今まで、元時代(14世紀)にあらわれたいう、白地に青の文様の、青花(染付)は、どれもこれも同じようにに見えて、あまり面白くないと思っていました。でも先月、松岡美術館で、結構いいなと思うのが、いくつかあって、染付にも関心をもつようになりました。とにかく初心者ですから(汗)。
今回、東博の染付展をみて、染付もなかなかいいじゃないかと、さらに”前進”しました(笑)。染付の源流は元時代の青花ですが、それが、ベトナムや朝鮮、さらに日本に渡って”進化”してゆく、その様が一堂にみられ、なんとも楽しい展覧会になっていました。
ぼくは、源流の元時代のものより、支流の、朝鮮やベトナムの染付の方に惹かれました。18世紀、朝鮮時代の青花秋草文壺も気に入ったひとつです。余白をいっぱいとり、淡い青色の秋草が控えめに咲いている。ああ、これも染付の一種なんだ、生物の進化と同じで、ずいぶん多様性があるんだな、と思いました。
これは、朝鮮の青花秋草文筆筒(ちらしの写真から)
日本の染付は伊万里と鍋島対決(笑)。ふむふむ、なかなかいいですね。日本人好み(あたりまえ)の染付。ぼくが気に入ったのには、出品目録に○をつけていますが、3対0で鍋島の勝ち(笑)。あ、そうそう、元商工省陶磁器試験所長だった平野耕輔さんの伊万里染付大皿コレクションのコーナーがあって、それに二つの○がついていましたので、正確には3対2。甲乙つけがたしというところかな。ワイフは伊万里も鍋島も好き。九州出身だから、九州のものなら何でもいいのだろう(爆)。そういえば、唐津もいいと言ってたし。
鷺の文様の、鍋島皿。
はっと思ったことがひとつありました。前述の平野コレクションのコーナーだった思いますが、大皿ふたつに、それぞれ山の幸(まつたけ)と海の幸(えびや貝類)が盛りつけて展示してありました。白地に青の文様の、地味な大皿が、なんだか、とても活き活きとして、またうつくしくみえました。そうか、ぼくらは、普段、美術品としてしかみていないですが、本来はこうゆうときに、(働いているときに)美しく輝くのが、いい食器なのかもしれないと思いました。
ぼくの心を見透かしたように、ラストの展示室のテーマは”染付の美を活かす”。”お茶とお酒のおもてなし”の例として、染付を中心とした茶道具や食器類が、それぞれ、セッティングされていました。やはり、どの染付も、輝いていました。働いている姿はうつくしいのだ。
こんな食卓で毎日、晩酌ができたら、なんてすばらしいことだろう。ぐい飲みは、さすがに染付ではなく、唐津だった。この前、平塚の骨董屋さんでみた18万円の唐津のぐい飲みを思い出した。よく似ている。でも、これはその10倍の値だろうか。
染付の源流 元の染付