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【cinema】『カメラを止めるな!』

2018-08-14 01:17:50 | cinema

2018.08.03 『カメラを止めるな!』鑑賞@TOHOシネマズ日本橋

 

前から気になってたけど、伊集院光氏が伊集院光とらじおとで絶賛してて見たくなった。でも、都内でも数館しか上映していなくて、平日昼間でも連日満席とのことで諦めてた。ところが、何気なくアプリチェックしたらTOHOシネマズで上映開始してた! 水曜日の時点で金曜日の仕事終わりで見れる回はTOHO日比谷が売切れ💦 TOHO日本橋も残りわずかってことで慌ててポチ! 久々定価の1,800円で見に行ってきた~

 

ネタバレありです! 結末にも触れています!

 

「廃屋でゾンビ映画を撮影していたクルーたち。監督が主演女優の演技が気に入らないと撮影ストップ。休憩中に廃屋の秘密について話していた時、なんと本物のゾンビに襲われてしまい・・・」というあらすじは本当に前半のみ。これはウワサ通り本当に面白かった! ネタバレありで感想書く予定なのになんだけど、これは絶対ネタバレなしで見るべき! そしてネタバレした後、再見するとより面白いかも。とにかく脚本が良くできていて、そしてエンドロール含めてが作品であるということ。全編映画愛に溢れた作品だった。

 

今作が長編デビューという上田慎一郎監督作品。もちろん作品を見るのは初めて。毎度のWikipediaから引用しておくと。『カメラを止めるな!』は2017年製作、公開の日本映画。監督&俳優養成スクール・ENBUゼミナールの《シネマプロジェクト》第7弾作品。2017年11月に先行公開。その後、国内及び海外の映画賞を数々受賞し、2018年6月に日本国内で凱旋上映を行った。監督・上田慎一郎にとっては初の劇場長編作品。

 

監督・上田慎一郎が2段構えの変わった構造の小演劇を見た際に着想を得て企画、プロットの執筆を開始。ENBUゼミナールに参加し、12人の役者が集まりワークショップした際に、設定を当て書きに変えクランクイン。2017年11月にシネマプロジェクトの中の一作として『きみはなにも悪くないよ』とともに新宿K's cinemaにて6日間限定で公開。2018年6月から新宿K's cinemaおよび池袋シネマ・ロサの2館で単独劇場公開を開始。

 

冒頭の37分ワンカットのシーンは本当のトラブルと脚本としてのトラブルを混在させている。海外タイトル「ONE CUT OF THE DEAD」。2018年公開時のキャッチフレーズは「最後まで席を立つな。この映画は二度はじまる。」「無名の新人監督と俳優達が創ったウルトラ娯楽作」。全編96分。公開当初は製作元のENBUゼミナールが配給を行っていたが、SNS上の口コミで評判が広がり、7月25日にアスミック・エースとの共同配給になることが発表された。8月以降、順次100館以上での上映拡大が行われている。

 

映画レビューサイト・Filmarks(フィルマークス)が発表した「6月第4週公開映画の初日満足度ランキング」では第1位(平均スコア4.42点/5点満点、レビュー数70件)を記録した。また、同サイトの「2018年上半期 映画ランキング」では、レビュー数が500件以上1万件未満の作品を対象とした満足度ランキング第1位(平均スコア4.40点/5点満点)を記録した。映画レビューサイト・cocoでは、2018年7月24日時点においてcoco映画レビュアー満足度100%を記録していた。アメリカの映画批評サイト・インディワイヤー(英語版)はファンタジア国際映画祭で上映された本作について批評を掲載し、「『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004年)以来で最高のゾンビコメディ」と評して「A-」の評価を付けた。

 

えーと。どう書こうかいろいろ悩んだ🤔 基本ネタバレありで書いているブログなので、ネタバレで書こうとは思うのだけど、どこからどこまでをネタバレと考えるのかっていうのが微妙。とにかく未見の方は一切の情報なしで見た方が面白いと思う。そう言われて実際見るとそうでもないって作品多いのだけど、今作に限っては絶対ネタバレ厳禁! というのも、仕掛け自体には割と早い段階で気づくのだけど、その"仕掛け"自体がめちゃめちゃ面白いから! 出来る限り冒頭部分をフラットな感覚で見て、そこで感じていた違和感の真相が分かった時がこそが、この映画の仕掛けとなっているので。

