気ままに

大船での気ままな生活日誌

日本画の前衛

2011-01-19 11:20:25 | Weblog

竹橋の東京国立近代美術館で表記の展覧会が開かれている。前衛というから、現代日本画に起こりつつある前衛かと思ったら、そうではなくて、1930年代の日本画家たちが、抽象やシュルレアリズムを取り入れながら新たな絵を創造していていった”歴程美術協会”の作品が中心だった。はじめて観るものばかりで、それはそれで面白かった。

ちらし絵に採用されている船田玉樹の”花の夕”は、いわゆる日本画の”面影”を残しているが、そういう作品は少なく、多くは、これが日本画?というような作品だった。以下のような展示構成で、時代を追って、戦後、歴程を引き継ぐ形で、山崎隆らにより結成された”パンリアル”の49年までの作品まで観ることができる。

1.「日本画」前衛の登場
2.前衛集団「歴程美術協会」の軌跡
3. 「洋画」との交錯、「日本画と洋画」のはざまに
4.戦禍の記憶
5.戦後の再生、「パンリアル」結成への道
屏風がいくつもあったが、意外と”前衛日本画”が納まっていた。まるで文様のようで、旧家の和室に置いても似合いそうだった。日本画の”血”がその絵の中にあるからだろう。展示目録に気にいった作品に〇をつけておいたのだが、図録を買っていないし、10日ほど前なので、どんな絵か思い出せない(汗)。だから、個々の作品の感想は書けません。下にちらしの写真を載せますので、観てください。これらは、いずれも好感をもてました。
はじめて常設展に入ってみた。こちらは、有名作家の作品がずらりで、気楽に楽しめた。いきなり萬鉄五郎の”裸体美人”。茅ヶ崎の美術館でもみたものだ。緑の草の上に横たわる赤いズボンをはいた半裸の女性。いいな。日本画では、速水御舟は寒牡丹の絵(門の絵もあった)、栖鳳、深水、青邨、清方、大観、そして東山魁夷。洋画も、藤田嗣治、岸田劉生、佐伯、坂本繁二郎、安田曾太郎など。そして滝口修造特集も。あ、そうそう、棟方志功の”二菩薩釈迦十大弟子”の大作もあった。久しぶりに観ることができ、うれしかった。近美の常設もなかなかいいな、また来よう。
あの日は、その後、何処に行ったか、思い出せない。いよいよ、ぼけが始まったかな。
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仏教伝来の道 平山郁夫と文化財保護

2011-01-19 09:39:55 | Weblog

トーハクで表記の展覧会が始まった。平山画伯と同じ鎌倉市民としては、一般公開初日にいかねばならぬ、と”いざ上野”と馳せ参じた。2009年12月に他界されたので、ちょうど1年目に東京国立博物館の特別展が開かれたことになる。画壇の”大銀杏”的存在だったから当然のことといえるだろう。

平山さんは38歳のとき始めてシルクロードを訪ね、生涯150回も訪ね、4000点もの素描を残している。そのとき、この地域の貴重な文化財が破損している実態を目の当たりにして、その保護に力を尽さねばと決意した。2001年のアフガンのターリバン政権によるバーミヤン大仏の破壊にはひどく心を痛め、その後の国際会議で、大仏の復元の提案がされたとき、平山さんは断固反対した。その理由は、21世紀初頭におこった、あってはならない文化財破壊のシンボルとして、皆が決して忘れないように、そのまま保存しておくべきだといいうことだった(破壊前の大仏の素描が今回、展示されている)。

破壊だけではなく、盗掘など流出する文化財を”難民”としてとらえ、一時的に保存、修復し、平和が戻ったとき、その国に返還するという、お考えをもっていて、貴重な仏像等の蒐集を行った。

これら、多くの文化財(多くは清里の平山郁夫シルクロード美術館所蔵と流出文化財保護日本委員会保管)が、インド、パキスタン(ガンダーラ)アフガニスタン(バーミヤン)、中国(西域、敦煌、西安)、カンボジア(アンコールワット)という流れで、展示されている。

そして、文化財保護活動の結実として、今回の目玉、薬師寺玄奘三蔵院に寄進された、”大唐西域壁画”が全点、展示されている。ぼくは薬師寺で2回観ているから、三度目だ。堂内とは違った印象はある。展示室が広いこともあるのだろうか、とりわけ西方浄土、須弥山はより壮大に険しくみえた。逆に最後の、”ナーランドの月”にかすかに描かれた人影(この壁画の完成を前に亡くなられた高田好胤管長の姿を託したとも、三蔵法師の姿ともいわれる)が、堂内の方がもう少しはっきりしていたような気がする(気がするだけであるが)。隣りの部屋には、この大下図があった。これはもちろん初見で、鎌倉の自宅で描いていたものだ。あとで一階のビデオで知ったのだが、”絵身舎利”といって、この壁画自身が玄奘三蔵院のご本尊なのだそうだ。

平山郁夫画伯は、今、この絵と共にご本尊になっていらしゃるのだ。また、薬師寺にお戻りになった頃、訪ねてみよう。平山画伯の偉大さを再確認できた展覧会であった。

 

 

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