2018.02.11 『ルイの9番目の人生』@HTC有楽町
すごく見たくてテアトルメンバーは1,000円で見れる金曜日に行こうと思ってたら意外に忙しくて行けなかった💦 そうこうしているうちに上映回数が減っちゃった💦💦 入会時に貰った割引券があったことを思い出し、2月11日日曜日に見に行くことに決定! 割引券での購入は窓口でしか出来ないのだけど、3日前から購入可能ってことで、ローストビーフ(記事はコチラ)前に購入! 楽しみに行ってきた~
ネタバレありです! 結末にも触れています!
「9歳のルイ・ドラックスは両親とピクニックに出かけた際、崖から転落して一時は死亡宣告される。しかし、その後息を吹き返す。アラン・パスカル医師は昏睡を研究しており、ルイの担当医となる。ルイは9年間に8回死にかけていたことが分かり・・・」というあらすじは、ちょっとボカしている。これはなかなかおもしろかった。実はオチやその原因について知識があったので、途中でこれはそういう話だなと分かってしまったのだけど、それでもちょっとオカルト的な要素も入ったサスペンス演出で、飽きずに見ることが出来た。9年間に8回死にかけたってこと以外予備知識を入れなかったので、タイトルからある仮説を立てていたのだけど、見事にハズレてた(o´ェ`o)ゞ
アレクサンドル・アジャ監督作品。作品は『ミラーズ』(感想はコチラ)、『マニアック』、『ホーンズ 容疑者と告白の角』を見た。なるほどオカルト的な要素が入ってる感じが共通しているかな。作品について毎度のWikipediaから引用しておくと・・・ 『ルイの9番目の人生』(ルイのきゅうばんめのじんせい、The 9th Life of Louis Drax)は2016年に公開されたイギリス・カナダ・アメリカ合衆国のスリラー映画である。監督はアレクサンドル・アジャ、主演はジェイミー・ドーナンが務めた。本作はリズ・ジェンセンが2004年に発表した小説『ルイの九番目の命』を原作としている。
アンソニー・ミンゲラはリズ・ジェンセンの『ルイの九番目の命』を映画化する構想を抱いていたが、2008年に逝去した。息子のマックス・ミンゲラが父親の意志を引き継いで映画化にこぎ着けたのが本作である。2014年8月、ジェイミー・ドーナンがアレクサンドル・アジャ監督の新作映画に出演すると報じられた。9月、サラ・ガドン、アーロン・ポール、エイデダン・ロングワース、オリヴァー・プラット、モリー・パーカー、バーバラ・ハーシーらの出演が決まった。
2016年5月、ソーダ・ピクチャーズが本作の全英配給権を購入したとの報道があった。6月、サミット・エンターテインメントが本作の全米配給権を獲得したと発表した。本作に対する批評家の評価は芳しいものではない。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには59件のレビューがあり、批評家支持率は39%、平均点は10点満点で5.1点となっている。サイト側による批評家の見解の要約は「『ルイの9番目の人生』は興味をそそられる作品で、画面の出来も上々である。しかし、断片的な要素がちゃんと纏まっていない。」となっている。また、Metacriticには20件のレビューがあり、加重平均値は41/100となっている。とのことで、ストーリー以外はほぼ完コピ。
公式サイトからもう少し補足しておくと、原作者のリズ・ジェンセンの祖母は、行方不明の息子を探してスイスの崖から転落死してしまったそうで、リズ・ジェンセンは心の整理をするため、ミステリー小説を書くことにしたのだそう。なるほど、そんなことがあったのね😌
ロケはバンクーバーで行われ、リバービュー病院の100年前からある精神病棟が使われたのだそう。美術監督のレイチェル・オトゥールによると、病室はフランク・ロイド・ライトの"人間と自然の調和"という理念をもとにデザインしたとのこと。
原作は未読なのでどこまで忠実に映画化されているのか不明。父の遺志を継いだとはいえ、製作と脚本を手掛けたマックス・ミンゲラは、今作のために製作会社まで立ち上げたということだから、そんなに大きく変えてはいないのかなと思ったりする。勝手な想像。ところで、マックス・ミンゲラって俳優でもあるよね? たしか『アレクサンドリア』(感想はコチラ)で奴隷役をやってたと思うのだけど。
