ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

堀田善衛さんの「ゴヤ」新装品が集英社文庫から発行されたので買い求めました

2011年10月20日 | 
 東京都内の大きな書店に行った際に、堀田善衛さんが書いた「ゴヤ」が集英社文庫から新装品として新発売されたことに気が付き、なんとなく手に取ったことから購入しました。20年ほど前に、知人が「大変面白かった」と高く評価していたため、いずれ読んでみたいとずっと思っていたからです。

 書店には、お目当てのあるミステリーを買いに行ったのですが、たまには少し堅い本も読んでみようと、つい購入してしまいました。

 「ゴヤ」の原作の初出は「朝日ジャーナル」誌です。1973年の1月5日・12日合併号から76年9月24日号まで、4期にわたってそれぞれ連載されました(これがそのまま第四巻の分冊になったようです)。その後、1974年2月から77年3月まで新潮社から単行本が第一巻から第四巻まで発行されました。その後、朝日新聞社は1994年9月から12月にかけて、朝日文芸文庫として全四巻として発行されました。

 その後、集英社文庫として新装丁されて、2010年11月から漸次、全四巻として発行されました。30年以上も前の本ですが、まだ売れるという判断で再発行されたようです。文庫本といっても、価格は第一巻が950円(本体+消費税)、第二巻が1050円(同)、第三巻が1000円(同)、第四巻が1050円(同)で、全四巻そろえると4000円にもなります。





 現在、第一巻の1/3ぐらい読んだところです。イントロの「スペイン・光と影」を読むと、南のアンダルシア地方はある程度豊かな地域だが、ゴヤが生まれたアラゴン地方などがある北部・中部は冬は厳寒で、夏は極暑の厳しい気候の上に、土地は山だらけでやせていて作物が育ちにくい厳しい土地といいます。確かにフランスとスペインの国境にそびえるピレネー山脈は赤茶けた山肌で、やせた土地という感じでした。

 また、スペインは本来はイペロ族が住んでいた地に、ローマ帝国が侵入し植民地としました。続いてゴート族が侵入し、8世紀にはイスラム教徒のアラビア人が侵入し、12世紀にはキリスト教徒によってアラビア人から国土を取り戻したというように、民族の出入りが多い地域です。「スペイン」「スペイン人」とは何か、ある種の融合の賜物のようです。スペイン語の90%はラテン語系で、10%はアラビア語系だそうです。

 堀田さんは「アラビアから来たイスラム教徒はユダヤ教徒やキリスト教徒に信仰の自由を保障し、能力があるものは支配者側の官僚に採り上げるという自由さがあった」と解説します。1492年のグラナダ陥落で終わるレコンキスタ(国土回復運動)以降は、「カソリック教徒の支配下になってから信仰の自由が無くなり、異端審問所ができ、多くの血が流された」とも指摘します。

 紀元前205年からのローマの植民地時代や、1519年にカルロス1世が神聖ローマ皇帝に即位してから「スペインが欧州に広大な領土を持った時代を考えると、現在のECが良く理解できる」といいます。現在の国単位の欧州の方が歴史的には短いといいます。この辺は、ECを理解するカギがありそうです。スペインを通して、欧州を考えることになりそうです。

 まだ、読み始めたばかりですが、堀田さんのさまざまな指摘は示唆に富んでいます。深く考えることを学びたいと思います。