こんばんわ。
二月歌舞伎千穐楽、昼の部の最初の演目は”義経千本桜/すし屋”。数年前、菊五郎のいがみの権太で観ている。今回は、初世尾上辰之助三十三回忌追善公演ということで、ご子息の尾上松緑がいがみの権太を演じる。辰之助もこの役で舞台に上がり、祖父のニ世松緑は当たり役だったそうだ。
大和国下市村のすし屋で、奉公人として働く品のよい弥助(菊之助)は、実は、落ち延びている平維盛。主人、弥左衛門(團蔵)が旧恩からかくまっているのだ。娘のお里(梅枝)はそれとは知らずに弥助を慕っている。そこへ、勘当されている総領息子、いがみの権太(松緑)が帰ってくる。いつものように、母親おくら(橘太郎)をだまし、金をせびりにきたのだった。
一方、維盛の隠れ家をつきとめた梶原景時(芝翫)がこちらに向かっているという。弥左衛門はにせ生首を用意し、維盛を逃がそうと考えていた。そんな中、偶然、維盛の妻、若葉の内侍(新悟)と子供の六代(亀三郎)が、一夜の宿乞いにきた。親子の再会もつかの間、景時がもうすぐ詮議に来るとの知らせに、お里の機転で、三人をすぐ父の隠居所に逃がす。これらの一部始終をみていた権太が悪巧みをし、景時から大金をせしめようとする。
権太は、最前、母からせしめた銀を隠した鮓桶を小脇に抱え駆け出して行く。しかし、その桶は銀を入れた桶ではなく、弥左衛門が生首を入れたものだった。
景時がやって来て、維盛の首を差し出せと、弥左衛門に命ずる。ちょうど、そのとき、権太が生首を下げ、縛り上げた母子を差し出す。景時は首実検をし、うなずき、一件落着と、権太に褒美として陣羽織を渡し、立ち去る。
してやったりと得意そうな権太をみて、怒った父親が小刀を取り出し、権太を刺す。ところが、息絶え絶えで息子が話す言葉に仰天。実は、生首は父親がもってきたもの、妻子は権太自身の妻子だった。改心して、維盛を助けるための大芝居をうったのだった。
この様子をみた維盛は、褒美の陣羽織を頼朝に見立て、引き裂き、恨みを果たそうとする。ところが、その陣羽織には意味ありげな一首がしたためられていた。さらに、袈裟と数珠が縫い込まれていた。これは、かって、維盛の父の重盛に命を助けてもらった頼朝が、その恩に報いようと、維盛の命を助け、出家を勧める暗示であったのだ。
早まって刺してしまったと、おいおいと泣く家族に囲まれ、権太は静かに息を引き取るのであった。
とてもいい芝居であった。
それでは、おやすみなさい。
いい夢を。
今日は東御苑に行ってきました。明朝、レポします。