こんばんわ。
港のみえる丘公園にある神奈川県立近代文学館で樋口一葉展を見てきた。もう終了してしまっているが、記録だけはしておこうと思って書き始めている。
樋口一葉というと、ぼくは鏑木清方の樋口一葉像をまず思い出す。清方は実際に会ったことはないが、少年のころから憧れていて、”たけくらべ”や”にごりえ”は暗唱するほど愛読していたという。試しに描いた一葉図が、鏡花によく似ていると言われ、一葉の妹さんを参考にしながら、本格的に描いたのが”一葉”だ。展覧会でもこれ(複製だが)が迎えてくれる。
実際の写真はこうである。雰囲気がよく似ている。
樋口一葉/背景=「たけくらべ」原稿 日本近代文学館寄託
樋口一葉については、10年ほど前に、台東区竜泉の一葉記念館に行っているし、2年ほど前、山田五十鈴が一葉役で、たけくらべのモデルになった近所に住む娘に高峰秀子が演ずる映画、”樋口一葉”を鎌倉で見ているので、ある程度のことは知っている。と、思っていたが、多くは忘れていた(汗)。本展では、子供時代からの一葉史が、豊富な資料、写真などで展開される。
一葉は、明治の半ば、困窮の中、”奇跡の十四か月”といわれる短期間に”大つごもり”、”たけくらべ”、”にごりえ”と宝石のような作品を書き上げると僅か二十四歳の若さで亡くなった。
公式サイトによると、雅俗折衷体で書かれた一葉の作品は、現代人には一見馴染みにくいものかもしれません。しかし、家族制度や女性差別、貧困などのなかで苦闘し続けた一葉の人生、そして作中人物が背負っている闇は、現代社会にも通じる問題を孕んでいます。本展では、一葉の貴重な資料の数々を展示するとともに、時代の空気、作品の背景などをひもとき、その普遍的な魅力を伝えます(公式サイトより)。
ここは、いつも写真撮影禁止なので困る。ぼくの手に入る資料や公式サイトの図をお借りして色付けしたい(笑)。
清方の”にごりえ”の挿絵も複製であるが展示されていた。
主人公は銘酒屋”菊の井”の、一枚看板のお力。中肉のすらりとした背格好。天燃の色白をこれみよがしに乳のあたりまで胸をはだけ、立ち膝、長キセルで煙草をすぱすぱの不作法を咎める人はいない。
男ぶりも気前もいい三十男の結城朝之助(とものすけ)と知り合い、お力は三日も来なければ手紙を出すほどになっていた。ある日、二人はしめやかに、話していると、源七が来たと耳打ちされる。(以下省略)
銘酒屋 ”菊の井”の模型も飾られていた。
木村荘八の”たけくらべ絵巻”などの書画等も多数、展示されている。
一葉筆 荒物・駄菓子店の仕入帳 (山梨県立文学館蔵)字がとても上手。ほかに、一葉自筆の原稿、書簡など多数。
愛用の笄(こうがい)と髪飾り (山梨県立文学館蔵)ほかに文机、硯、筆立て、着物などの遺品も。
これは、展覧会にはなかったものだが、ぼくのブログ展覧会には〆で載せようと思う。清方作の”一葉女史の墓(明治33年)”。”たけくらべ”の美登利が、樋口家の墓にもたれる図。 美登利が持つ水仙の作り花は、小説の最終章で、恋しく思っていた信如が修行に発つ日の朝、格子に挿されていたもの。
すばらしい展覧会でした。
では、おやすみなさい
いい夢を。
ルノアールの”座るジョルジェット・シャルパンティエ嬢” 今日は京橋へ行って来ました。