 

とは言いつつ、全てを覚えているわけではないので、後半のいわゆるネタバレについてはザックリとした感じになると思う。毎回どうでもいいと思うけれど、断り書きとして書いておく😌

 

ゾンビ映画の部分から書いて、その後断り書きを入れてネタバレ部分を書いて行こうかなと思う。前述したとおり全てのネタを覚えているわけではないので、あくまで記憶している部分のみ。それについてはゾンビ映画部分に伏線を入れ込んでおく。

 

冒頭、ゾンビに襲われている若い女性のアップから始まる。必死に目を覚ましてと懇願する相手はどうやらゾンビ化してしまった恋人。必死に抵抗するも次第に追い詰められていく女性。そして、彼に首を噛まれそうになる瞬間「愛してる」とつぶやく。で、カットの声。そして、監督らしき人物が主演女優に強烈なダメ出し。「全然必死さがねーんだよ! お前は嘘ばっかりなんだよ!」相手役の男性俳優にも、「大体お前も始まる前からゴタゴタゴタゴタ! 」と、かなりキレ気味。結局、メイク担当の女性が休憩を提案し一度解散となる。この時点で見ている側は、なるほどこれはゾンビ映画を撮っていることを描く作品なんだなと思うわけです。

 

現在は廃墟となっている施設。吹き抜けになった階上のバルコニー的な部分で俳優2人とメイク担当が雑談を始める。するとメイク担当が、この廃墟は元日本軍の施設で、どうやら人体実験を行っていたらしく、怪現象が起きるらしいと話始める。すると扉がドンと鳴り驚く3人。いいタイミングだ的な妙なセリフを言うけど、驚いたことをごまかしているのかなと思う。でも、なんとなく彼らの会話がぎこちない。最初は普通に話していたのに変な間がある。でも、前述したとおり見ている側は劇中劇だと思っているので、これも恐怖をごまかしている演技なんだろうと思うわけです。それにしちゃ下手だなと😅

 

そのうち、男優がメイク担当に趣味は何かと聞く。少し動揺しつつも護身術だと答えるメイク担当。しばし護身術を披露。特に後ろから抱きつかれた際に、ポン!と叫びながら両腕を高く突き上げて呪縛を解くという方法。これが気に入り何度も繰り返す3人。これ普通に見てる時は面白かったけど、何故ここでこれを入れる?とも思ってた。テンポが悪いなと。で、えーと。外に出ることになったんだっけ? とにかく、外にいたカメラマンの男性がゾンビ化してしまい襲ってくる。

 

なんとか締め出すことに成功するも、ドア付近でうずくまっていた音声担当の男性が急に取り乱し、制止も聞かず外に飛び出してしまう。当然、ゾンビに襲われてしまうけれど、ここは一切映像なし。音だけで恐怖を煽っているのかなと思うけれど、男性の行動からして変。でも、恐怖のあまり闇雲に飛び出して死んでしまう人ホラー映画に多いのでありかなと思う。

 

途中で監督が屋上に血の印をつけたとか言う描写がある。監督自身が言ってたのか、他のスタッフが言ってたのか失念したけど、この行動はちょっとヤバイらしい雰囲気。で、えーと。急に監督が来てドアを開けちゃったんだっけ? とにかく、ゾンビ化したカメラマンに助監督の男性が襲われてしまい、さらにゾンビ化して建物の内に入って来てしまう。そこで、メイク担当が斧でゾンビの首を切り落とす。スゴイ! 監督は何故かカメラ目線で「絶対カメラを止めるなよ!」と叫んでどこかへ行ってしまう。

 

