前記事からの続きです。
灰谷先生はたくさんある原始反射の中の
“三大反射”について説明されました。
それは、次の三つだとのこと。
1.恐怖麻痺反射=FPR
2.モロー反射
3.緊張性迷路反射=TLR
特に1と2は、最も初期に発達する
“二大反射”と呼ばれるそうです。
恐怖麻痺反射は
受胎後5週頃から出現
その名の通り、痛みや脅威などの
“刺激”が加わったときに
恐怖のあまり体を丸くして
縮こまりながら身を守り
体を麻痺させるように
外からの刺激を断ち切ってしまう反射。
その“刺激”というのは
お母さんが受けるストレスによるものだとのこと。
例えば羊水穿刺の検査をすると
子宮の中の胎児は
恐怖麻痺反射を起こしているとのこと。
この話を助産師にすると、
「ガスリー検査などで
新生児の踵を注射針で刺して
採血するときに
赤ちゃんが痛がって泣きながら取る姿勢のことね?」
「あれが怖麻痺反射なのか~」
「その姿勢は、大きく分けると二通りあるよ!」
と、話が盛り上がります。
二通りの姿勢とは
1.丸く縮こまる
2.手足を伸ばしてピーンと固まる
ベテラン助産師は
「近年1.が減って来て、2.が増えて来た」
と言い
若い助産師は
「2.しか見たことがない」と言います。
あなたが働いている施設の赤ちゃんや
あなたのお子さんは
痛がったり、怖がったりする瞬間
どちらの姿勢になりますか?
私は、「痛い!」「怖い!」と思った瞬間
丸くなります。
いろいろと考えてみると、
「子宮内でどのような姿勢で
長時間過ごしたかで
生後の恐怖麻痺反射の
姿勢が決まるのでは?」
と思います。
では、胎児はどんな姿勢をしているのでしょう?
1.教科書の正常…脚はアグラ、背中を丸め、
アゴを引いて、手は口元
2.現代の多数派
…脚は体育座り、背中を伸ばし、アゴを上げ
手の平は口の方に向かず、ユウレイの手
生後もこのような“ユウレイの手”が続くと ↓
指しゃぶりができず、脳の発達や、
手の器用さにもブレーキがかかります。
関連記事 握り拇指と肘の捻じれ 赤ちゃんの手の形
団塊の世代が出産した頃は、
1の胎児姿勢がほとどでした。
今は、2が多数派になっています。
1の胎児は基本的にこの姿勢で眠り、
覚醒すると四肢を伸ばしています。
そして、15週くらいまでの胎児は
ピコーン ピコーンと
クリオネのように自由自在に
羊水の中を泳ぎ回ります。
15週を過ぎる頃から、だんだんと
子宮に対して胎児が大きくなるために
それまでのように
泳ぎ回るような動きは
できなくなっていきます。
これらの胎内での姿勢や運動は、
子宮の形状と深く関係があります。
それが、原始反射の現れ方に
つながっていると思えます。
この両者を比べると
上の絵のように子宮の形状が違います。
1の胎児
子宮は丸ナス型
アグラを組める横幅があり
子宮壁も丸いので
背中も丸くなる
自然にアゴを引き
手を口に持っていきやすい姿勢になる
2の胎児
子宮は細ナス型
アグラを組める横幅がなく
体育座りになり。
背中が伸びやすい上に
子宮壁は丸みがないので
いっそう背中が伸びる
すると、アゴは上げる方が楽
手は口元に届かない姿勢になる
胎児になったつもりで、アグラと
体育座りの両方をやってみてください。
納得できると思いますよ。
胎内で手指をなめていなかった新生児は
探索(ルーティング)反射も
吸啜反射も、現れないのだと思います。
つまり、この二つの反射が出ない理由は、
とても単純、物理的!
ということは…、原始反射は
“自然に備わっている”反射ではなく、
胎内で獲得される反射
と考えていいのではないでしょうか?
また、胎児はずーっと同じ姿勢で
いるわけではありません。
1.の子は伸びたくなり、泳ぎ回る
2.の子は丸まりたいが丸まれないので
体が硬直する。
ということは、痛みや恐怖が襲って来た時に
胎内で丸まっていた子
⇒ 丸く縮こまる
胎内で伸びていた子
⇒手足伸ばしてピンピンに固まる
ということで
恐怖麻痺反射の姿勢に
違いが現れるのだと思います。
幼い子が自転車に乗っていて
転びそうになった瞬間
丸まる子の方が、大ケガはしません。
相撲や柔道で投げられても
とっさに丸まるまって
受け身を取れる人は
大ケガをしません。
さらには、丸まるのが苦手な赤ちゃんは、
寝返りやズリバイが上手くできません。
赤ちゃんどころか、セミナー受講生の中にも
ズリバイができない
上手く寝返りできない
人がたくさんいます。
いずれも、体を“捻じる”のも苦手で
胴体の力を上手く使えず
疲れもたまりがちです。
こうならないように、
また、こうなってしまったら
で紹介している体操などを
いろいろやってみてください。
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