荻窪駅近くの立ち食いそば屋さんでこんな場面を目撃したと知人が教えてくれた。寒い夜だったらしい。若い女性が1人でお店に入ってきた
▼こういうお店を利用する方なら、よくご存じだろう。「かけ」の食券を差し出すと、お店の人から「そばですか、うどんですか」と聞かれる。知人によるとこの女性、「どっちですかねえ」「どっちがいいですか」と店のおじさんに尋ね返したそうだ
▼そばならそば、うどんならうどんが食べたいからお店に入ってくるのが普通で、確かにこういう「質問」はあまり聞いたことがない
▼「まったく、自分の食べたいものさえ、分からないんですかねえ」。40代の知人はこの話に続けて、最近の若者の優柔不断ぶりを嘆くわけだが、話を聞いていて、この女性の気持ちがなんとなく分かる気がしてくる
▼勝手な想像をすれば、この人が求めていたのはそばでもうどんでもなかったかもしれない。ひょっとしてほしかったのは誰かとの「会話」ではなかったか。寒い夜に1人。ちょっと寂しくなってしまったのだろう。誰かと会話することで心と体を少し温めたい。そういう「寒い夜」は誰にもある
▼知人につい確認する。女性の「質問」にお店の人はなんと言って答えたか。「店の人はそばがいいよって」。突き放すような「自分で決めて」や「知りませんよ」ではなかったと聞いてホッとする。
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