冒頭、アラン・パスカル医師(ジェイミー・ドーナン)が講演をしているシーンから始まる。テーマは昏睡について、パスカル医師は小児科の医師らしいけれど、コーマ(昏睡)について研究しているっぽい。子供のころ夢遊病だったこともここで告白している。テーマとしては重く暗い感じだけど、軽妙なトークで笑いを誘い、講演は大成功。てっきりルイが主演だと思っていたので、このシーン必要かなと思っていたけど、どうやらパスカル医師が主役らしい。なるほどそうなると納得いく部分もあったりする。
病院にルイ・ドラックス(エイダン・ロングワース)が救急搬送されて来る。医師による緊急処置が施されるも死亡が確認される。しかし、ルイは霊安室で息を吹き返す。正確な時間は忘れてしまったけど1時間以上死亡していたそうで、極めて珍しいことらしい。担当した医師は誤診してしまったのではないかと落ち込む。息を吹き返しはしたものの、全身骨折で昏睡状態。これはパスカル医師の患者だということになり、ルイは彼が担当する病室に移される。ここは急患ということで、当然ながらスピード感のある展開。美しい女性が付き添っている。彼女はルイの母親のナタリー・ドラッグス(サラ・ガドン)。息子を心配する彼女は儚げで美しく、男性なら守ってあげたくなると思う。そして、どことなく妖艶な雰囲気。でも、いやらしくはない。この感じは今後ますます増してくることになるけど、そのさじ加減が素晴らしい。サラ・ガドンがスゴイ。
ここからルイの回想が始まる。どうやら原作も昏睡状態のルイの語りとなっているそうで、原作者のリズ・ジェンセンは映像化は無理だと考えていたらしい。ルイは9歳の誕生日のお祝いに、母親と別居中の父親ピーター・ドラッグス(アーロン・ポール)とピクニックに出かけ、崖から転落したのだった。現在、父親は行方不明。実はルイは生まれてから8回死にかけている。赤ん坊の頃寝ているベビーベッドの上に照明器具が落下したり、感電したり。1年に1度は死にかけているのだった。学校では不思議な子として浮いてしまっている。8回も死にかけているのは異常なことなのに、ルイのナレーションで、ポップでコミカルに見せる。ルイがまだ幼い子供なので、そのことを深刻に受け止めていないということも取れるけれど、後にその理由が分かるととても切なくなる。
実は見る前にある仮説を立てていて、それはルイは実は猫でしたってオチ。8回死にかけているということと、9番目の人生というタイトルから推測。猫は9個の人生を持っていると言われているんだよね? で、どうよこの仮説と思いながら見ていたら、この回想シーンでナタリーが寝ているルイに猫だったらあと1回しか人生が残ってないという感じのことを話しかけていて、早々と間違っていたことが判明したわけです(o´ェ`o)ゞ まぁどうでもいいことだけど。
学校の描写はあったかもしれないけど失念。要するにいじめの具体的な描写はなかったと思われる。なので、彼がいじめにあっているのかは不明だけど、年に1回死にかけているルイは学校でも浮いた存在らしい。自分が何度も危険な目に遭うストレスからか、ルイはハムスターを飼っては殺していた。たしかそのあたりが原因でドクター・ペレーズ(オリヴァー・プラット)のカウンセリングを受けることになる。反抗的というよりは、どこか達観しているというかそんな感じのルイ。扱いやすい子供ではない。ここからはペレーズ医師との会話で、ルイの過去や両親のこと、ルイの人となりなどを説明する形になっている。
ルイはピーターが自分の本当の父親ではないのではないかと思っている。そのことの根拠として話したのだと思うけれど、ある日ピーターと2人で動物園に行った時、ある女性から話しかけられた。女性は夫と思われる男性と、ベビーカーに乗った子供の3人で来ていて、気さくに話しかけてくるけれど、ピーターは気まずそう。会話の内容などから、彼女とはかつて恋愛関係にあったのだろうことは想像がつく。彼女の夫はピーターに、君があのピーターかと言う。これセリフではfamous Peterって言ってた気がするけど違ったかな? リスニング自信がない。なら書くなよ(笑)
ピーターは彼女たちに会ったことをナタリーに内緒にしようと言うのだけど、ルイは話してしまう。この時のルイの心境が分からない。単純に無邪気に話してしまったというのとも違う気がする。これを聞いたナタリーは激怒。2人は喧嘩になってしまう。そのことも予想してナタリーに話したように感じたのは気のせいかな。後に分かる事実からすると間違っていないように思う。この女性については後に判明するけど、ピーターの先妻。
