おはようございます。
”神のごとき”と讃えられたミケランジェロの彫刻が二点も、上野の国立西洋美術館に”降臨”されている。ミケランジェロの大理石彫刻は、ピエタやダビデ像など世界に40点ほどしかないという。そのうち、1/20(笑)が来日したというのだからすごいこと。ぼくのブログを調べると、2013年に当館で”システィーナ礼拝堂500年祭記念/ミケランジェロ展”が開かれている。このときは礼拝堂の天井画などの素描のほか、彫刻では、大理石のレリーフ”階段の聖母”が展示された。
今回の特別展、”ミケランジェロと理想の身体”は、ミケランジェロの大理石彫刻作品、”ダヴィデ=アポロ”と”若き洗礼者ヨハネ”の二点を目玉に、総計70点ものルネサンス期と古代ギリシャ・ローマ時代の作品を並べて展示し、両者の”理想の身体美”を対比し、分析しようというものである。
はじめに、唯一、撮影可能であった”ラオコーン”におでましいただこう。ミケランジェロ(1475-1564)は、1496年にフィレンツエを去り、ローマにしばらく移住した。滞在中に、二十歳台後半でサン・ピエトロ大聖堂のピエタ像(1498-1500)とダビデ像(1504)を完成させている。1506年に、古代彫刻の傑作、ラオコーンがローマで発掘された。もちろん、31歳のミケランジェロが駆け付けたことは言うまでもない。それをモデルにヴィンチェンツォ・デ・ロッシが1584年頃摸刻したものである(完全な摸刻ではない)。
ギリシア神話のトロイアの神官ラオコーンと2人の息子が海蛇に巻き付かれている情景。
では、ミケランジェロのふたつの大理石彫刻をごらんください。いずれも、写真はちらしからのものです。
若き洗礼者ヨハネ(1495) 20歳のときの作品。早くも、古代ギリシャ・ローマ時代の理想美を表現しているとのこと。
本作は、20世紀前半のスペイン内戦によって大きな被害を受け、残された14の石片(本来の姿の約40%)から復元が行われたという。
復元の様子
ダヴィデ=アポロ(1530年頃) 55歳頃の作品。未完成で、主題が聖書の英雄、ダヴィデのようであり、ギリシャの神アポロのようでもあり、というわけで、玉虫色の主題になっている。壮年期の作品なので、あの、二十歳台の傑作”ダヴィデ像”を超えた、という見方もあるようだ。
果たして、背負うのは、ダヴィデの投石器か、アポロの矢筒か。ミケランジェロはどちらを彫るつもりだったのか。残された大理石のみが知る。ノミ跡を見るのも楽しい。
古代ギリシャ・ローマ時代とルネッサンス期の作品にみる、理想の身体を子供と青年像で比較する。古代より受け継がれた理想の身体。
子供
青年
ミケランジェロ肖像画 (バシニャーノ、17世紀初頭)
とても素晴らしい展覧会でした。
”考える人と花シリーズ”。考える人と木槿。
それでは、みなさん、今日も一日、お元気で!