で、メイク担当が主演2人に外に止めてある車で逃げようと提案する。2人は躊躇するけれど、助監督ゾンビの首を切り落としてスイッチが入ったらしくメイク担当の様子がおかしい! まぁこのままここに居ても仕方がないということで、3人は外に出て車に向かう。当然のようにゾンビに襲われる。襲われながらも車にたどり着くも鍵がない! 鍵はゾンビのカバンの中だということで、女優が外に出てゾンビと格闘し鍵を奪う。

 

その時なんとカメラが倒れてしまう。しばらく動かないカメラ。女優はゾンビに追われて小屋の方向へ逃げて行く。それでも動かないカメラ。そして、急に立ち上がり女優を追うカメラ。振り向いてゾンビも撮る。そして再び転ぶ。でも、今度は素早く立ち上がりさらに女優とゾンビを追う。小屋に逃れるも追いかけるゾンビ。しばし格闘し、もと居た廃屋の方向に逃げる女優。

 

廃屋に逃れていた男優とメイクが女優を中に入れてくれる。再びゾンビを締め出すことに成功。そこで女優の足首に傷があることが判明。噛まれたのか? ということになり、ちょっとハイになっているメイクが女優を殺そうとする。目がヤバイ😣

 

で、えーと。女優が逃げたんだっけ? 屋上に向かったんだよね? その際、ゾンビたちが襲ってくるけど、メイクが跳び蹴りしてた気がする。で、その途中に監督も現れて、女優に「できるじゃねーか!その顔だよ」って言ったのここだっけ? 「アクション!」はここだよね? 監督はゾンビ化してないけどテンションがおかしい。

 

で、屋上に来たわけだけど、メイク担当は完全におかしいので、結局男優が斧で殺したんだっけ? ちょっと混乱してきた😅 その後男優もゾンビ化してしまい、女優を襲ってくる。で、女優は一度屋上から降りて近くの小屋に逃げる。

 

女優が物陰にうずくまり自分の足首を見ると、さっきのケガは実はシール状のメイク。言い忘れていたけど、冒頭の場面から女優のタンクトップは血だらけだし、男優はゾンビメイク。何故足首にケガのシールを張っていたのかは不明。で、そこに何者かが現れ汚れた脚が見える。必死に口を押え叫びそうになるのをこらえる女優。何者かが去った後、意を決して小屋を出るとそこに斧! 「ツイてるわ」と言いながら斧を拾い、屋上へ向かう女優。


そして、ゾンビ化した男優が現れ女優を襲う。何故かやめてと懇願すると止まる男優ゾンビ。実生活でもつきあっているらしい2人。ゾンビ化しても愛情が残っているのか?とも思うけれど、懇願すると止まり再び襲うパターンが3回くらい繰り返される。さすがに長いなと思っていると、ようやく女優は男優ゾンビの首を切り落とす。

 

そこに監督が現れる。「できるじゃねーか!」はここだ多分。で、女優キレて斧で監督をめった切り。でも、屋上の一段下がった部分での出来事なので、カメラには惨殺シーンは映らない。監督の悲鳴のみ。

  

屋上に血糊で描かれた星形の中に、返り血で真っ赤に染まった女優が、斧を手に呆然と佇む姿を見下ろす画で終了。そこにエンドクレジットが流れ、今まで見ていた物がワンカットで撮影されたゾンビものの企画番組であることが分かる。やっぱりね。でも、これだけでそこまで絶賛されるほどおもしろいか? と思っているわけです。

 

ネタバレあり!

 

ここからネタバレに入るのだけど、本当に面白いのは後半の約40分。96分の作品中、既に37分のゾンビ番組を見ているわけだから。仕掛けの説明だったり、前振りだったりは20分程度。ここが重要だったりするのだけど、いちいち描写してもおもしろくないので、重要な要素だけ入れ込んでザックリと書いておく。

 

1ヶ月前のクレジットが入り、監督役だった日暮隆之(濱津隆之)が病院の屋上で撮影しているシーンに変わる。テレビ番組内の再現ドラマをメインに仕事していて、安くて早くて出来はそこそこという評判。かつては夢も情熱もあったのかもしれないけれど現実は甘くはない。元女優で現在は専業主婦の妻日暮晴美(しゅはまはるみ)との間に1人娘の日暮真央(真魚)がいる。真央は現在学生で父親のコネで映像制作の現場でAD的なことをしているけれど、情熱が先走り現場をかき回してしまう。妻は暇を持て余し、現在ではテレビで護身術を習っている。見ている側はここでクスリ😀

