続き
やがて沢から離れ本格的な登山道に入る所で橋の架け替え工事をしていた為、小さな標識を見落としそのまま沢を直進してしまった。直ぐに雄さんがオカシイと気付き本道に戻ったが、もう少し間違ったまま100m進んでいたら百尋の滝直下に出られたのかもしれない。
登山道は沢から離れると、いきなり胸突きの急登となり、やがて水音が高まって百尋の滝の滝見台に出た。以前は滝まで降りられたらしいが数年前の崖崩れ以来、有刺鉄線が張り巡らされ降りられない様になっている。
百尋の滝
樹間からの滝見では有ったが時期が幸いして取り敢えず全容を見る事が出来た
(因みに一尋は両手を広げた長さを言う)
道が再び沢に沿った。標高が上がったせいか所々沢の水が凍っている。周辺は自然林にスッポリ包まれているので小鳥の声が賑やかだ。けたたましい声、澄んだ声、可愛らしい声とまるでオーケストラである。
この頃から寝不足が応えたか休憩が頻繁になって来た。先に行った雄さんを追って九十九折れを繰り返し漸く小屋に着いた。荒れていると言うより汚らしい小屋である。
通り過ぎようとしたところ中でガサゴソ、有難いかな焚火をして待っていてくれたのだ。食事の場所としては最適とは言えないが取り敢えずお腹を満たし冷えた体を暖める。 ジッと火を見つめていると不思議と心が落ち着いてくる。❝山頂なんか行かないで、このままズッとこうしていても楽しいかも❞・・・と言う訳にもいかず空身で山頂へ。
すぐ上に標識は見えていたが一度休んだ後の登りは足が重く辛い。何処からかキツツキのドラミングが聞こえて来た。
スッキリとした佇まいの山頂には二組の夫婦が休んでいた。小田原から来たご夫婦は群馬出身、息子さんは群馬で山岳ガイドをしている等々話がはずみ裸木に囲まれた寒々しい山頂が急に明るくなった気がした。
展望図を見ると正面に遠望される滝子山のその上に本来ならば富士山が有るはずだが今日はその姿は無く特徴のない山岳風景だった。それでも目を右に転じていく先に懐かしい雲取山が望めた事は嬉しかった。
当初、往路を戻る予定でいた私達は小田原のご夫婦の薦めで足毛岩方面に変更、主人が小屋迄ザックを取りに行っている間も話は尽きず別れ際になって奥さんは「なかなか離れられなくて困ったわね」と言い私達が登って来た小屋方向に下って行った。
山頂からは先ずつんのめる様な急下降から始まる。何分も歩かない内に後方を振り向けば川乗山の山頂は見上げる程の高さだ。先に足毛岩が見られると言う事で楽しみにしていたのだが全く分からないまま分岐迄来てしまった。
行き交う登山者も居ない道を下って沢に降り立つと右方に落差15mは有ろうか、滝が落ちている。二段になっており下段は一気に滝壺に落ちているので中々見栄えのする滝である。
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往路と合流し百尋の滝近くまでやって来た時、左足薬指の裏側に針で刺したような痛みが走った。雄さんが包帯を巻き固定してくれ痛みは治まったが今度は締め付けられる痛み、それを訴えたら「わがまま」と叱られた( ;∀;)
登る時には気付かなかった遭難碑に供えられていた枯花があまりに哀れだったので側に咲いていたキブシを手向け蛇行した林道を疲れた体に鞭打ちどうにかこうにか川乗橋に戻ったのが4時20分。
その時だ!
車を停めた付近から何やら物凄い音。❝もしや 家の車が川に落ちそれを引き上げている音?❞ 一瞬ヒヤッとしたがカーブを曲がると車は安泰。真上の資材輸送の線路上をひっきりなしに通るトロッコの音だった。
この山の登山口に至るまでも、登山を開始してからも
色々とアクシデントに見舞われたようですが、
無事に山頂にたどり着けてよかったですね。
それにしても標高差もさることながら、歩行時間が7時間近いとは
気が遠くなりそうです。とてもとてもです。^^;
トロッコの鉄橋も絵にもなりますが、どこへ運ぶのかも気にかかります。
色々大変でしたね、よく対応される雄さんです。
たかさんの左足薬指の裏側に針で刺したような痛みが走った・・手当の品の準備もシッカリ!
