札幌大谷大学芸術学部音楽学科の学生が演ずる「魔笛」、「オルフェオとエウリディーチェ」の二つのオペラを楽しんだ。さすがに専門の教授陣、そして学生の演ずるオペラは私の目と耳には本格的なものに映った。
1月14日(土)夕刻、札幌大谷大学の「大谷記念ホール」で同大学の芸術学部音楽科の主催によるオペラ公演があり、参加した。
大谷記念ホールは小ぶりながらも大学としては立派な施設だった。それもそのはず、設計者はサントリーホールや札幌コンサートホールKitaraを手がけた世界的な音響設計家・豊田泰久氏が設計したコンサートホールだそうだ。小ぶりとはいえキャパシティは352席と素晴らしいホールだった。
※ ウェブ上より写真を拝借しました。
第1部の「魔笛」は ご存じモーツァルトによるオペラとして有名である。この「魔笛」においてタミーノ役とパパゲーノ役を演じた二人の男子学生が若々しい溌溂とした歌や演技を披露してくれた。また、1幕目では弁者を、2幕目ではザラストロ役を若い学生に混じって演じた大谷大学の客員教授である則竹正人氏の存在感も抜群だった。則竹氏は私が昨年8月に観劇した「札幌室内歌劇場」の編作オペラ「中山晋平物語」において中山晋平役を演じた方である。則竹氏はおそらく札幌オペラ界においてなくてはならない存在のようである。
第2部の「オルフェオとエウリディーチェ」は、「魔笛」が日本語上演だったのに対して、原語上演だったこともあり、内容がイマイチ掴みづらいきらいはあったが、学生たちは堂々と演じてくれた。このオペラでは主役のオルフェが幕毎に代わるトリプルキャスト(3幕構成だった)で演じられたのだが、服装や姿格好が似ていたこともあって観劇していた私にはまったく違和感がなかった。ただ、やはり音楽科の学生は女性が主流のようだ。3人ともに女子学生が演じていたところは仕方のないことか?
※ オペラ上演前のステージです。簡素な舞台設営がかえって好ましくも感じました。
今回の大谷オペラでもう一つ気付いたことがあった。ステージ前で伴奏のピアノやピッコロ、フルートなどに対して指揮をしていたのが大谷大学の准教授である鎌倉亮太氏だった。鎌倉氏は昨年暮れの「フィガロの結婚」カバーキャストによるスペシャルコンサートで全曲のピアノ伴奏をこなしたピアニストである。鎌倉氏もいろいろなところで活躍されている方のようである。
と優秀な指導陣に指導された学生たちは十分に魅せる舞台を実現したように思えた。残念だったのは、コロナ禍とあって出演者全員がマスクをしたままの舞台となったことだ。それでも十分にセリフも歌も私たちに届いたが、もしマスクがなかったとしたらさらに素晴らしい舞台になっただろうに…、と思えたところがちょっとだけ残念だった…。いつかに機会にマスクを外した舞台を鑑賞してみたい。