そういえば、
今日じゃないかったっけ?
おはようございます。
私がくも膜下出血で倒れたのは、
ちょうど、8年前か9年前の4月の、
ちょうど、これくらいの時期だった。
「ちょうど」と2度も記したが、どこがちょうどだ!
どっちも、あやふやじゃねーか!
なんなら、自分の誕生日も7月だったか8月だったかで悩むし、
我が家のおじさんの血液型が、何度聞いても覚えられない。
これは、病気の後遺症の影響ではない。
もともと、私は、そういう人間だ。
たぶんね。
しかし、病み上がりの数年間の自分は、入院時よりへこたれていた。
実際、それまで出来ていた事が出来なくっていた。
職も変わらざるを得なかった。
例えば、2+3の答えは出せても、5+8の答えは出せなかったのだ。
そりゃ今なら、もちろん即座に・・・ちょっと待って!
えっと、えっと・・・13?・・・だろ?だよね?あれ?
空に浮かぶ、光る球体を見て、
「あれは、なんだっけ?」と、悩む夜もあった。
感情のコントロールも上手く出来ず、
喜怒哀楽が目まぐるしく入れ替わっていた。
しかし、6年前の7月8日は、忘れない。
川の縁に流されまいとしがみ付いていた、
小さなド根性ムスメを、拾った日だ。
あの頃、私がもっとも、へこたれている時期だった。
どんよりした気分で歩いていたら、変な叫び声が聞こえて、
何だろうと川の方へ目をやったら、子猫がしがみ付いていた。
私は、無心でフェンスを乗り越え、川へ踏み込み、
そっと子猫を抱き上げてみたら、
その子猫は、可愛いというより面白い顔だった。
思わず、笑いながら着ていた上着にくるみ、
戻るために、またフェンスを乗り越えようとしたら、
フェンスに恥骨をぶつけて、一旦のたうち回った。
子猫を片手に乗り越えようとするが、なかなか越えられない。
「いってー、けど、おばちゃん頑張るからな!」と笑いながら空を仰いだら、
空は、こんなに青いのかと驚いた。
小脇に抱える子猫が、私の目に映る世界を一瞬で変えてしまった。
その後、子猫は、
アヤメの花のように美しくなりますようにと、あやと名付けられた。
もちろん、そんなロマンチックな名付け親は、私じゃない、おじさんだ。
あやは、文字を通り過ぎて、
アヤメの花畑を壊滅させる勢いで、お転婆の限りを尽くしたが、
その花が1本2本と散っていくように、
私の凝り固まった心が、砕けいく感覚を覚えた。
そして、気づいた。
私のスットコドッコイやオッチョコチョイや勘違いや早とちり、
計算が苦手なのも、誤字脱字も、
全部、病気や後遺症のせいじゃない。
元々ですやん!
ってね。
ところで、あやの名付け親はというと、
「おかっぱちゃん、あやちゃんがね、
僕が猫トイレの掃除してる間、ずーっと
背中に飛び蹴りしてたんだよ、ふふふふ」って笑ってらぁ。
あやさん?
君のご機嫌なお転婆に、私は助けられたんだよ。
まどろんでるのか?
あっ、おじさんが来るぞ!
全身で、邪魔って言ってる・・・
あや?嬉しそうにしろ!
あや?
あや?
君はもっと、いつもご機嫌なはずだろ?
ほら、いつものように、
しっぽをご機嫌に立たせてみせてよ。
あや?
蹴った!
咬んだ!
逃げた!
あやさん?
君は、本当に、ご機嫌な猫だな!