危なく救援要請にならずによかったですね。
行く先でのトラブルは気持ちの奥から叩きの目されますから。
百ひろの滝とはしぶきが道まで届きそうと思ってしまいます。
今のたかさんが健在で良かった、雄さんもバリバリですね? まだまだ若いな~(笑)
いつも思いますが、
何十年前の思い出写真を
大切に保存されて。
思い出もしっかりと鮮明に。
凄いな思います☺️
しかもトロッコ(*≧∀≦*)
ハルくん見たら
喜ぶだろうな😄
今日一日お疲れ様でした☆★☆
テル
素晴らしい登山日記です。
本が出せるんじゃーないですか?
>いきなり胸突きの急登となり
惚れ惚れする文体です
>(因みに一尋は両手を広げた長さを言う)
それで百回両手を広げた高さなんですね。
すばらしい注釈!
まるでオーケストラにキツツキのドラミング♪
いいですね~、
あっ、飛ばした!
>有難いかな焚火をして待っていてくれたのだ
なんと素敵なパートナーだこと!
二人の写真はオートですか?人に撮ってもらったのですか?
表情から後者に思えますが・・・。
>・・・話がはずみ裸木に囲まれた寒々しい山頂が急に明るくなった・・・
文学的表現です。
>二段になっており下段は一気に滝壺に落ちているので中々見栄えのする滝である。
滝の観察眼まですばらしい!
>「わがまま」と叱られた( ;∀;)
わっはっはっは、さすがリーダーです。
>❝もしや 家の車が川に落ちそれを引き上げている音?❞
そんな所に駐車していたんですか?
今回もなかなかの難所 欄干のない橋9本渡り
長い時間歩く
「先に行った雄さんを追って」そんなに離れてしまうんですか? 雄さんが待っててくれて一緒に登ってるものだと思ってました
トロッコ用のアーチ橋いいですね
タイムスリップしたみたいに古い橋 日本じゃないみたいな景色です
車が無事でよかったですね
見えるまでドキドキだったことでしょうね
qマップかYouTubeで検索したら見られます。
2~3秒の動画です。(笑)懐かしかったらどうぞ~~
轟音が響いてました(^^♪
ハプニングに次ぐハプニングでとても過酷な登山だったのですね
ご主人、山や応急処置にも詳しくて心強かったでしょう
たくさんの登山を経験され山をよく知っていらっしゃるたかさんたちなのでこちらの山も達成することができたのですね
本当にお疲れさまでした
9つも在る木橋は晴れていましたから良かったですが濡れていたらとても危険な橋で遭難碑がそれを物語っておりました。
ただ山行記に記した事で行程は分かるのですが滝にしても、橋にしても、どのくらい急坂だったのかも、山頂で会った方の事もこの山に限って写真を観ても思い出す事が出来ないのです。きっと特徴のない地味な山だったのでしょう。せめて小田原のご夫婦のお写真でも有ったなら少しは思い出せたかもしれませんが写させて頂かなった事が悔やまれます。
この辺りは林業が盛んな所ですのでトロッコは木材を運ぶためのものだったのでしょうか。今も使われているのかどうか?おそらく使われてはいないでしょうね。
その他に、時計が無くても時間の読み方、火の起こし方、天気の読み方等など登山者として学ぶ事は多いですよ。
これが安全で且つ楽しく登って来る為の必須条件なのでしょうね。
それが叶わなくなった今は潔く諦めて、それでも自然が楽しめるハイキングに衣替えです。
百尋の滝の動画、教えて頂き有難うございました。
お陰様で当時眺めただけで滝壺まで行けなかった不満が解消され百尋の滝を身近に感じる事が出来ました。
実際、主人は別の山と良く混同しておりますものね。 その都度、それは●●山、それは●●山と説明する私は大変です。
些細な事を記す事の大切さ、これは場面を思い浮かべるのにとても重要です。
今はパソコンで簡単に済ませてしまっておりますが、やはり手書きに叶う物はないですね。
ただそのエネルギーが、もう私に無いだけです。
トロッコ、ハル君に見せて上げたいです。