雨、24度、96%
私より歳若い友人が亡くなって5年が経ちました。知らせを受けた時ちょうど私は福岡に帰って来ていました。天神の人混みの中でその電話を受けました。
お付き合いがあったのは10数年のことです。京都出身、ざっくりとそれでいて繊細な彼女でした。ご実家の京都に一時帰国後、必ずたくさんのお土産を頂戴しました。本当にたくさんです。香港に帰るなりすぐに知らせが入ります。「カルネがあるので明日には是非お渡ししたい。」「カルネ」とは彼女の好物の調理パンです。
初めて「カルネ」をいただいた時のことを忘れません。長い長い講釈付き、なぜ美味しいか、どう美味しいか。ご助言通りに温め直していただきました。見た目は普通の丸い柔らかいパンです。袋から出すとまず、「マーガリン」がふっと香ります。この「マーガリン」が曲者です。横半分に割られたパンにはロースハムが一枚、さらし玉ねぎの薄いものが入っているだけの代物です。温めているうちにこの「玉ねぎ」の香りと「マーガリン」の匂いで「食べたい!」と思ってしまいます。がぶりとかぶりつき満足。パンの柔らかさとハムや玉ねぎの量がいい具合です。「マーガリン」の油が少し口に残ります。すると「もうひとつ。」と思ってしまう「カルネ」です。はい、彼女の予想的中、私も「カルネ」が好きになりました。
彼女の命日に合わせて京都のご家族の方から「カルネ」を頂戴しました。しかも後引き「カルネ」とご存知なのか2個入っていました。温め直してガブリ。写真用に半分に切りましたが、丸のままかぶりついても品よく食べれる大きさです。
変わらぬ香りと味に友人の声と顔が胸いっぱいに広がりました。