『いってらっしゃい気をつけてね』
山根 幸子 38歳
幸子の夫の久司43歳
夫の久司は夜警専門の警備の仕事をしている
夜10時から朝方の4時までの勤務だ
この仕事をする前は大手の電気社の課長をしていた
リストラで他の仕事を探すには大変な事だったが
夜警の仕事は人気がないのか大変なのか
面接に行ったその日に採用
即決と言うやつだ
久司の警備する範囲は7階のビル全部だ
面接の時に
『あくまでも噂だが夜になると幽霊が出るビルだと言われている、それでもいいか?』
念を押された
久司は幽霊なんて信じない、それと高校生になる一人娘の為にも働かなくてはならない
何事もなく
今日で警備の仕事が1カ月になる
幽霊なんて1度も出くわした事がない
2時間おきのビルの見回り
退屈だった
今日も普通通りに出勤する
警備室に入って驚いた
新人が居た
挨拶しようとしたら
『寒い』
そうだった、夜のビルは経費削減で暖房がない
季節は10月
黙ってドアを閉めた
『山根と言います、始めまして』
新人は返事もしない
何か訳有りなのか無口な男
話す相手が出来たと喜んだのは、つかの間だ
警備室にあるストーブの側でコーヒーを飲みながら新人を観察した
年齢差は、さほど問題ではないが挨拶の出来ない男に腹が立つ
『リストラにあったのですか?』なんて聞けないし
言葉を掛けるタイミングを待った
そして見回りの時間
『今日から二人なので見回りは一緒ですよね?』
返事もせずに懐中電灯を持ち1階に降りて行った
何なんだよ、愛想の悪いヤツ
久司は仕方ないので後ろを付いて行った
途中で新人とはぐれた
最初の夜だから勝手に回ってるのだろう
警備室に戻った久司は眠気覚ましのコーヒーをあおる
次の見回りの時間になっても新人は帰ってこない
久司は1階に降りて彼を捜した
彼は直ぐに見つかった
何と社長室に女性を連れ込んでいる
初日から大胆なやつ
仕事中に女性を連れ込むなんてと
社長室のドアの前で咳払いをして合図を送り仕事に戻ろうとする久司に大きな声で
『邪魔するな』
ビル中に木霊する程の怒鳴り声で叫んだ新人
呆れた久司
好きにすればいい、明日にでも社長にチクるか?
腹が立ったが今日は初日だ仲良く仕事しなくては
少しくらいサボったって何も変わらないし
久司も適当に見回りをして警備室に戻った
新人も戻っていた
『訳ありでここに居るのか?』
新人に、いきなり聞かれた
『ああ、前の会社をリストラされちゃって・・・』
何なんだよ?いきなり、ぶしつけな質問しやがって
しかし久司も同じ質問をした
『君は?どうしてここに?』
『お前みたいなやつを追い出しにだよ』
この新人はいったい何が言いたいのだろう?
*:・'゜☆。.:*:続く・'゜゜'・:*:.。.:*:・'゜:*
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