 

さて、そんな日暮監督にある企画が持ち込まれる。コテコテの関西弁で個性的な顔立ちと髪型の「ゾンビ・チャンネル」プロデューサー笹原芳子(竹原芳子)や、イケメンだけど軽い感じのラインプロデューサー古沢真一郎(大沢真一郎)によると、ワンカット生放送のゾンビ映画を放送するというのだった。かなり無茶な企画。一度は断るものの、やっぱり引き受ける。見ている側としては既に見せられた映像がその番組なのだろうから、当然日暮が引き受けたのは分かっているので驚かない。

 

数日後、出演キャストが決まり顔合わせが行われる。当然ながら先ほど見ていた人物たちが集まっている。実は監督役とメイク役も本来は配役されていたことも分かる。メイク役に至っては赤ちゃんを抱いて参加。この赤ちゃんが大泣きする中、台本読み合わせが進んだりする。ここで違和感を覚えるわけです。監督役とメイク役は日暮夫妻だったのでは?

 

違和感を感じつつもさらに稽古は進む。この間に俳優たちそれぞれにキャラ付けだったり、後の伏線だったりがさりげなく紹介されていく。例えば主演女優の松本逢花(秋山ゆずき)は汚いことはやりたがらない。しかも、自分はOKだけど事務所的にNGなのでと主張。日暮が気弱にOKすると「よろしくでーす」と言う感じがイラッとする。主演男優の神谷和明(長屋和彰)は今売出し中らしく日暮の娘の真央もファンだったりする。そういった若者にありがちな変に自信家で理屈っぽい。台本について自分の意見を熱く語り、稽古をストップさせたりする。

 

カメラマン役のベテラン俳優細田学(細井学)はアルコール依存症。妻と離婚し離れて暮らす娘に会ってもらえず、さびしい思いをしている。娘のために断酒を決意したばかり。音声役の山越俊助(山﨑俊太郎)はお腹が弱いらしく、軟水の水に異常にこだわりADの女性を困惑させる。そして、本職カメラマン谷口智和(山口友和)は腰痛持ち。アシスタントの松浦早希(浅森咲希奈)が代わりに撮影したがっている。

 

ここから映画のネタバレになります!

 

撮影当日。娘の真央は神谷見たさに母親を誘い現場に見学に行く。そんな中、監督役とメイク役の俳優が事故に遭い病院に運ばれたと連絡が入る。どうやら2人は不倫関係だったらしい。見るからにデキてただろうというセリフで、2人同時に来れないことの理由を説明しつつ笑いを取るの上手い。今更代役を立てるのは無理。そこで監督の日暮が監督役で出演することになる。これ軽いラインプロデューサーが監督出るしかないでしょ的な感じで出ることになったんだよね? ちがったっけ? で、メイク役はどうするということで、夫の台本を読み込んでおり、さらに元女優だった日暮の妻を娘の真央が強力プッシュ。日暮が難色を示すのは妻を出演させたくないとか、ブランクがあるからだけではない理由があるらしい。これは後の伏線。結局、押し切られて妻も出演することになる。

 

一方、スポンサーから番組へ一升瓶のお酒の差入れが入る。終わったらみんなで飲もうと楽屋に置かれる。禁酒中のカメラマンは緊張から手の震えが抑えられないでいた。嫌な予感しかない😅

 

核心部分のネタバレになります!

