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銀座の5丁目にあった、小さな洋書店、イエナ。閉店してもう、どのくらい経つのでしょう。銀座の表通り、ビックブランド路面店が軒を連ねています。イエナなんて名前の、間口の小さな本屋を覚えている人も少いでしょうね。
福岡から東京に出てきたのは、大学になってです。高校のときも、知人宅に留り、ひと月ほど東京にいたことがあります。ひと回りも年が違うその知人が、連れてきてくれたのがイエナでした。
隣にある近藤書店と並んで、小さい入り口。本は天井近くまで棚に並んでいました。店の照明も、今のように明るくありません。まだ、20歳前の私など、本の背の題名を読むのにも時間がかかりました。丸善の洋書売り場とは、雰囲気が違います 。何年か前、銀座に行ってみると、イエナはもうありませんでした。店があったところで、なんだかポカーンとしてしまったことを覚えています。先日、福岡の実家で私の本の整理をしていると、懐かしいイエナのブックカバーがかかった本が出てきました。イエナが好きだったのは、このブックカバーが好きなのも、ひとつの理由です。 ジョージオーウェルですね。
日本も、ここ香港も本屋の形が変わってきています。随分昔のトムハンクスとメグライアンの出ていた映画、「ユウゴッタメール」。トムハンクスが経営する大手ブックストアー的な本屋が増えてきています。コーヒーも飲めて、子供たちが遊ぶ場所もあって。
メグライアンが譲り受けたような小さな本屋は、今では、古本屋ぐらいにしか、あの趣が残っていません。天井まである本棚、ちょっと薄暗い明かり、あの本の匂い。
25年前に香港に来たとき、本屋に入って同じ匂いを嗅ぎました。本が上から落っこちそうなくらい並んでいて、梯子も置いてあって。
時代が変わって、私だって、イギリスのAmazonに本を頼みます。それでも、小さな本屋が、なくなるのは寂しい思いがします。