精緻な文章や画像などを作り出す生成AI(人工知能)が急速に普及し、昨年の流行語にもなった。今では学校の授業から企業の業務効率化まで、多くの場面で活用されている
▲一方で「人の仕事を奪って大規模な失業を生み出す」「大量破壊兵器と組み合わされれば、人類を危機にさらす」などと、将来を危惧する声も根強い
▲毀誉褒貶(きよほうへん)
ほめたりけなしたりすること。そしりとほまれ。また、ほめたりけなしたりする世評。世間の評判。
を象徴するような出来事が、開発をけん引する米新興企業、オープンAIで昨年11月に起きた。創業者のサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が一時、解任された「お家騒動」だ。背景には「全人類にとって安全で有用なAIをつくる」との崇高な理想と、「利益を追求し開発資金を確保できなければ競合企業に追い抜かれる」という資本の論理の相克があった
▲理想から出発した同社は非営利組織(NPO)の理事会が経営を監督する特殊な統治構造だった。米マイクロソフトからの出資を受け入れ開発にまい進するアルトマン氏に対し、NPOの理事会が営利よりも安全性を重視するように要求。抜き差しならなくなった
▲多くの従業員がアルトマン氏解任に猛反発したため、理事会側はCEO復帰を認めたが、対立の構図は解消されていない。市場には「神学論争」と揶揄(やゆ)する声もある
▲だが、著名な投資家のウォーレン・バフェット氏はAIの進化を核兵器になぞらえ「一度発明されれば、なかった状態に戻せない」と懸念する。どうすれば人類に役立つ発明にできるか。切実な問題である
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます