鎌倉幕府は平時には人身売買を禁じていたが、質入れは認めていたこと、良民が質入れされると奴婢となり、訴訟や弁済なしに10年過ぎれば質流れとなったこと、しかし簡単に質流れにはならず、請け戻しが可能になるような在地社会の慣習法
鎌倉幕府法に出て来る「奴婢雑人」という語について、従来の解釈を丹念に吟味し、「雑人」は奴婢と良民(錦織さんは「良人」という語を使っていますが、戦前の小説を読み慣れた眼ではつい、夫という意味に読んでしまう)を包摂する用語だとし、式目41条とその引用に見える「奴婢雑人」は、奴婢という状態にある雑人、という意味だとしました。そして鎌倉幕府は平時には人身売買を禁じていたが、質入れは認めていたこと、良民が質入れされると奴婢となり、訴訟や弁済なしに10年過ぎれば質流れとなったこと、しかし簡単に質流れにはならず、請け戻しが可能になるような在地社会の慣習法があり、質入れは最終的な生命維持の手段として機能