ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

日本企業「電気機器」での特許資産規模ランキングでは、パナソニックが第一位です

2013年10月26日 | イノベーション
 2013年10月26日発行の日本経済新聞紙朝刊の中面の企業面に掲載された見出し「特許資産規模ランキング パナソニックが首位」という記事が目に留まりました。

 昨日10月25日編の弊ブログでは、米国のトムソン・ロイター社(Thomson Reuters)は、2013年10月23日に技術革新に取り組む優れた企業100社を選出する「GLOBAL INNOVATORS TOP100」2013年版を発表し、パナソニックが3年度連続で選ばれたことをご紹介しました。このことが、頭の片隅に残っていたようで、特許資産規模ランキングの記事に目が留まったようです。

 記事で紹介された「特許資産規模ランキング」とは、特許などの知的資産の分析会社であるパテント・リザルト(東京都台東区)が自社の特許分析ソフトウエアを用いて、日本の各産業分野ごとに日本企業の“特許の価値”を分析したランキングです。

 パテント・リザルトは2009年から毎年度ごとに、日本企業の「特許資産規模ランキング」を公表しています。自社の特許分析ソフトウエアの成果を示すためのようです。今年は、10月10日に「電気機器」、10月11日に「化学」、10月15日に「機械・造船」、10月16日に「鉄鋼・非鉄金属・金属製品」、10月17日に「情報通信」と次々と発表しています。

 10月26日発行の日本経済新聞紙朝刊の記事は、パテント・リザルトが10月10日に発表した「電機機器」編を基に書かれています。



 この「電気機器」分野では、第一位がパナソニック、第二位が東芝、第三位が三菱電機とランキングされています。

 2012年4月1日から2013年3月末までの1年間に特許庁に登録された特許を対象に、個別特許の“注目度”を得点化するという「パテントスコア」という手法を用いた評価を基に、各企業ごとに総合得点を集計したそうです。パテント・リザルトは「このランキングにより、件数比較だけでは見られない、特許総合力の評価が可能になる」と説明しています。

 今回の「電気機器」編では、上位4社は前年度と同じ結果となり、富士通、日立製作所が前年度より1ランク、NEC(日本電気)が2ランクそれぞれ上昇しているとのことです。

 第一位となったパナソニックでの注目度の高い特許は「車両に搭載されたカメラで運転者の顔画像を取得し、運転者の状態を検出する運転者監視装置」技術や「非接触型ICカードの通信を良好にする通信装置」技術などがあったと解説します。

 このことを素直に読み取ると、企業再建中のパナソニックは新製品開発に適した優れた研究開発成果を基にした特許を持っており、製品化に成功し、事業化に成功すれば、事業収益を確保できる可能性(潜在能力)を持っていると読めます。この特許を基にした新製品が事業化に成功することを祈るだけです。


米国トムソン・ロイター社が発表した「GLOBAL INNOVATORS TOP100」を拝読しました

2013年10月25日 | イノベーション
 グローバル情報サービス企業である米国のトムソン・ロイター社(Thomson Reuters)は、2013年10月23日に技術革新に取り組む優れた企業100社を選出する「GLOBAL INNOVATORS TOP100」2013年版を発表しました。

 今年度版では、日本企業は28社が選ばれたそうです。日本企業は、かなり善戦しています。





 2011年に創設されたGLOBAL INNOVATORS TOP100は、付加価値特許データベース「Derwent World Patents Index(DWPI)」「知財調査・分析プラットフォーム」などを基に特許数や開発の成功率、グローバル性などを考慮して、トムソン・ロイター社が独自に選び出すものです。グローバル市場に影響を与える“発明”をしたり、“特許”を出した企業が選ばれていると推定されています。

 今回の2013年版では、国別には一番多かったのは米国の45社です。日本は第2位でした。第3位はフランスです。日本企業は2012年版では25社、2011年版では27社が選ばれています。3年連続で選ばれている企業は、NTT、トヨタ自動車、日立製作所、パナソニックなどです。今年度版に初めて選ばれた日本企業は、旭硝子、日本特殊陶業、日産自動車、オムロンです。

