ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

東北大学「リカレント教育講座・公開講座」からPCDAサイクルについて学びました

2011年08月19日 | イノベーション
 2011年8月18日と19日の2日間にわたって、東北大学金属材料研究所は「東北大学リカレント教育講座・公開講座」を開催しました。聴講者は東北大学大学院で材料科学を研究している博士課程の学生が中心ですが、一般の市民に向けた公開講座を兼ねており、社会人も聴講しました。

 8月18日の講座では、主に金属材料研究所の教員・研究者の方が「非平衡金属の材料科学と応用技術」という総合タイトルの下に、「金属ガラス」という新材料について、最先端の研究成果を解説されました。

 一方、19日は金属ガラスの応用部品を実用化する研究開発戦略や事業戦略などの話が主なテーマになりました。その中で、午後の二番目に講演されたNECトーキンの取締役の吉田栄吉さんのお話は、事例が具体的でとても分かりやすかったです。「製造業における『問題』と『課題』」として、研究開発担当者や事業化担当者にとっての仕事とは「PCDAサイクルを回すことである」ということを、博士課程の学生に向けて丁寧に解説されました。

 NECトーキンでの吉田さんは役員・社員時代に、研究開発と事業化の対象が磁性デバイスという磁性材料の応用という仕事内容だったそうです。学術面では磁性材料は、一般の方にはあまり馴染みのない分野ですが、研究開発と事業化の際の仕事とは具体的には何かをできるだけ具体的にお話しされました(磁性材料や磁性デバイスを事例とした具体的な話の内容は難しいので割愛させていただきます)。

 「PCDAサイクルを回す」という表現は、日本の製造業の実務者の方はよく使います。PCDAの「P」はPlan、「D」はDo、「C」はChech、「A」はActionです。製造業の研究開発担当者や事業化担当者の仕事は、「PCDAサイクルを回して、問題を解決すること」と解説します。

 「最初のP、すなわちPlanが重要」と説明されます。



 頭の中で考えると中ではなく、「具体的に文章や図を用いて表現し、『設計』として考えをまとめて書き上げるとこが重要」と説明します。

 「DすなわちDoを素早く正しく実行しましょう」と力説します。


 
 しっかりと何をするかを考え、“タグチメソッド”などの品質工学を利用し、「想定外の故障を防ぐ」対応策を考えることの重要性を解説します。

 CのChechをして冷静に分析し、「AのActionとして、問題の改善策を実行し、次のPCDAサイクルに進めるようにする」と、本質そのものを展開します。



 この「PCDAサイクルを回す」という対応策の具体的な中身は「磁性デバイスの研究開発と事業化ではなかなかの難問だった」ようです。

 博士課程の学生向けに「PCDAサイクル」の各項目と「学術論文」の書き方での各要素の比較は、大変独自な貴重な意見でした。


 
 研究開発の具体的な実践法としてのPCDAサイクルは、自分で徹底して考え、独自の分析見解を持つことが重要なことです。

福島市土湯温泉町にある浄土平で、活火山活動の風景を見ました

2011年08月18日 | 旅行
 福島市郊外の土湯温泉町を通る磐梯吾妻スカイラインを上って、浄土平という火山活動が目に見える高原に行ってきました。東北地方に前線が近づいて雨模様になる可能性がある中で、少し無理して行ってみました。

 磐梯吾妻スカイラインの中程に、標高約1600メートルの浄土平の駐車場があります。この駐車場の周囲に、自然の状況を伝えるビジターセンター、天文台、休憩場(レストハウス)、浄土平湿原などが並んでいます。

 駐車場に立って周囲を見渡して目を奪われるのは、水蒸気などを吹き上げている一切経山(いっさいきょうざん、標高1949メートル)の山腹です。



 一切経山の周囲は薄曇りの天気です。活火山として吹き上げる水蒸気と雲が混じり合っています。水蒸気の中に「火山ガス」が含まれているとの警告札が立っています。硫化水素の匂いが周囲に漂います。一切経山が活火山であることの証です。一切経山の裏側には「五色沼」というきれいな沼があるそうですが、そこまでの登山に数時間もかかるそうなので諦めました。

 一切経山に対して、福島市街地に近い南西側には吾妻小富士(標高1707メートル)が立っています。細かなガレ場が続く斜面を10分ほど登ると、吾妻小富士の山頂にでます。