ルイとペレーズ医師のカウンセリング場面は、これらの回想シーンや、パスカル医師の診察や、ナタリーの現在などと交互に描かれるのだけど、まとめて書いてしまう。元妻再会のエピソードや、ルイのピーターは自分の父親ではない発言により、ペレーズ医師は両親の不仲に原因があるのではないかと考える。そのことをナタリーに告げると、彼女は激怒してルイのカウンセリングを辞めてしまう。ちょっと過剰反応に思うけれど、これは後の伏線。ルイは診察室でのことは内緒だと言っていたのに、ナタリーに話してしまったことに怒り、ハムスターの糞をペレーズ医師に送り付ける。なかなかやるね! でも、ルイは扱いにくいところもあるけど、憎めない子でもある。
一方、パスカル医師はいつも献身的に看病しているナタリーを自宅のパーティーに招く。友人医師は男性たちに囲まれるナタリーを少し冷やかし気味に見ているようだけれど、パスカル医師は彼女から目が離せない。その姿を見てパスカル医師の妻は不安を抱く。この時点ではパスカル医師はナタリーに恋しているわけではないし、彼女にひきつけられていること自体無自覚。キッチンに1人でいる時に現れたナタリーに動揺したりしている。ここに妻乱入でちょっとした修羅場。表面上は取り繕っているけど内面はピリピリ。たしか妻は、男性に囲まれるナタリーを見て、男って美人に弱いのよねと皮肉めいて言っていた気がする。この時点で嫉妬含め、ナタリーをよく思っていないのに、さらに旦那ガン見で内心穏やかではない。女性はこういうことに敏感だからね。
そんな妻の心配をよそに、ナタリーから病院の中庭を散歩しようと誘われると断れない。そして、ついつい誘惑に負けてキスしてしまう。この後、衝撃的なことが起きるので、この時点で誰かに見られたという描写はないけれど、後に友人医師からキスしていたことを指摘されているので、複数人に目撃されていたと思われる。後から考えると、これはナタリーの計算なのでしょう。どこまで自覚があるかは別として。さて、キスしてしまった2人。ナタリーが驚いた表情を浮かべる。彼女の視線の先には、半身を起こしてこちらを見ているルイが! 急いで戻る2人。しかし、ルイはパパがという言葉を残して再び昏睡状態になってしまう。
その夜、パスカル医師は不思議な体験をする。ルイに付き添って眠ってしまう。気づくと床が汚れている。何かを引きずったような跡。泥のようなものの中に虫のようなものが跳ねている。気持ち悪い。この後を辿って行く描写が結構続く。その先にいたのは半魚人? ルイは半魚人と一緒にいた。そこで目が覚める。これは何を暗示しているのか?
そんな中、パスカル医師の元にルイから母親に近づくなという主旨の手紙が届く。ナタリーの元にも同様の手紙が届いていた。ルイの事件をピーターの犯行ではないかと調査しているダルトン刑事(モリー・パーカー)は、この脅迫状はピーターによるものではないかと考える。ナタリーの身柄を保護したほうが良いと考えたパスカル医師は、病院の空き室(医師が当直などに使う部屋?)を提供する。独断でそんなことできるのかな? まぁいいけど。パスカル医師の様子を見たダルトン刑事は、女性の直観かナタリーにあまり深入りしないように忠告する。妻といいダルトン刑事といい、ナタリーに何かを感じているのに、パスカル医師は気づかないってことだよね。自身もナタリーに違和感を感じていた。
どういう経緯でか忘れてしまったけど、ピーターはルイの本当の父親ではないことが分かる。ナタリーがルイを養子に出そうとしてたからだっけ? パスカル医師は男性はピーターしか知らないと言っていたのに、嘘をついていたとナタリーに詰め寄る。別にパスカル医師の恋人というわけじゃないんだから、嘘つかれたと怒る必要はないじゃないか思うけれど、そこが許せないということは、彼女に恋してしまっているということ。そのことでパスカル医師が詰め寄ると、ナタリーは涙ながらにルイはレイプされてできた子だと言う。ナタリーの衝撃の告白に同情したのか、ついに2人は一線を越えてしまう。その後、2人が度々そいう関係になったという描写は特になかったけれど、後に起きることを考えると他にもあったのかも? どう考えてもまずいだろうと思うけれど、とにかくサラ・ガドンの儚げでありながら妖艶な感じがすごくて、これは男性はあらがえないだろうと思ってしまう。
そんな中、ピーターの母(バーバラ・ハーシー)が病院を訪ねて来る。孫の見舞いに来たわけだけれど、その際パスカル医師に忠告する。ナタリーは嘘をついて人の同情を買おうとするから気をつけろというのだった。レイプされたと言われた?とも言う。かなり辛辣だけど、この言葉はパスカル医師に衝撃を与える。そしてここに至り、自分としてはある疑問が浮かぶ。これはひょっとしてある症状なのではないか? この辺りから一気にサスペンスタッチに。
