豆豆先生の研究室

ぼくの気ままなnostalgic journeyです。

フィアット・プント、三たび

2006年10月29日 | クルマ&ミニカー
 
 きのうの土曜日、暇つぶしに(正直に言うと、本当はちょっと気になって)、発売されたばかりのトヨタ・オーリスを見てきた。カローラ・ランクス(アレックス)の後継車に位置づけられるクルマのはずだが、とにかくデカイ。VWゴルフ、プジョー307などがライバルらしいが、ゴルフ・プラスよりも大きいのではないだろうか。5ナンバー枠をはみ出したというので車幅ばかり気になっていたが、現車を見ると、車幅よりもクルマ全体の図体のでかさが印象に残った。「見た瞬間、目を奪うもの。それはワイドなスタイル」とカタログ第1ページのコピーはいう。後のほうでは「ワイド&トールなプロポーション」ともいっている。それは、そのとおりなのだが・・。
 もちろん、RAV-4だとかハリアーなどのように大きいわけではないが、もはや“コンパクト・カー”といえる大きさではない。サイズを拡大しないで、居住空間確保の努力をするのがコンパクト・カーの任務のはず。10代目のカローラ・セダンではそれを守りながら、なぜハッチバックではこんな拡大に方向転換してしまったのか。“カローラ”の冠を外すことで何が得られるのか、ぼくには分からないが、どうもカローラの“冠”だけでなく、カローラの“美徳”まで外してしまったような気がしてならない。つまり、あくまで5ナンバーの小型車にこだわることで日本のクルマ環境を忘れないこと、とがったところがなく、運転を含めたすべてに適度感があること、中庸なスタイルだが、街中にあふれていても嫌みがない、そして、クルマで何かを自己主張しようとしているなどとは周囲から決して思われる心配がないこと、などなど。オーリスは、そんなカローラ・ファンの思いには応えてくれない。
 運転席はランクスよりよくなってる。シフト・ノブとサイド・ブレーキがユニークなレイアウトで、運転席に座るのが楽しそうである。シートはランクスよりもゆったりとしている一方、コックピットはそこそこにタイトで、スポーティーである。後部席の頭上空間は確かに広い。営業マンが車内で中腰になってシート・アレンジを説明できるくらいだった。しかしフロアがフラットになった割には足元はあまり広くなったという感じはしない。意外にもリアのドアの閉まり音、重量感もランクスに比べてチープな印象であった。
 CVT化などで燃費は向上しているし、きっと走りもそれなりによくなっているとは思うけれど、来年の車検の際にあえてランクスから乗り替えようという気は起こらなかった。ぼくにとっては、サイズだけでなく見てくれもランクスの勝ちである。つぎは12月発売の“ブレード”というやつを待ち、さらにはトヨタが新カローラ派生の5ナンバーサイズを維持した“コンパクト・カー”の名に値する5ドアハッチバックを作ることを期待したい(ダイハツに作らせたっていいではないか)。カローラ店のなじみの営業マンに、「ランクスの買い替え客にはどのクルマを奨めるつもりなの?」と質問したら、彼は返事に困っていた。カローラ店は持ち駒を1つ失ってしまったのではないか。

 話はかわるが、先日大阪に出張に行った折に、天王寺駅前のビジネス・ホテルの窓から外を眺めると、向かい側の道路に水色の3ドアの小粋なクルマが駐車しているのが見えた。一見ヨーロッパ車のようだが車種は何だろうと思ってわざわざ見に行くと、リアに“MIRAGE”とあった。なるほどと思った。まさにmirage(蜃気楼か幻想)を見た思いであった。どうもぼくの琴線にふれるクルマは決まっている。スバル1000以来のクルマのサイズ感に対するぼくの刷り込みは相当に重症である。もっか一目惚れの最中のフィアット・プントも、まさにこのサイズ感にジャスト・フィットするのである。本当はランクスでもちょっと大きい。そしてあのルックス。クルマは「見た目が9割」というわけには行かないが、しかし見た目が気に入らなければ乗っていても楽しくない。
 近所を散歩しているときに見かける好きな車のベスト3も、わが家のランクスを除けば、小じんまりとしたお宅のおしゃれな駐車場に停まっているホンダのロゴと(徳大寺氏は子どもにブーブーの絵を書かせたようなスタイルと酷評していたけれど、ぼくはフィットよりロゴのほうが好きだ)、野ざらしの貸し駐車場に置かれたダイハツのシャレードである(サイドミラーが運転席に近づいているから初代ではなさそう。チェックの布地のシートも悪くない)。もしある日散歩に出て、そのどちらかがなくなっていたり他のクルマに替わっているのを発見したら、きっと寂しい気持ちになるだろう。
 さて、オーリスがダメとなると、ぼくの問題は、来年の車検のときに、とくに欠点もなく乗り慣れたランクスに乗りつづけるか、一目惚れしてしまったフィアット・プントに乗りかえるかのどちらかである。じっくり悩むとしよう。

(写真は、イタリアのFIATのHPから。カタログや雑誌やネットで見かけたグランデ・プントのなかでぼくが一番好きなのが、ResponseのHPに載っているフランクフルト・モーター・ショーに展示されたグランデ・プントの写真である。あの角度から眺めたプントの顔とあの色[ベリーダンス・サンド?]に参っている。ちなみに2番目に好きな写真は、ネコ・パブリッシングから出ている「世界自動車図鑑FIAT」の15ページ右上の同じくサンド色のやつである。)

(2006年10月29日)

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