 吾妻小富士の山頂は、噴火によってできた、すり鉢状の火口の穴が開いています。



 山頂では前線が近づくことに起因する強風が吹いています。火口の周囲を歩く方は強風を避けるために背をかがめています・

 赤ちゃけた細かな小石などがつくる吾妻小富士の急な斜面に、高山植物のハハコグサが部分的に育ち、その小さな白い花が健気に咲いています。

 火山の水蒸気が漂う景色は、文字通り「浄土」を感じさせる風景です。



 東北地方にかかる前線が南下した結果、天気が崩れかかっている雲の雰囲気は、浄土平らしさを示す薄曇の風景になりました。

埼玉県新座市の斜面林の木陰に咲くキツネノカミソリを見に行きました

2011年08月17日 | 季節の移ろい
 埼玉県新座市内を流れる黒目川沿いの斜面林の中に、キツネノカミソリが群生していると聞いて、行ってみました。これだけ斜面林をしっかりと保護してる場所はもうあまりないと、行ってみて思いました。

 埼玉県南部に多い川沿いの斜度がきつい斜面林の奥に、少しくすんだオレンジ色のキツネノカミソリが群生していました。



 斜面林が密生し、木陰で涼しい斜面に花茎を30センチ程度伸ばして咲いています。



 1眼レフカメラを持った方が数人、熱心に撮影しています。

 斜面林の上の方では、キツネノカミソリはもう咲き終わっています。開花の最盛期は8月7日ごろだったそうです。新座市が、このキツネノカミソリの群生地を保護しています。

 キツネノカミソリはヒガンバナ科の多年草です。ヒガンバナと同様に、花茎の下側には葉がありません。春に葉を伸ばして、栄養分を球根に蓄え、8月の中旬、お盆に花を咲かせます。

 少し薄暗い斜面林に野鳥がかなりいるのですが、種類がよく分かりませんでした。カラスとオナガが鳴き声がうるさいのさすがに分かりましたが、灰色のスマートな小型の野鳥が何かは確認できませんでした。

 これだけ立派な斜面林は、所沢市にある、春にカタクリが群生する斜面林しか知りませんでした。荒川に向けて流れる、いくつかの支流が刻んだ斜面です。来春に木々の葉が茂る前に野鳥を見に来たいと思いました。まだまだ、知らない場所があるものです。

長野県佐久市のモモの産地である平根に行った時に伺った話です

2011年08月16日 | 日記
 長野県佐久市の北東側に広がる平根地区は“桃源郷”と呼ばれる果物のモモの産地です。佐久市観光協会のWebサイトによると「長野県で最も古くからモモが栽培された地域」なのだそうです。

 佐久市の平根地区で栽培されているモモの特徴は、山梨県のモモの一大産地である笛吹市一宮町エリアなどが集荷を終える7月末ころから、平根地区では出荷が始まり、遅摘みのモモとして商品価値があることです。



 今は「あかつき」という種類のモモが出荷されていました。グレードはすべて「秀」です。光センサーを利用した糖度で選果したものです。

 その平根地区の上平根にあるJA佐久浅間平根選果所は、午前9時過ぎぐらいから一般向けにもモモを販売します。先週の12日金曜日の午前には、お盆前のためか、選果所の小売り販売店の前に行列ができました。



 その行列に並んだ時に近くの住民の方から伺った話は、予想以上に切実な食料問題に直結してるように思いました。今回、行列ができた理由はモモの実の出荷が昨年の暑さの影響で遅れたのが直接的な原因でとのことでした。行列に並んでいる方が「前日の11日午前はモモの出荷量が少なく、行列の途中で小売り分は売り切れた」と周囲に伝えます。これを聞いて「行列はしかたがない」と思いました。

 平根地区も農業に携わる方の高年齢化が進み、モモの果樹園の面倒を見る方が減り始めたのだそうです。今年5月5日の本ブログでご紹介したモモの花が咲きそろってる果樹園は以前よりも山側になっていました。その時は気がつかなかったのですが、平野部分ではモモの栽培を止めている果樹園が増えていたようです。

 このモモの果樹園に似た情況は、実は稲をつくる水田でも全国で始まっていると聞いています。最近は、田圃を手がける農業従事者の高年齢化が進み、あるシミュレーションでは、数年で米不足に陥るという予測もあります。米余りを問題視してきましたが、農業従事者の高年齢化によって、お米を出荷しない方が急激に増え、米不足に陥ると警告しています。“瑞穂の国”らしい田圃の美しさも、稲の作り手があって初めて実現する風景です。

