(英語版)
(アラビア語版)
(目次)
第3章 アラーの恵みー石油ブームの到来(15)
078 富の分け前を求めて湾岸産油国に殺到する出稼ぎ(3/4)
パレスチナ難民の教師シャティーラが息子のアミンを連れて1956年にクウェイトに移り住んだことはすでにふれた。第二次中東戦争でイスラエル領エイラートから隣町のヨルダン領アカバに逃れたザハラの一家もヨルダンでの生活が一向に楽にならないため15歳になったばかりのザハラを出稼ぎのため一人でクウェイトに行かせた。彼は零細商店の小僧になった。
クウェイトは難民を支援するという大義名分のもと大量のパレスチナ人を積極的に受け入れた。しかしクウェイト人たちは難民に同情した訳ではなく彼らを安い賃金で働く労働力として酷使した。それは形を変えた奴隷制度であった。砂漠のテント生活から一足飛びに豊かな都市生活に移ったクウェイト人はほとんど無学で粗野であったため、富の分け前を求めて群がり集まった出稼ぎのパレスチナ人たちを残酷で横暴に取り扱った。ザハラはじっと耐え忍び、安い給料の殆どを故郷の家族に送金したのであった。家業で習い覚えた経理の知識を糧に24歳の時イラクに出稼ぎに出たアンマンの商人の息子カティーブの身の上も似たようなものであった。
(続く)
荒葉 一也
E-mail: Arehakazuya1@gmail.com
I. 各社の業績概要(続き)
表1-D-4-22a「2023年4-6月期国際石油企業の業績(売上、損益)」参照。
表1-D-4-22b「2023年4-6月期国際石油企業の業績(キャッシュフロー、設備投資)」参照。
表1-D-4-22c「2023年4-6月期国際石油企業の業績(原油・天然ガス生産量)」参照。
(5社で最も高い売上高利益率を誇るChevron!)
- Chevron
プレスリリース:
https://www.chevron.com/newsroom/2023/q4/chevron-reports-3q-2023-results
(1)売上・利益・利益率
Chevronの2023年7-9月期は売上高519億ドル、利益65億ドルであった。前期(4-6月期)比では、売上高は10.0%増、利益8.6%増であり、また前年同期(2022年7-9月期)比では売上高は▲18.2%減、利益▲41.9%減である。売上高利益率は今期12.6%、前期12.7%、前年同期17.7%であり、高い利益率を誇っている。
(2)キャッシュフロー
今期の営業キャッシュフローは97億ドル、投資キャッシュフローは▲44億ドルであり、フリーキャッシュフローは50億ドルであった。また財務キャッシュフローは▲86億ドルであった。なお同社資料では期末キャッシュフロー残高は示されていない。
Cheronの7-9月期設備投資は47億ドルであった。
(3)原油・天然ガス生産量
Chevronの7-9月期原油・天然ガスの生産量は、日量平均で原油183万B/D、天然ガス79億立法フィート(cfd)であった。天然ガスを原油に換算した原油・天然ガス合計生産量は315万B/Dである。
(続く)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
(石油関連ニュース)
原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil
・米中の需要弱く原油価格下落。Brent $80.82, WTI $76.56。
(中東関連ニュース)
・エジプト:セクハラ懲役4年、罰金20万ポンドの厳罰化方針、国会議決。
・ドバイエアショー開幕。エミレーツ航空、ボーイング機材520億ドル買付。
I. 各社の業績概要(続き)
表1-D-4-22a「2023年4-6月期国際石油企業の業績(売上、損益)」参照。
表1-D-4-22b「2023年4-6月期国際石油企業の業績(キャッシュフロー、設備投資)」参照。
表1-D-4-22c「2023年4-6月期国際石油企業の業績(原油・天然ガス生産量)」参照。
(売上高利益率11%を確保したTotalEnergies!)
