気ままに

大船での気ままな生活日誌

常若(とこわか)の心

2009-08-05 11:07:05 | Weblog
昨日、伊勢神宮の、20年ごとに宮を建て変える式年遷宮、そしてそれ故の、いつまでも若々しい、”常若(とこわか)の心”についての記事を書いているときにふと、ある科学者の名前が想い浮かびました。

ロケット博士として有名な糸川英夫さんです。糸川さんは、研究テーマは10年ごとに変えるのがいいと、実際、はじめは音響学をやり、自身でバイオリンの設計をしたりしていましたが、次の10年は糸川さんを有名にした、宇宙ロケットの研究へと舵を切り、一段落すると、自身で研究所をつくり、海洋工学や地球環境問題等の課題に情熱を燃やしました。

式年遷宮の、同じものを20年ごと再建継承するという、意味合いとは異なりますが、糸川さんの10年ごとの研究テーマ替えは、伊勢神宮の”常若(とこわか)の心”と通じるものがある、と思ったのです。

ぼくも経験があるのですが、研究が一番面白い時期は、あるテーマの、研究をはじめて、2,3年の間です。ああでもない、こうでもない、といろいろな可能性を探り、実験を繰り返しているときは、夏休みの子供が、林の中に入り込み、カブトムシの棲みかや蝶の飛ぶ道を探しているような楽しい気分です。

そして、そのうち、ポイントがみつかり、そこに深入りしてゆくようになります。その段階にくると、もう、研究成果を公表できるようになり、論文も次々と書けるし、協力者も増えてきて、10年もたつと、その分野では第一人者にもなれます。

そのまま、さらにこの分野で研究を進めていけば、2,30年後には大御所として世間に遇されるようになるでしょう。自分で実験しなくても、弟子たちがどんどん仕事を進めてくれるようになります。たいていの科学者はこうゆう道を選びます。

しかし、糸川さんは、あの、研究の一番楽しい頃の自分はどこに行ってしまったのだ、と10年目頃に思い悩んだに違いありません。で、今までの研究業績をあっさり捨てて、新たな分野に挑戦していったのでしょう。そして、若々しい情熱を取り戻したのでしょう、まさに”常若(とこわか)の心”です。ぼくも糸川さんの研究スケールの大きさには及びもしませんが、似たような”研究航路”を選びました。

現役引退後も、趣味も多彩で、チェロの演奏、クラシックバレエなどもされたようです。”常若(とこわか)の心”はこの世を去るまで、続いていたのです。

また別の機会に、”常若(とこわか)の心”芸術家編を書いてみたいと思っています(汗)。
。。。

先日、訪れた国立科学博物館。宇宙線を検出する霧箱の前で、ボランティア説明員にいろいろ質問している子供たち。こうゆう常若の心、いつまでも、もちたいものです。

コメント
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