 たまたま、2013年10月24日発行の日本経済新聞紙朝刊の一面トップは見出し「半導体部門の社員半減 パナソニック、7000人に」という事業再建の記事でした。同社は赤字の半導体事業の大幅縮小を始めることで、これまでの事業再生の構造改革は峠を越すとみられています。

 パナソニックは同社の半導体事業のインドネシアやマレーシアなどの海外工場を中心に人員削減を実施し、半導体事業の赤字体質を改善するそうです。日本国内の半導体事業の主力工場である富山県砺波市、魚津市、新潟県妙高市などでは既に早期退職や配置転換を実施済みだそうです。

 さらに10月24日発行の日本経済新聞紙朝刊の中面には、パナソニックは病院などで、薬などを運ぶ搬送ロボット「ホスピー」を開発したとの記事も載っています。

 パナソニックは新製品開発、新規事業の活性化に力を入れているようです。パナソニックが事業再建に務めている姿勢も、トムソン・ロイター社の「GLOBAL INNOVATORS TOP100」に反映しているのか気になりました。

 

台風の27号と28号が本州に近づき、10月25日は西日本が大雨になりそうです

2013年10月24日 | 日記
 10月中旬の先週末と同様に、10月下旬の今週末も台風27号と28号が日本列島を襲うために、激しい雨になりそうな模様です。

 2013年10月は台風が次々に発生し、しかも日本列島を直撃する進路を次々ととるために、大雨が続いています。

 10月23日午後9時の天気予報図によると、勢力の強い台風27号は、沖縄・南大東島の南海上を西北西に進んでいるために、10月25日は沖縄県と鹿児島県奄美地方は台風の影響を受け、暴風雨になるとの予報です。



 さらに、10月25日は九州から関西にかけて、局地的に激しい雨になるとの予想です。

 台風27号の進路によっては、今週末は関東地方はまた雨になる模様です。そして、台風28号との複合作用によって厳しい大雨になる可能性もあります。

 台風26号によって大きな被害を受けた、東京都の伊豆大島に大雨が降らないように、祈るしかない状況です。

 地球温暖化による気象異常が今年10月の台風多発なのかどうか、是非知りたいものです。

2013年10月14日発行の日経ビジネス誌の特集「世界のトップ大学」を拝読しました

2013年10月23日 | 日記
 2013年10月22日に、大学入試改革を検討している安倍晋三内閣の政府が設けた教育再生実行会議(座長は早稲田大総長の鎌田薫さん)は、現行の大学入試センター試験を廃止し、新たに「達成度テスト(仮称)」の創設を提言する方針を固めたというニュースが新聞紙やテレビなどで報道されました。

 最近多い、日本の大学改革の報道の一つです。その背景には、日本の電機メーカーなどがここ10年間の間に、国際市場で凋落し、事業再編に伴うリストラを続けていることがあるように感じます。1980年代は、電子立国日本と豪語し、Japan as No1(ジャパン・アズ・ナンバーワン)を自他ともに自負していましたが、ここ数年前から、その自信を急速に失っています。

 その自信を喪失した背景の一つとして、日本の大学・大学院での人材育成という教育面に注目が集まっています。第2次大戦後の日本の大学・大学院は、周囲と調和して黙々と働く従順な従業員を日本企業に送り出してきましたが、最近のグローバル市場が求める独創的な発想の基に新製品・新サービスをつくり出す人材育成には適していないのではないかと考えられ始めています。

 先週、2013年10月14日発行の日経ビジネス誌は特集「世界のトップ大学 東大は生き残れるか」を掲載しています。



 この特集は、欧米の主要大学を中心に、無料オンライン講座「MOOC(Massive Open Online Courses)」が普及し始め、日欧米・中国・アジアなどの世界中の大学・大学院が、大きな変化に直面していると伝えています。

 米英トップ大学が優秀な学生や教員・研究者を自校に入学・所属させる魅力・強さに磨きをかけています。同様に、アジアの新興大学も猛烈に追い上げています。こうした次世代の人材教育を焦点に、熾烈(しれつ)な大学間競争が始まっています。

 特集タイトルに「東大」は生き残れるか」を入れているために、東京大学総長の濱田純一さんにインタビューし、「総長の危機感 座して死は待たぬ」という記事を載せています。

