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http://mylibrary.maeda1.jp/0422BpOilGas2017.pdf
2017.9.21
前田 高行
(ほぼ10年周期で増加する埋蔵量!)
(3)1990年~2016年までの合計可採埋蔵量の推移
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/3-1-G03.pdf 参照)
1990年末の世界の石油と天然ガスの埋蔵量はそれぞれ1兆275億バレルと109兆㎥(石油換算6,880億バレル)で合計埋蔵量は1兆7,155億バレルであった。因みに両者の構成比率は石油60%、天然ガス40%であるが、この比率は2016年まで殆ど変っていない。
埋蔵量は1991年に対前年比で6%増加、1兆8千億バレルとなりその後は年率1~2%で漸増、1999年には対前年比8.2%と大幅に増加して合計埋蔵量は2兆バレルを突破した。そして2002年に2.3兆バレル記録した後、数年間は低い増加率にとどまった。2010年には6%の大幅な増加率を示し合計埋蔵量は2兆8千億バレル弱になったが、その後2016年までは横ばい状態であり、特に2015年にはわずかではあるが前年を下回り、過去25年間で初めて埋蔵量が減少している。このように可採埋蔵量はほぼ10年周期で増加している。ちなみに2016年の埋蔵量は石油1.7兆バレル、天然ガス187兆㎥(石油換算1.2兆バレル)で合計埋蔵量は2兆8,802億バレルであり、これは1990年の1.7倍である。
1990年から2016年までの過去26年間の平均成長率は1.9%である。次項に述べるとおり埋蔵量を生産量で割った可採年数は2010年まではほぼ一貫して上向いており、それ以降は漸減傾向を示している。このことから最近は石油及び天然ガスの探鉱・開発活動が低調に推移し、埋蔵量の追加が生産量の増加に追いついていないことを示している。
これは最近の石油価格の下落により石油企業の業績が低迷、各社とも石油・天然ガスの上流部門の投資を削減したことが大きな理由と考えられる[1]。
(続く)
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