 最近の新聞報道によると「農林水産省は8月11日に、2010年度の食料自給率(カロリーベース)が前年度より1ポイント下がり、39%になったと発表した。下落は2年連続で、40%割れは06年度以来4年ぶり」とのことです。今後の農業の担い手をどう確保するのか、正確なデータに基づく今後の推定の解説などを読んでみたくなりました。

緑陰で読むミステリー本として、作家の東野圭吾さんの精進に感心しました

2011年08月15日 | 
  お盆休みの盛夏の最中は、夏休みの“宿題”がつきものです。その宿題の合間に、緑陰で読むミステリー本は息抜きとしてとても楽しいものです。ミステリー作家の中で、ここ10年ぐらいは、東野圭吾さんが書かれた新作の単行本は発行直後に買うことにしています。原則、新作を出すと読む作家の一人になっています。

 今年の春に電車の釣り広告に、東野さんの単行本3作品が異なる出版社から、それぞれ次々と発行されると、出ていました。その3作品とは、3月3日発行の「麒麟の翼」(講談社発行)、6月6日発行の「真夏の方程式」(文藝春秋発行)、そして9月9日発行予定の「マスカレードホテル」(集英社発行)です。

 出版不況で単行本が売れない時代に、一定数以上の販売部数が確実に読めるミステリー作家として、東野圭吾さんが選ばれ、合同の広告になったと想像しました。AmazonのWebサイトには、単行本「マスカレードホテル」の新刊予約の受け付けが始まっています。



 当然、「麒麟の翼」と「真夏の方程式」は読み終えています。「麒麟の翼」は書店で手に取った時は、タイトルの意味が分かりませんでした。



 読み始めて、単行本「新参者」の刑事の加賀恭一郎が主人公として謎解きをするストリーだと知りました。読み始めて、各エピソードは面白くで引きつけられるのに、ミステリーとして話がどう展開していくのか読めない所に、作家東野さんの文章力を感じました。日本橋から人形町にかけての下町の人々の生き様が、今回も巧みに織り込まれて描かれています。読んで楽しい読後感が得られる作品です。

 「真夏の方程式」は天才物理学者である“探偵”の湯川学が活躍するガリレオシリーズの最新作です。



 「真夏の方程式」は話の展開が当にどうなるのか読めない作品でした。今でも、探偵役の湯川がトリックを見破ったきっかけが分かりません。でも、作家、東野さんの文章力のうまさは十分に堪能しました。ただし、「麒麟の翼」と「真夏の方程式」はミステリーとしてはある程度のでき映えです。例えば「容疑者Xの献身」の方ができは優れていると思います。

 さて、今回書きたいことは、たぶん「麒麟の翼」の購入時に書店でもらった「東野圭吾公式ガイド」という文庫本サイズの販売促進グッズを読んで感じたことです。東野さん自身が自作のミステリーについて感想を書いているものです。

 ふだんは、こうした販売促進グッズを読まないのですが、何かの弾みにパラパラとめくってみました。1990年に出した「仮面山荘殺人事件」では、東野さんは「まあまあの自信作です。(途中省略)ノベルスで初版2万で重版なし、というがっかりの結果です」と語ります。1993年に出した「同級生」は「久しぶりに売れましたね。最終的には2万部を超えたはずです」と語ります。今を時めくベストセラー作家の東野さんが初版の刷り部数が2万部で喜んでいたことに驚きます。1995年に発刊した「天空の蜂」では、「しつこくいってますけれど、とにかく本が売れなくて」と、つらい時代を語っています。この売れない作家だったころの作品は文庫版でしか、現在は入手できません。

 たぶん、東野さんが売れるミステリー作家になったのは、1998年発行の「秘密」や1999年の「白夜行」、2004年の「幻夜」などからではないでしょうか。ある意味、ミステリーではなく読み物を提供するようになったころです。登場人物が魅力的になりました。その後、ミステリー色の濃いものとそうでないものを書いています。そして作品が映画やテレビ番組になることで、売れっ子作家に定着しました。

 東野さんがミステリー作家になる、きっかけとなった江戸川乱歩賞を受賞した、1985年発行の「放課後」から苦節15年経って、現在は売れっ子作家になっています。

 ミステリー作家に専念してからは、かなり苦労していることが「東野圭吾公式ガイド」に載っている自作へのコメントがどれも物語ります。努力し続けるといのうのは簡単ですが、自分を信じて精進する姿勢が東野さんの魅力の一つです。