋蔵量

 

前田 高行

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E-mail: maedat@r6.dion.ne.jp

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(8月6日)

2007-08-06 | 今週のエネルギー関連新聞発表
・中国Sinopecのサウジアラムコとの合弁製油所プロジェクト遅延、Sinopec前会長の不正疑惑と関連か?
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ニュースピックアップ:世界のメディアから(8月3日)

2007-08-03 | 今週のエネルギー関連新聞発表

・サハリンのガスはロシア国内向けに:外国企業に攻勢を強めるガスプロム

 

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(8月2日)

2007-08-02 | 今週のエネルギー関連新聞発表

・ニューヨーク石油市場で78.77ドルの史上最高値

・UAEが2008-10年の石油・電力・水の戦略計画を公表

 

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BPエネルギー統計レポート2007年版解説シリーズ:石油+天然ガス篇(2)

2007-08-01 | その他

6月12日、BPは毎年恒例の「BP Statistical Report of World Energy 2007」を発表した。本シリーズではすでに石油及び天然ガスの埋蔵量、生産量、消費量等のデータを抜粋して解説したが、最後に石油と天然ガスを合わせた形でその埋蔵量、生産量及び消費量についての解説を試みる。

石油+天然ガス篇(2):世界の石油と天然ガスの生産量

(1) 地域別・国別生産量

 2006年の世界の石油生産量は日量8,166万バレル(以下B/D)であり、これに対して天然ガスの生産量は年間2兆8,653億立方メートル(以下㎥)であった。天然ガスの生産量を石油に換算すると4,938万B/Dとなり、従って石油と天然ガスを合わせた1日当りの生産量は1億3,104万B/Dとなる。両者の比率は石油62%、天然ガス38%でほぼ3:2の割合である。

 生産量を地域別に見ると(上図参照)、欧州・ユーラシア地域が最も多く、中東がこれに次いでいる。但し両地域を比較すると、欧州・ユーラシアは石油の生産量が1,756万B/Dに対して天然ガスの生産量は1兆729億㎥(石油換算:1,850万B/D)であり、天然ガスが石油を上回っている。一方、中東は石油2,559万B/D、天然ガス3,359億㎥(石油換算:579万B/D)と、石油の生産量が圧倒的に多い。

 欧州・ユーラシア、中東に続いて生産量の多いのは北米である。北米は石油と天然ガスの比率がほぼ同じであり(石油生産量1,370万B/D、石油換算の天然ガス生産量1,300万B/D)、石油換算で合計2,670万B/Dの生産量に達している。残るアジア・大洋州、アフリカ及び中南米の3地域の生産量はいずれも上記3地域の半分以下である。このうちアフリカと中南米は中東と同じく石油生産が大半を占めており、天然ガスの割合が小さい。

 前回の埋蔵量で触れたとおり世界の石油と天然ガスの埋蔵量はほぼ等しく、石油埋蔵量は1兆2千億バレル、天然ガスの埋蔵量は石油換算で1兆1,400億バレルである。このことから欧州・ユーラシア、北米及びアジア・大洋州では埋蔵量に見合った石油と天然ガスが生産されているのに対し、その他の3地域(中東、アフリカ及び中南米)では今後さらに天然ガスの生産に拍車がかかることが考えられる。

 国別に生産量の多い上位10カ国を並べたものが下表である。

順位 国名               石油             天然ガス          合計

                  1,000 B/D 順位  10億㎥ 順位 石油換算  1,000 B/D   %

                           (1,000B/D)

1 ロシア               9,769  2     612    1     10,548    20,318   15.5%

2 米国                 6,871  3    524   2     9,032   15,903  12.1%

3 サウジアラビア  10,859  1       74      9          1,270      12,129    9.3%

4 カナダ               3,147  7      187     3         3,223     6,369    4.9%

5 イラン               4,343   4     105     4          1,809     6,153    4.7%

6 中国                3,684   5       59    13          1,009    4,693     3.6%

7 メキシコ            3,683  6        43    19           747     4,430    3.4%

8 ノルウェー         2,778  10   88   5        1,510      4,288    3.3%

9 UAE                 2,969   8       47    16          817      3,786   2.9%

10 アルジェリア     2,005  13      84      6        1,456      3,461   2.6%

全世界               81,663       2,865            49,377   131,040  100.0%

 世界で石油と天然ガスの合計生産量が最も多い国はロシアである。石油換算では2,032万B/Dで、同国だけで世界全体の15.5%を占めている。ロシアの場合、石油生産量はサウジアラビアに次いで世界第2位であるが、天然ガスの生産量がサウジアラビアの9倍近くあるため、石油と天然ガスの合計生産量では世界一となっている。