- TotalEnergies
プレスリリース:
https://totalenergies.com/media/news/press-releases/totalenergies-third-quarter-results
(1)売上・利益・利益率
TotalEnergiesの2023年7-9月期は売上高590億ドル、利益67億ドルであった。前期(4-6月期)と比較すると、売上高4.9%増、利益63%増であり、前年同期(2022年7-9月期)比では売上高は▲15%減、利益は横ばいであった。
売上高利益率は今期11.3%に対し前期は7.3%、前年同期9.6%であり、今期は二桁の利益率を達成している。
(2)キャッシュフロー及び設備投資
今期の営業キャッシュフローは95億ドル、投資キャッシュフローは▲50億ドルであり、財務キャッシュフローは▲48億ドルであった。この結果、9月末のキャシュフロー残高は247億ドルとなっている。
TotalEnergiesの7-9月期設備投資は51億ドルであった。
(3)原油・天然ガス生産量
TotalEnergiesの7-9月期原油・天然ガスの生産量は、日量平均で原油156万B/D、天然ガス49億立法フィート(cfd)であった。天然ガスを原油に換算した原油・天然ガス合計生産量は248万B/Dである。
(続く)
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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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(英語版)
(アラビア語版)
(目次)
第3章 アラーの恵みー石油ブームの到来(14)
077 富の分け前を求めて湾岸産油国に殺到する出稼ぎ(2/4)
カネがあるから建物、道路、橋、港湾などのインフラ整備は難しくない。ヨーロッパの建築コンサルタントに設計を依頼し、トルコやエジプトの業者に工事を発注、労働者はインド、パキスタンの安い労働力で賄う。学校や病院についても同じこと。必要な教材或いは医療機器を揃えることもカネ次第で何とでもなる。
こうして「ハコもの」はカネで片が付く。問題はヒト。インフラを維持するのは人間であり、学校の教師或いは病院の医師などの人材も必要である。それまで満足な学校や病院のなかったサウジアラビアやクウェイトには教師や医師が殆どおらず、学校や病院を急増したイラクでも教師や医師の絶対数が足りない。
生徒或いは患者とのコミュニケーションが重要な教師や医師はアラビア語を話せることが必須である。アラビア語を話せる人材が必要なのは教師や医師のような分野ばかりではない。経済発展に伴い商業も活況を呈し始めたが、当時のサウジ人やクウェイト人は帳簿をつけたり簡単な釣り勘定すらできない。人材の供給源はエジプト人、パレスチナ人、レバノン人、ヨルダン人たちであった。人材を求める湾岸産油国と富の分け前を求める双方の需要と供給がマッチし、彼らは出稼ぎ人となってイラク、クウェイト、サウジアラビアの湾岸産油国に殺到した。
(続く)
荒葉 一也
E-mail: Arehakazuya1@gmail.com
I. 各社の業績概要(続き)
表1-D-4-22a「2023年4-6月期国際石油企業の業績(売上、損益)」参照。
表1-D-4-22b「2023年4-6月期国際石油企業の業績(キャッシュフロー、設備投資)」参照。
表1-D-4-22c「2023年4-6月期国際石油企業の業績(原油・天然ガス生産量)」参照。
(安定しているが見劣りする収益力!)
- bp
プレスリリース:
(1)売上・利益・利益率
bpの2023年7-9月期売上高は540億ドルであった。これに対して利益は49億ドルで利益率は9.1%であり、これは5社の中で最も低い。売上高は前期(4-6月期)比で9.2%の増収、前年同期(2022年7-9月期)比では▲6.6%減収であった。また利益は前期比173%の大幅増益となり、前年同期比ではマイナスからプラスに転じている。
(2)キャッシュフロー及び設備投資
今期の営業キャッシュフローは87億ドル、投資キャッシュフローは▲35億ドルであり、また財務キャッシュフローは▲42億ドルであった。この結果、9月末のキャッシュフロー残高は299億ドルとなっている。
bpの7-9月期設備投資は36億ドルであった。
(3)原油・天然ガス生産量
bpの7-9月期原油・天然ガスの生産量は、日量平均で原油101万B/D、天然ガス22億立法フィート(cfd)であった。天然ガスを原油に換算した原油・天然ガス合計生産量は138万B/DでExxonMobil (369万B/D)の3分の1強にとどまっている。
(続く)
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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
1. 各社の業績概要(続き)
表1-D-4-22a「2023年4-6月期国際石油企業の業績(売上、損益)」参照。
表1-D-4-22b「2023年4-6月期国際石油企業の業績(キャッシュフロー、設備投資)」参照。
表1-D-4-22c「2023年4-6月期国際石油企業の業績(原油・天然ガス生産量)」参照。
(利益は前期比2倍に急増!)
- Shell
プレスリリース:
(1)売上・利益・利益率
Shellの2023年7-9月期は売上高764億ドル、利益70億ドルで売上高利益率は9.2%であった。前期(4-6月期)との比較では、売上高は2.4%増、利益は125%増である。前年同期(2022年7-9月期)比では売上高は▲20%減、利益は4.5%増である。
(2)キャッシュフロー及び設備投資
今期の営業キャッシュフローは123億ドル、投資キャッシュフローは▲43億ドルであり、フリーキャッシュフローは75億ドルであった。また財務キャッシュフローは▲91億ドルであり、この結果、9月末のキャッシュフロー残高は430億ドルとなっており、(残高が明示されていないChevronを除く)4社の中では最も多い。
Shellの7-9月期設備投資は53億ドルであった。
(3)原油・天然ガス生産量
Shellの7-9月期原油・天然ガスの生産量は、日量平均で原油131万B/D、天然ガス26億立法フィート(cfd)であった。天然ガスを原油に換算した原油・天然ガス合計生産量は175万B/Dである。
(続く)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp
11/7 Saudi Aramco
Aramco announces third quarter 2023 results
https://www.aramco.com/en/news-media/news/2023/aramco-announces-third-quarter-2023-results
11/8 ENEOSホールディングス
決算短信・説明資料
https://www.hd.eneos.co.jp/ir/library/statement/
11/8 ENEOSホールディングス
当社の新たなグループ体制および主要な事業会社の商号について
https://www.hd.eneos.co.jp/newsrelease/upload_pdf/20231108_01_01_0960492.pdf
11/8 コスモエネルギーホールディングス
2024年3月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
https://www.cosmo-energy.co.jp/content/dam/corp/jp/ja/ir/financial/result/2023/q2/pdf/23_2q_all.pdf
11/9 INPEX
2023年12月期第3四半期決算発表
https://www.inpex.co.jp/news/2023/20231109.html
11/9 OPEC
6th High-Level Meeting of the OPEC-India Energy Dialogue
https://www.opec.org/opec_web/en/press_room/7248.htm