彫刻家・高田博厚の思想と並んでぼくが関心をもつ、哲学者・ガブリエル・マルセルの思想の、すくなくともその一表現である、彼の戯曲は、日本では過去に二つの作品しか翻訳紹介されておらず、ほとんど未知の世界と言ってよい。その未邦訳の作品の一つを、拙訳で、いま、紹介している。いちど訳したものを見直しながらだが、実存哲学者と云われている彼の作品だけあって、途中経過としての諸人物会話そのものに、彼の深い人間反省をみることができる。この反省そのもののために、これは充分、紹介に価するものだと、さいわいにも、いま、思っている。
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