○身分別適用刑罰
身分によって適用される刑罰が異なっていた。
適用される身分刑罰共通死刑のうち切腹と斬首以外、遠島、追放、押込、敲き、預かり、晒し、市中引廻、闕所、入墨庶民のみ手鎖、戸閉、過料、叱り、非人手下、人足寄場武士のみ切腹、斬首、改易、役儀取上げ、蟄居、閉門、逼塞、遠慮、隠居、差控僧のみ追院、退院、一宗構い、一派構い、蟄居、閉門、逼塞、遠慮、隠居、差控
女性のみ奴、剃髪
その他縁座、連座
○身分刑
身分に関する刑罰である閏刑(じゅんけい)として行われることが多い。
刑内容改易 武家の当主と嫡子に適用。家名を断絶する。当主が遠島以上の罪を犯すと御家御取潰しになる。
改易により収入を失った家族には幕府から扶持米が支給される。
追院 僧籍の者に適用。僧籍を剥奪され、晒し者にされる付加刑がつく。退院 僧籍の者に適用。僧籍を剥奪される。一宗構い 僧籍の者に適用。所属している宗旨から追放される。一派構い 僧籍の者に適用。所属している宗派から追放される。剃髪 心中未遂の女性に適用される。髪を剃り落とす。
奴 本籍から除籍し希望者に奴隷として下げ渡される。
吉原以外の娼婦が摘発されれば吉原へ3年間奉公させるのもこの刑。
○財産刑
財産の没収や罰金を科す刑罰。
刑内容闕所 罪人の財産を没収する。死罪や遠島、追放の付加刑。
没収された財産は入札で売り払い、道橋入用や牢屋敷普請に使った。家と田畑のみ没収や期間を決めて没収されることもある。
享保年間(1716から1635)から夫が闕所に科せられても妻名義の財産は持参金を除き対象外になった。
身代限り 罪人の財産を没収する。過料 罰金。正刑や付加刑として行われる。
重過料は5貫文(5千文。金貨換算で約1両に相当)以上。財産に応じて払う「応分過料」や村単位に罰金を科す「村過料」、
博打の連座刑として博打の宿があった両隣や向かい側の住民に過料を命じ、間口間数に応じて払わせる「小間過料」がある。
○連座
他人の犯罪だか処罰される。享保期(1716から1735)以降は制限された。刑罰は過料、叱り、押込が科せられる。博打の場合は名主の屋敷が5年間取り上げられた。