そんな中、ピーターの遺体が発見されたと言う知らせが入る。ピーターはあの日崖から転落し、洞窟の中で動けなくなったまま2週間程度生きていたらしい。遺体は腐敗し海藻などが巻き付いていた。まるでパスカル医師が見た夢の中に出てきた怪物のような姿になっていたのだった。ルイはピーターと意識下で対話しているのではないか? このピーターの姿は衝撃的。例のクリーチャーとルイが洞窟内で対話している画が差し込まれるけど、このクリーチャーもアーロン・ポールが演じているのかな? 声は本人だった。
えーと、ちょっと曖昧な記憶なのだけど、また脅迫状が届いたのか、診断書が改竄されていたのか何かしらの事件が起きる。そして、筆跡鑑定の結果、以前パスカル医師とナタリーの元に届いた脅迫状も含め、パスカル医師が書いたものだということが分かる。そして、同僚看護婦から意外な事実を聞かされる。どうやらパスカル医師は夢遊病を再発。寝ながら歩き回り、脅迫状を書いていたということらしい。そして、それについてパスカル医師は、それがルイの影響によるものではないかと考える。この辺りのことが例えば患者と同調してしまうということなのか、ちょっとファンタジーというか、SF的なことなのかは不明。どちらかというと後者なのかなと思った。
パスカル医師はペレーズ医師の助けを借りて、ルイと同調を試みる。するとルイの記憶や思考が頭の中に映像として入って来る。これもこういうことが医学的に可能なのか不明。なので、医学的なこととして描きたいのか、ファンタジー的なこととして描きたいのか分からない。個人的には後者として捉えた。
ルイの思念?によると、過去彼が死にそこなった事故は全てナタリーによるものだった。ベビーベッドで寝ている赤ん坊のルイの上にシャンデリアを落とたり、食中毒を引き起こしたりしていた。物心がついてくるとルイはナタリーが故意に自分を傷つけようとしていることを悟り、そうすることが母の愛を得るすべだと考え、ナタリーの手助けすらするようになる。自ら身を投げ出すというような。悲しい💦
そして、あの日。ナタリーがルイにキャンディーが入った瓶を差し出す。それを取ろうとするピーターを激しく拒絶するナタリー。ピーターはピクニックに向かう途中もルイを自分の母親に預けると話し、ナタリーを激怒させていたけれど、おそらくナタリーがルイにしていることに気付いていたのだと思う。そして、この時確信に変わった。ピーターはナタリーを激しく追及する。一体何をしようとしているんだ! そしてもみ合いになり、ナタリーがピーターを崖から突き落とす。そして、それを見ていたルイは崖に背を向けたまま後ずさりし始める。そして、崖から落ちていったのだった。というのが事件の真相。ルイについては例えば脅迫罪のような罪が適用されるのか不明だけど、ピーターのことは殺害してしまっていた。それにしてもルイがかわいそうすぎる。・゚・(ノД`)・゚・。
場面変わって荷物をまとめて家を出るパスカル医師。特に説明はないけれど、この様子から離婚したのだと分かる。彼が向かったのはペレーズ医師が待つ精神病院。並んで廊下を歩きながら、ペレーズ医師がパスカル医師に語ったところによると、ナタリーは代理ミュンヒハウゼン症候群。この病気のことは知っていたので、ピーターの母のナタリーは嘘をついて同情を買うという主旨のセリフを聞いたとき、この病気なんだろうなと思った。なのでルイがケガが絶えないのもナタリーによるものなのだろうと。代理ミュンヒハウゼンについて詳しくはWikipediaを見て頂くとして、ザックリ説明すると自傷行為をして同情を引くのがミュンヒハウゼン症候群(Wikipedia)。これは、その症状のままの行動をして嘘つき男爵と呼ばれていたミュンヒハウゼン男爵から名前がつけられた。自傷ではなく他人に対して行い、献身的に介護することで、同情を買う行為が代理ミュンヒハウゼン症候群。対象が自分の子供であることもあるし、自分がテレビで見たのは看護師だった。看護師は女性だったけど、ミュンヒハウゼン男爵は男性なので、どちらの性別が多いってこともないのかな? なんとなく代理ミュンヒハウゼンの方は女性が多いのかなって気がする。献身的な姿で人の注目を浴びたいっていうところが女性っぽい気が。
