気ままに

大船での気ままな生活日誌

平賀敬美術館

2011-10-14 10:03:15 | Weblog

箱根湯本の温泉街をぶらついているとき、偶然、この美術館をみつけた。早川にかかる橋を渡り、蕎麦屋の名店”はつはな”を横をみて、さらに小路に入ったところに平賀敬美術館はある。木造建築の日本家屋だが、いかにも由緒ありげな建物だ。それもそのはず、”明治後期に建築され、井上馨、犬飼毅、近衛文麿などが逗留した。2003年に国の登録有形文化財に指定”との案内プレートが入り口にあった。

玄関に入ると、70代と思われる、和装のうつくしい女性が現れた。まるで中原淳一の”ひまわり”とか”それいゆ”に出てくる美少女がそのまま年を重ねたような美貌だった。この方が故平賀敬画伯の奥さんで、美術品の案内をしてくださる。はじめ、画伯のインタビュー番組をビデオでみることのできる和室に案内される。ぼくには、はじめての画家だから、とても参考になる。1936年に東京に生まれ、立教の経済を出て、画家になったそうだ。64年に国際青年美術家展で大賞をとり、その後、パリのモンパルナス等で活躍。奥さんは帰りたくなかったそうだが、10年ほどで帰国、大磯にアトリエをもち活動する。ざっと、こんな経歴をもつ。

さて、美術品だが、その和室の壁や廊下にも展示されているが、蔵に主な作品を置いてある。奥さんが、この絵は、私の一番好きな絵、私をイメージして描いてくれたの、という。ほら、裸の女性がみんな、ほかの絵に比べるとおだやかで、やさしいでしょ、あの青い顔した男が主人、とうれしそうに説明してくださる。明るい色彩、ちょっぴりエロチックで、どことなくおかしい(ユーモア)、マンガ的、そんな画風である。

ぼくと同じ、落語フアンでもあり、志ん生が大好きで、パリでもよくテープを聞いていたという。志ん生の吉原の廓噺しを題材とした絵もいくつかあるとのこと。それと子供のころ(戦後)娼婦に可愛がられたこともあり、彼女らに親近感をもち、彼の絵によく”出演”している。一方、世の中、つまらねえ、とも思っていたそうで、坂口安吾のフアンでもあったから、彼の絵は、志ん生と安吾をかきまぜて、平賀のエレキテル(笑)でびびっと描き上げたというところだろうか。笑いと涙が共存するような、不思議な雰囲気をもつ絵である。

十分、楽しんで帰ろうとしたら、奥さんが、湯本駅近くの、画廊喫茶ゆとりろに寄ってごらんなさい、平賀の絵が飾ってありますから、とおっしゃった。また、そこで平賀作品を楽しんだのはいうまでもない。

平賀敬美術館

蔵の美術館

 

画廊喫茶ユトリロの室内。 前室にはユトリロの作品、うしろの部屋には平賀作品がある。コーヒーもとてもおいしかった。また、来てみよう。

 

コメント
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