 

さていよいよ放送開始! 冒頭で見ていたシーンが繰り返される。監督役の日暮はトラブル続きであることと、自ら出演することでテンションが上がったのか、いきなりのブチ切れ演技。あのキレっぷりはこれが原因だったのかと思うわけです。女優に対してはお前は嘘ばっかりなんだよ!とか、男優に対してはリハーサルからゴチャゴチャ言いやがって!とか本音が出ちゃって笑える。裏では監督助手の吉野美紀(吉田美紀)とラインプロデューサー古沢がアドリブ入れちゃってるよと笑ったりしている。なるほど、こういうことだったのねと思う。

 

するとまたまたトラブル発生! 案の定、お酒を飲んだらしくカメラマン役細井が泥酔。そもそも、彼がゾンビ化第1号らしくメイクして待機している間に寝てしまったらしい。生放送は進んでおり、今は主演男女優とメイクが雑談している場面。旧日本軍の施設という会話での変な間でのドンという音は、細井が倒れて扉にぶつかってしまった音だった。急につないで!のカンペ。戸惑う3人。なるほど、それで会話がぎこちなくて変だったんだ。建物外ではカメラマン役を起こそうと必死。男優は仕方なくメイクに趣味を聞く、それで護身術披露の流れだったんだ! あれはアドリブだったのね?


で、えーと。音声役が急に不審な動きをして制止も聞かず出て行ってしまった場面。 これ、お腹が弱い彼に硬水の水を渡してしまい、それを飲んでお腹を壊してしまったため、段取りと違う場面で出て行ってしまったということ。呆然とする3人につなげの指示。妻が不自然にこっち見たなと思っていたシーンはカンペを見てたんだと分かって爆笑。

 

カメラマンをゾンビとして登場させるため、数人で見えないように体を支えて動かす。ゾンビなのでぎこちない動きでOKなのがよく考えられている。そして助監督役山ノ内洋(市原洋)が襲われるシーン。助監督役は顔に吐しゃ物を浴びて大パニック。なんですかコレ?とパニックになりながら、ちぎれた腕をはめられたり、顔にゾンビメイクを施されるの笑える。扉が開きゾンビとして突入演技をする。そして、斧で頭を切られる。バタバタしながらも胴体と首の人形を投げ入れるスタッフ。

 

これって、ドタバタしている部分を笑っているけど、要するに冒頭に見ていた映像時には、本物のスタッブがやってたってことだよね? それに思い至るとよりおもしろい! 映画の裏側も見ることが出来るということ。トラブル続きの中、日暮がキレて「絶対カメラを止めるなよ!」とカメラ目線で言っちゃったのはこの時だよね? 裏側でラインプロデューサーと監督助手がカメラ目線だよと言っちゃってたの笑った。この裏側の視点も今後重要になってくる。

  

この頃から妻の様子がおかしくなってくる。どうやら憑依型の女優だったらしく、役に入り込み過ぎて暴走し始めてしまうのだった。完全に顔がヤバイ! しゅはまはるみがいい。

 

で、車で逃げることにしたシーン。女優ともみ合いになっている場面で、何故かカメラが倒れたシーン。これカメラマン役が転んでしまい、腰痛が悪化して動けなくなってしまったからなのだった。しばらく動かなかったのは助手が自分がカメラを手にするのを戸惑っていたから。そして意を決してカメラを回す。あれ?カメラマン変わった?と裏側。そして転倒! これは後に種明かしがある。

 

で、この頃には妻が大暴走。女優の恐怖は本物ということ。屋上で妻が斧で殺されたシーンは、斧が突き刺さったヘアバンドが用意されていたことからも台本通りだと思うけれど、とにかく殺される演技をしてくれないので、監督が首を絞めて気絶させていたことが判明! もう大爆笑!!

 

女優が屋上から逃げて小屋に隠れるっていうのはそもそもの脚本にあったのかな? 小屋に現れた脚は実は番組ADの女性。必死にカメラマンゾンビを押えたりしているうちに服も顔もボロボロ。当然脚も汚れてしまってたというオチ。小屋の外で斧を拾えというカンペを出しに来たのだった。ADも相当疲れてしまっており、顔が無表情なのが笑える。で、女優の「こんなところに斧が。ついてるわ。」はアドリブだったわけで、めちゃワザとらしいの笑える😀

 

で、再び屋上。監督を惨殺するシーンでの何故こんな目にあわなきゃならないの的なキレっぷりは、女優本人の叫びだったのだと分かって笑える。そして、クライマックス。男優ゾンビに襲われるシーン。実は裏でとんでもないことが起きていた!😲

