おはようございます。
あの日は、猛暑の中、都内をうろついていた。もう、限界、涼しいところでゆっくりしたいと思って、最初に思いついたのが出光美術館。あそこには、お濠端を見下ろせる休憩所がある。冷たいお茶も飲み放題(笑)。というわけで、まず20分ほど、熱くなっていた身体をここで冷やした。そして、展覧会へ。”歌仙と古筆”展。なんと、柿本人麿の像を神さまのようにまつる”人麿影供(えいぐ)”の始まりからちょうど900年になるそうだ。加えて、今年は、西行法師の生誕から900年とのこと。面白い巡り合わせのこと。それらの記念展である。
というわけで、お二人に関連した作品が並んでいる。第1章は”歌神となった人麿/人麿はどのように描かれたか”。佐竹本・三十六歌仙絵からはじまり、土佐光起らの作品につづいて、岩佐又兵衛が登場。人麿像に加えて、山辺赤人、藤原高光、源宇于像も、さらに、三十六歌仙・和漢故事説話図屏風もあり、5点もの展示。又兵衛フアンとしてはうれしい展示。特等席には宗達の”扇面散図屏風”。椅子に座って、ゆっくり眺める。人麻呂像は、よれよれ烏帽子に、斜め上を仰ぐような姿勢で、右手に筆、左手に短冊をもつ佐竹本のポーズが、その後もベースになっている。
佐竹本・三十六歌仙絵”柿本人麿”画/伝 藤原信実 詞書/伝 後京極良経(鎌倉時代) 重要文化財 (前後期で山辺赤人、住吉大明神も)
第二章:”描かれた歌人たち”の中に西行法師関連が登場。宗達の西行物語や伝西行の中務集など。
西行物語絵巻 画・伝宗達、詞書・烏丸光広
中務集 伝 西行 平安時代 重要文化財
そして、第3章 国宝・古筆手鑑”見努世友(みぬよのとも)”と古筆の世界へ。
見努世友の名称は、徒然草十三段の”ひとり燈火のもとに文をひろげて、見ぬ世の人を友とするこそ、こよなう慰むわざなれ”に由来するとのこと。 久し振りの対面。
古筆手鑑・見努世友 平安~室町時代 国宝
第4章の近世歌仙絵の変奏では、鈴木基一の三十六歌仙図が華やかだ。
三十六歌仙図 鈴木其一
この展覧会はもう終了。見ぬ世の友ともしばらくお別れ。次回、”江戸名所図屏風と都市の華やぎ” もまた、猛暑の中、訪ねるようになるのだろうか。
それでは、みなさん、今日も一日、お元気で!