 ロシアに次ぐ世界第二位の生産量を誇るのは米国であり、同国は石油生産量が687万B/D(世界第3位)、天然ガス生産量が903万B/D(石油換算、世界2位)であり、石油よりも天然ガスの生産量が多い。なお埋蔵量と比較すると(前回参照)、ロシアは埋蔵量ベースでも世界一であるが、米国は10位である。このことからロシアには当面の生産余力がある一方、米国では国内の石油・天然ガス資源が急速に枯渇に向かっていると言えよう。

 3位はサウジアラビアの1,213万B/Dであり(石油1,086万B/D、天然ガス127万B/D:石油換算)、上位3カ国の生産量は石油換算で1千万B/Dを超えている。4位から10位までの生産国は、4位カナダ(石油換算637万B/D、以下同じ)、5位イラン(615万B/D)、6位中国(469万B/D)、7位メキシコ(443万B/D)、8位ノルウェー(429万B/D)、9位UAE(379万B/D)、10位アルジェリア(346万B/D)となっている。このうちアルジェリアは石油の生産量だけでは世界13位であるが、天然ガスが世界6位であるためベスト・テンに入っている。一方、中国メキシコ及びUAEは天然ガスの生産量は10位以下であるが、石油の生産量が多いため石油と天然ガスの合計生産量で上位10傑に入っている。

(2)1970年~2006年の生産量の推移

 1970年から2006年までの石油と天然ガスの合計生産量の推移を5年ごとに追ってみると次のようになる。(単位:万B/D)  

          石油+天然ガス   石油    天然ガス (石油換算)

1970         6,545          4,806            1,739

1975        7,656           5,582            2,074

1980         8,791          6,295            2,496

1985         8,619          5,747            2,872

1990         9,979          6,547            3,432

1995        10,320          6,712            3,608

2000        11,682          7,503            4,179

2006        13,104          8,166            4,938

 1970年(第一次オイルショック前)の石油と天然ガスの合計生産量は6,545万B/D(石油換算、以下同じ)であり、生産量はその後1980年までは5年ごとに1,100万B/Dずつ増加している。増加の内訳はほぼ石油が700万B/D、天然ガスが400万B/Dであった。しかし第二次オイルショック(1979年)を契機に1980年代前半は石油の生産が減退した。この間にも天然ガスの生産は着実に増加したが、石油と天然ガスの合計生産量の伸びは鈍く1970年代の2倍、10年という歳月を要している。

  1990年台初頭に石油と天然ガスの生産量が1億B/Dを超えると、その後はほぼ一直線に増加しており、特に1995年(1億320万B/D)以降は2000年1億1,682B/D、2006年1億3,104万B/Dと、ほぼ5年ごとに1,400万B/Dずつ増加している。

  1970年から2006年の間に石油と天然ガスの合計生産量は2倍(6,545万B/D→1億3,104万B/D)になっている。但し石油は上述のとおり80年台前半の減少期もあり1970年に対する増加率は1.7倍にとどまっているのに対し、天然ガスは1970年から2006年まで一度も減少することなく、その間2.8倍の大幅な増加を示している。この結果、1970年には石油と天然ガスの比率が石油73%、天然ガス27%であったものが、その後天然ガスの比率が徐々に拡大し、2006年には石油62%、天然ガス38%となっている。現在天然ガス田の開発が活発に行われている他、パイプライン及びLNGのサプライチェーンも急速に整備拡充されている。従って生産に占める天然ガスの比率は今後更に高まるものと思われる。

(石油+天然ガス篇第2回完)

(これまでの内容)

石油+天然ガス篇(1):世界の石油と天然ガスの埋蔵量

前田 高行

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E-mail: maedat@r6.dion.ne.jp

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