 

日暮監督としてはラストシーン。血糊の星形の中に立つ女優をクレーンで上から撮影したかったのだけど、なんと度重なるドタバタでクレーンが落下して壊れてしまったのだった。クレーンが使えなければ監督の撮りたい画は撮れない。ラインプロデューサーは適当でいいでしょうと言うけれど、監督は納得がいかない。早い、安い、そこそこのハズだったのに、監督魂に火がついた! 誰も見てないというラインプロデューサーの言葉に「見てるでしょう!」とブチ切れ。ハッと気づいてクレーンは諦める監督の姿に娘の真央が立ち上がる!

 

実は真央は途中から裏方に加わっていて、助監督に指示したりしていた。助監督をおばちゃん呼ばわりするのはどうかと思うけれど指示は的確。で、彼女が考え出した方法は、なんと組体操でおなじみのピラミッド! 男優ゾンビが襲っては、女優の懇願で動きを止めるを繰り返していたのは、実はピラミッドの完成を待っていたから。どうしてもADの女性が落ちてしまって成功しない。途中、正気を取り戻した妻が立ち上がり、「何アレ?」と言ったのはピラミッドを見ていたのだった。そしてまた日暮に落とされるの笑った。 ラインプロデューサーまで加わり、ピラミッドは完成! その上に日暮がカメラを手に肩車されている。歯を食いしばり耐えるピラミッド。頑張れ!頑張れ!! 自然に応援してしまう。そして無事撮影成功。番組も終了。

 

オカッパプロデューサーの何も問題なし発言に爆笑。無事解散となる。日暮が真央にお礼を言うと、彼女は日暮の台本を見せる。そこには幼い真央を肩車する日暮の姿。親子の絆がピンチを救ったということ。ニッコリ微笑む日暮のアップで終了。見ているこちらも笑顔😳

 

エンドロールでも席を立ってはいけません! この映画のもう一つの仕掛けは、実はエンドロールにある。冒頭のゾンビ映画(生放送されたゾンビ番組)の本物のスタッフによる撮影風景が流れる。ほんの数分前にAD役の俳優たちがやっていたとおりにメイクしたり、人形を投げ入れたり。例のカメラマンが倒れてしまうシーンでは、カメラを横にしてじっと待機してたり。そしておもむろに走りだし、女優とゾンビを映しながら走って転倒! そうカメラマン助手が転んでいたのは、本物のカメラマンが転んでいたから。それをそのまま生かしちゃうの好き。それともこれも計算どおり?

 

とにかく全ての場面がよく考えられている。超適当なオカッパプロデューサーの思いつきで始まった企画を、トラブル続きで完成させたという設定だから、見せられているのはグダグダな場面。でも、実はキッチリ計算されているから笑えるわけで、それをとっても楽しそうに撮影している感じも見せちゃうのスゴイ

 

実は1人の男が情熱を取り戻す話だったり、親子の絆の話だったりも押し付けがましくなく描かれている。映画監督を目指しても、撮りたいものを自由に撮れて、世界的な名声を得る人ほんの一握り。皆それぞれどこかで妥協し、折り合いをつけて生きている。それは普通の会社員も同じ。日暮はまた早い、安い、そこそこの監督に戻るのかもしれないけれど、この一瞬やりきった感を見ているのは楽しい。そしてそんな難しいこと考えなくても単純に面白い。

 

キャストは全員知らない俳優さんたち。オーディションで集まり、当て書きされたそうだけれど、それぞれホントにキャラが立っている。これ知らない俳優さんというのは大きいと思う。未見だけど三谷幸喜監督の『ラジオの時間』がこの手法だそうだし、撮影の裏側を描いた作品とか別に珍しくないけど、全体的な手作り感からくるドタバタみたいなものって、知らない役者さんならではという気もする。

 

当て書きされただけあって全員役にハマっていたけど、やっぱり特筆すべきは日暮晴美役のしゅはまはるみ。何も知らずに見ていた冒頭のゾンビ映画の部分から、姉御肌を発揮し、どんどん狂気じみてくる感じが、ホラー映画にこういう人いるいるって感じがいい。そして、急展開して普通の専業主婦。夫の良き理解者で娘を心配する母も演じている。そして、ネタバレ部分でのコミカル感。ホントおもしろかった!