 米国のハーバード大学の有名教授のマイケル・サンデルさんにもインタビューし、「MOOCは正義だ」という記事を載せています。

 日本の主要大学が始めた教育改革計画を取り上げ、挑戦的なエリートを育成する改革案をいくつか紹介しています。

 日本の大学・大学院で学ぶ学生の平均値を上げる教育を目指すのか、その中の優秀な学生を世界基準のトップ層に育成することを目指すのか、よく議論して決めていただきたいものです。もちろん、ある大学は学生の平均値上昇を目指し、別の大学はエリート教育に徹するという“金太郎飴(あめ)”ではない解が求められると思います。

 ただし、日本の大学・大学院は、学生にとって日本企業などへの就職先を決める経路ではなく、各学生が真面目に勉強し、考える修練の場であることが一番求められることです。

産総研レアメタルシンポジウムを拝聴し、都市鉱山リサイクル技術を学びました

2013年10月22日 | イノベーション
 2013年10月21日午後に東京都千代田区で開催された「第8回 産総研レアメタルシンポジウム」を拝聴しました。産総研とは、産業技術総合研究所の略称で、日本を代表する大規模な公的研究機関です。

 “レアメタル”とは資源面で産出することが少なかったり、入手することが困難な元素群のことです。最近は、ハイテク製品のキー部品として利用されているものです。

 このレアメタル元素群は、産出国が中国や南アフリカ、ロシアなどの国々に偏在しているものが多く、2006年ごろに一時高騰して、日本の電機メーカーや自動車メーカーなどを苦しめたものです。

 例えば、パソコンのハード・ディスク・ドライブ(HDD)や電気自動車などの高性能モーターに利用されている高性能磁石には、ネオジムやディスプロシウムというレアメタル元素が利用されています。特に、高温用途で使う高性能磁石には、ディスプロシウムが不可欠ですが、このディスプロシウムは中国が主な産出国で、輸出制限を一時、実施することがありました。

 このため、日本ではリサイクル法などを整備し、自動車や代表的な家電製品や小型家電製品の廃製品を回収し、元素・材料をリサイクルする態勢を進めています。こうした自動車や家電製品などの廃製品を収集・回収したものを“都市鉱山”と呼んで、ここから必要な元素を回収するリサイクル化を進めています。

 今回の「第8回 産総研レアメタルシンポジウム」の講演を拝聴し、現在の“都市鉱山”と呼ばれる廃製品からは、鉄やアルミニウム、銅、プラスチックなどの主要な構成元素・材料は回収できるが、日本が求めているレアメタル元素群は、“都市鉱山”廃製品の中から、そのままでは回収できないことを学びました。

 お目当てのレアメタルを含む部品・部材を回収するには、“中間処理”と呼ばれる工程を加えてから、通常のリサイクル回収選鉱技術に回す必要があるということを学びました。通常のリサイクル回収選鉱技術だけを適用すると、多くのレアメタル元素群は銅精錬時のスラグと呼ばれる不純物側に混在してしまい、そのまま捨てられるからです。

 例えば、パソコンの廃製品からはハード・ディスク・ドライブをまず取り出し、その中から高性能磁石を取り出す中間処理が必要です。また、携帯電話機の廃製品からは、タンタルコンデンサーを取り出す中間処理が必要です。こうした中間処理を実現するには、携帯電話機などの小型家電製品ごとに、レアメタルを主に含む部品の製品形状・対象部品などの製品データベースを各メーカーの全年式ごとにつくる“廃製品データベースプログラム”を非公開型で作成することを、産総研は提案しています。

 データベースを非公開型にする理由は、各電機メーカーの独自技術内容を非公開にするためです。ある。レアメタルの元素を回収するリサイクル業者は、この廃製品データベースプログラムを利用して、目指すレアメタルをピンポイントで回収することで、リサイクルを実現するという提案です。

 こうした研究開発を加速される目的で、産業技術総合研究所は「戦略的都市鉱山研究拠点(SURE)」を今年8月から準備し、来月11月から“都市鉱山”型リサイクル技術を社会に普及させる活動を始めるそうです。



 その普及活動の一環として、SURF FORUMという企業との連携組織を設け、廃製品データベースプログラムや製品エコシステムプログラムなどの構築する計画を進めているそうです。