話が反れたけど、要するにナタリーは代理ミュンヒハウゼン症候群という病気であって、現在精神病院で治療中ということらしい。そして、ペレーズ医師の案内で連れてこられた部屋の窓辺にはナタリーが立っており、こちらを振り向く。彼女は妊娠していることが分かる。要するにパスカル医師の子供であって、これが原因で妻と離婚したっていうこと。そして、パスカル医師もナタリーにとらわれるってことなのかな。
一方、病室ではルイが昏睡状態の中、意識下でピーターと会話している。水中のようなイメージが広がるけど、ピーターの姿はない。ルイはこのままでいるのも悪くないと考える。でも、ピーターに世界は生きる価値がある的な主旨のことを言われる。そしてルイは目を覚ます。映画はここで終了。
ルイはおそらくピーターの母のもとに引き取られることになるのだと思う。ピーターの実子ではないので、本当の父親がいると思われるけれど、映画の中では一切触れられない。前述したとおり、ピクニックに向かう途中で、自分の母親に預ける話をしているわけだし、現にピーターの母親はルイを見舞いに来ている。おそらくは、ナタリーが危険だと判断し、血のつながりはなくても孫として保護しようとしているのでしょう。
血のつながりだけが家族ではないということもテーマの一つとしてあるのかなと思うけれど、ルイの行動は母を思えばこそであって、それもまた愛ではある。とても切なく悲しい愛ではあるけれど、そうでしか自分を求めていない母親に、それでも応えようとする少年の思いが辛すぎる
代理ミュンヒハウゼンという病気が、なんらかの心理的要因、例えば幼少期に両親に虐待されたなどが影響するのか不明なのだけど、今作ではそういう背景は一切描かれていない。どちらかというとナタリーを魔性の女的に描いていたと思う。その辺り、ナタリー側から描けば、病気に振り回される哀れな女性としても描ける気はするけれど、あくまでルイの物語であるということなのだと思う。そして、人(特に男性)は見た目に騙されやすいということもテーマとしてあるのかなと。たしかナタリーが美しいからみんな騙されたというルイのセリフがあったと思う。
よく考えるとかなり重いテーマが描かれている。冒頭から子供が死にかけているわけで、明るい話ではない。でも、どこかコミカルだったり、ポップだったり、ちょっとファンタジー要素もあったりして、ズッシリ重くなり過ぎずに見ることができた。好みの語り口😌
キャストは皆良かったと思うけど、個人的には主演のジェイミー・ドーナンは可もなく不可もなくって感じだったかな。イケメンだとは思うけど好みではない。美女に翻弄されちゃう役なので、その辺りの優柔不断なイケメンって感じには合ってたと思うけど、特別彼じゃなくてもいいかも。あくまで個人的な意見。アーロン・ポールは思ったよりも出演場面が少なかったように思うけれど、印象を残す。現在では夫婦仲は壊れているけど、ピーターもまたナタリーに翻弄されたわけだから、その辺りの感じもありつつ、容疑者とミスリードさせる感じも良かった。
ルイのエイダン・ロングワース君が良かった! ちょっと生意気でペットのハムスターを何匹も殺してしまうところもあるけど、基本かわいくて魅力的。何故ルイがそんな感じだったのかというのがラストに分かる仕組みで、それが分かるととっても切なくなるわけだから、そこまでの伏線として見事だと思う。あの崖から落ちていく時の絶望した瞳が忘れられない。そして、サラ・ガドンが素晴らしい! 女性からするとなんとなく違和感を感じるナタリーだけど、男性からしたら儚げでミステリアスで、少しエロティックで、でも清楚で、そして美女となったらほっとけないよねと納得。パスカル医師の妻ではないけど、何か違和感を感じていて、それが嫉妬なのか思ってしまうけれど、やっぱり裏があったということで、そういう部分も含めて見事! このサラ・ガドンはスゴイ
時代的には現代だと思うのだけど、どこかレトロな雰囲気も好きだった。ルイの病室とかもちょっとミッドセンチュリー的なデザイン。ナタリーの髪型とかメイクとかも1950~60年代っぽい感じで良かった。サラ・ガドンに合ってる。一方のパスカル医師の自宅がスタイリッシュでおもしろい。原題『The 9th Life of Louis Drax』をそのまま訳した邦題も良いと思う。変に意訳した邦題や、無駄なサブタイトルつけなかったのは賢明だと思う。
見てから1ヶ月以上経っちゃったし、もう上映も終わってしまった サスペンスとしても楽しめるのでオススメ! DVDなどで是非! サラ・ガドン好きな方必見です!
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