 

主演の濱津隆之は、よくこの人見つけたよというくらい顔がいい。イケメンとかじゃなくていい顔。冒頭キレまくっていた時は、一体何と思っていたけど、中盤の再現ドラマ監督日暮として登場してからの、そのいろいろ諦めた感じが似合っている。そして、ネタバレ部分のどんどんイキイキしちゃう感じ。ラストのあの表情が良かった。

 

見終わって感じるのは、冒頭のゾンビ映画が実はトラブルでそうなっているという設定ながら、きちんとホラー映画にありがちなパターンを踏襲しているということ。例えば、音声役は本当はお腹を壊して我慢できず飛び出してしまったわけだけど、ホラー映画では恐怖のあまり闇雲に飛び出して犠牲になってしまう人よく出てくる。単体のゾンビ映画としてはありがちで特別おもしろい作品じゃないけど、一応ホラー映画としても成り立っているから、その裏側のドタバタを見せられた時に笑ってしまうんだよね。

 

2017年11月に6日間限定先行上映されたため、レビュー投稿サイトcocoでは2017年11月公開となっているけど、再映を望む声が多く今年6月に2館から本格公開ということで、これは2018年公開作品と考えていいのかな? イヤ、年末に出しているベスト記事は今年公開作品に限っているので。今のところ1位ではないけれど、ベスト10入りすると思う!

 

さんざんネタバレを書いておいてなんだけれど、これは絶対に一切ネタバレなしで見た方が面白い。ネタバレ厳禁ならば何か仕掛けがあるだろうと思って見ていても、絶対このオチは予想できないと思う。現在どんどん拡大公開中! これは是非是非劇場で見て欲しい! オススメ

 

『カメラを止めるな!』公式サイト


【追記】2019.03.08

金曜ロードショーで地上波発放送されて、副音声聞きながら見たので豆知識を追記しておく😌


・日暮一家の自宅は監督の自宅。写り込んでいる洗濯物も監督の私物。


・基本衣装は俳優の私服だが真央のTシャツは監督が購入した衣装。


・本来のメイク担当役が抱っこしていた赤ちゃんは監督の息子ちゃん。


・空撮はカメラマンの私物のドローンで撮影。


・女優が逃げ込んだ小屋のゴミは現場にあった本物。


・女優に斧を拾うように指示したカンペを出したAD役はオノさん。


・ピラミッドは何度やっても上手くいかず、本当に代わりに入って成功した。


こんな感じかな~💦 もっといろいろ言ってたけど思い出せない😅 思い出したら追加しておく!



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4 コメント

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Unknown (mig)
2018-08-23 14:02:20
maruちゃんが見に行ったの意外だったんだけど伊集院さんの影響なのね。
ここまでのヒットになるとは誰も思わず。
でもよくできてるよね!面白かった
舞台の原作があったのを伏せてたことで問題になってるけど、、、、まぁ映画は映画の面白さがあるし脚本も違うのだろうけど、下敷きがあったことはちゃんと言わないとねーオリジナルっって言っちゃぁ、、、、
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>migサマ (maru🎵)
2018-08-25 01:48:56
その前から気になってたんだけど、伊集院がものすごくオススメしててね😳

ホントすごくおもしろかった!

一応、原案としてクレジットはしてるらしいよね。
監督としては内容が全然違うので"原案"だと。
で、舞台版の方は"原作"として欲しいらしい。
原案は無料で、原作はギャラ的なものが発生するらしい。
ちょっとモヤるよね😣
返信する
Unknown (onscreen)
2018-08-25 14:31:22
あそこまで共通点が多いと、モヤるというより、怒りが湧いてきました...(汗)
返信する
>onscreen サマ (maru🎵)
2018-08-26 23:25:27
舞台版は見ていないので、よく分からないのです💦
そんなに共通点が多いのですね?
「カメラは止めない」というセリフは同じだとか?🤔
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