体に刺すもの刺して挿入するもの挿入して準備完了の後、手術が始まります。
胸部正中切開--胸骨をカッター(のこぎり)で切開します。ギコギコ・・・
心膜を切開します。切開すると心嚢液が流れ出すのかな?
上行大動脈に送血管をカニュレーションする
送血管とは人工心肺から体に血液を戻す管です。
脱血管は上大静脈と下大静脈にカニュレーションする
一般的に脱血管は右心房にカニュレーションするらしいのですが、手法はいろいろあるんですね。
脱血管とは体から集まってきた静脈血を人工心肺で処理するため取り出す管です。
心筋保護液を順行性に700ml、逆行性に300ml注入。
心筋保護液は十数分毎に何度かに分けて冠動脈から注入されます。
順行性とは通常の血液の流れに沿う流し方で、逆行性は出口から注入するという逆方向から注入する方法です。
これより人工心肺を運転開始します。飛行機で言えば離陸。
心筋保護液はカリウムが大量に含まれていて、循環すると刺激伝導系からパルスが出なくなり拍動が停止します。
肺循環が無くなるので、この時点で人工呼吸器は止めるのでしょうね。
脱血管で取り出された静脈血は一旦リザーバタンクに入ります。ついで人工肺に入りガス交換します。ここで酸素化が行われ動脈血になるわけです。
そしてローラーポンプで圧力を与えられ、送血管から大動脈に戻り全身を循環します。
人工心肺を操作する人をME(Medical Engineer)といいます。
ちなみに人工肺は使い捨てらしいです。
右側左心房を切開し、僧帽弁を観察
前尖A3と後交連が逸脱し、P3の腱策が一本断裂。
最初に逆流確認。
右上側(前尖A3)から逆流しているのがよくわかります。
弁形成開始です。その前に人工弁輪取付用の糸を通しておきます。
記念の一針目
針通し完了
人工弁輪取り付けの後、逆流を最終確認中です。
もう全くと言っていいほど、逆流はありません。
形成のために針を入れる毎に逆流を確認します。
これで弁形成は終了しました。ビデオ撮影はここで終了です。
この人工弁輪は繊維質ですが、一部金属が使用されているそうです。
僧帽弁の状態を確認中に見つかった心房中隔欠損部を閉鎖しました。
左心房切開部を閉鎖。
これで、心臓自体の手術操作は終了しました。
僧帽弁形成術の経験者の方は、およそこのような手順で手術操作が行われています。
これから弁形成の手術を受けられる方は、このような手順で形成が行われます、多分。
ご参考になれば・・・・
青い糸が使用されていましたが、ゴアテックスだそうです。
これは溶ける糸ではありませんので・・・・(笑)
溶けたらエラいことです。
いよいよ手術も後半です。野球でいえば7回表・・・かな?
体外ペースメーカーのリード線を右心房と右心室にそれぞれ固定。
大動脈遮断を解除し、心臓拍動開始。
体外循環より体内循環への切替を行う。離脱といいますが問題はなかった。
離陸に対してこれは着陸です。離脱の方が難しいそうです。
止血処置後、心膜縫合、大動脈被覆、ドレーン2本を心嚢内に留置。
胸骨をステンレス線8本で合わせ、皮下を縫合、真皮を連続縫合
表皮は縫い合わせてないので、体の表面に糸は見えません。ただ、左右から合わせてテープで留めてあるだけ。
以上で手術終了です。
ちなみに出血量は200mlでした。
少ない量ですね。わずか牛乳瓶一本分です。
実際には600ml程度の出血はあったのですが、大半は回収されて人工心肺に戻されています。
回収しきれなかったのが200mlになるわけですね。戻すというのもすごいと思います。
感染の危険があるわけですから・・・・どうやっているのでしょうね。
というわけで無輸血の手術でした。
貯血もしていなかったのでもったいないこともないし。。。
ちなみに、浅井先生が開設されているサイトでは手術の動画がいくつかアップされています。滋賀医大心臓血管外科のサイトにリンクが貼られています。
写真で物足りないと思われた方はそちらへどうぞ。。。
なお、その動画は私のではありませんので。