君が送る風

名探偵たちに、乾杯

作家・西村京太郎さんの訃報を夕方のニュースで知りました。91歳と聞いて、いつの間にかそんなにお年を召していらしたのねと思いました。





私が初めて西村氏の著書に触れたのは小学5〜6年生の頃。それまで図書館や学級文庫で本を読む習慣のあった私は、少し難しい本も読めるようになった頃、母の部屋で氏の小説を見つけました。
初めて触れる、子供向けではない小説。
どの作品かは忘れましたが、おそらくトラベルミステリーであったと思います。子供ながらになかなか面白く、すぐに氏の作品の虜になりました。

時は少し流れ中学3年のある日、学校の休み時間に氏の小説を読んでいた私に友達が話しかけました。西村京太郎の本がウチにもあってそれが結構面白かったよと。
それはトラベルミステリーではありませんでした。
名探偵シリーズと呼ばれている作品たちです。





東西の名探偵たちを一同に集めて謎解きをさせるというパロディミステリー4部作。エラリー・クイーン、メグレ、エルキュール・ポワロ、明智小五郎が登場します。
本家本元の彼らではないと分かっていながら、しかし私は西村京太郎さんの描く明智小五郎に心惹かれてしまいました。初老の姿で登場しますが、身のこなしがとてもスマートで格好良かったのです。

そこから江戸川乱歩、横溝正史、アガサ・クリスティー、松本清張…と次々とミステリーの世界へと私は導かれていきました。西村氏の著書はその後も読みあさりましたが、『殺しの双曲線』は特に大好きな作品で何回も読み返しています。





西村京太郎さんは私に活字を追うことの楽しさを教えてくれました。惜しまれますが、彼が残してくれた作品たちはきっと多くの人の心に刻み込まれることと思います。
感謝の気持ちと、ご冥福を心よりお祈り申し上げます。






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