先日、ＮＨＫの”小さな旅”で、山下公園の一角にある、インド水塔が取り上げられていた。探しに出掛けた。何度も歩いている公園なのに、見過ごしていた。今回もすぐに見つからず、海沿いの公園を往復してやっと見つけた。いつもみているのに見ていなかった塔だった。
山下公園は、大正１２年（１９２３）の関東大震災で破壊された建造物の、大量のがれきを埋め立てて造られたそうだ。さらに、がれきの上に１メートルの厚さで土をのせ、木を植えた。昭和５年に公園は完成した。
インド水塔は、その約１０年後に公園の脇に水飲み場として建てられた。大震災で被災したインド人が、住む家もなくなり、離散していたところ、横浜の人達が住宅を提供するなどして、横浜に戻してあげた。この恩義に対して、昭和１４年に在日インド人協会が寄贈したのだそうだ。
心温まるはなしではないか。その水塔は、小柄ながら、うつくしさでは横浜三塔にまけない、と思った。青空に映える、丸い、青緑のドーム状の屋根もいいが、内部もいい。天井の、色とりどりのタイルで飾られたモザイク模様は、当時の横浜の人、インドの人の心のようにうつくしく輝いていた。
