ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

大学などの研究シーズ「健康長寿(医工連携・食品)」の発表会を拝聴しました

2011年08月01日 | イノベーション
 8月1日に「第4回東海ニューテクノフォーラム」という大学などの研究成果を企業の方々に紹介し、共同研究を呼びかける発表会が開催されました。主催者は経済産業省中部経済産業局と科学技術振興機構のJSTイノベーションプラザ東海です。開催場所は名古屋市内のJSTイノベーションプラザ東海の館内でした。

 今回のメインテーマは「健康長寿(医工連携・食品)」です。政府が研究開発の集中テーマとしている「ライフ・イノベーション」関連です。今回はあまり馴染みのない食品系の発表テーマに、なるほどと関心するものが多かったのです。



 面白い点は、最初に3分間という短時間で研究内容のポイントを説明し、11テーマが終了した時点で、その研究テーマを説明するポスターセッションに切り替わる点です。





 最初に3分間で研究内溶を紹介するのは、、大学などの研究を担当した教員ではなく、マネジメントを担当するコーディネーターと呼ばれる担当者です。ポスターセッションでは、ポスターの前で教員本人もコーディネーターと一緒に質問者に説明します。

 例えば、岐阜大学は“熱帯のホウレンソウ”と呼ばれる赤アマランサスという野菜を「仙寿草」という名前で商標登録し、栽培技術を確立して試験栽培し、試験販売していると発表しました。この野菜はミネラル成分が多い赤い野菜です。赤いのは、ベタシアニンと呼ばれる赤色色素を多く含んでいるからです。赤ジソに多い成分ですが、赤ジソほどくせが無く、彩り野菜としての利用価値が高いそうです。やせた農地でも良く育ち、二期作、三期作もできるそうです。岐阜大は、この野菜から機能性食品(サプリメント)をつくり出したいようです。

 三重大学は多様な機能を持つ「β-1.3-グルカン」という多糖類を人工合成できることを見いだしたとの発表でした。微細藻類の中のある藻類が「β-1.3-グルカンホスホリラーゼ」(BGP)をつくることを見いだしたとのことです。このβ-1.3-グルカンホスホリラーゼからβ-1.3-グルカンを合成できるようです。この発表者は、非専門家向けに分かりやすく説明する姿勢を示さなかったので、とても難解でした。

 名城大学はエゾイラクサから抗変異原性抽出画分が杭発がんプロモーター活性を示すことを見いだし、特許出願中だそうです。活性成分を有効に摂取できる機能性健康食品に仕立てたいようです。

 名古屋工業大学はオリゴ糖の一つであるシクロデキストリンから細菌膜傷害性を持つ誘導体を見いだし、併用する抗生物質の抗菌性を大幅に高めることを発見したそうです。次の段階に進む共同研究相手を探してるそうです。

 一番興味深かったのは、岐阜薬科大学などの研究集団がピーナッツの渋皮の中から抽出したポリフェノールが脳内の信号伝達を活性化し、脳の記憶・学習能の改善やうつ病予防などの機能性食品になる可能性を示した研究成果です。共同研究相手を探しているそうです。



 発表会場では「3分間のプレゼンテーションは短すぎる」と苦笑するコーディネーターが多かったです。しかし、3分間向けに説明の仕方を工夫したと思える説明は少なかったです。短い時間での説明は、事前の準備無しではうまく行きません。最初から3分間では説明できないと諦め、工夫を凝らさない姿勢に、日本では必至にプレゼンする機会が少ないのだろうと感じました。