「発音」も問題点ではないか:
私は「発音もではなく、発音が英語力の重要な部分である」と認識している。この点については、大学でフランス語を教えているTK博士は「学生は驚くほど発音ができません。これは発音を満足に教わっていないからです。」と発音の問題を指摘された。英語にもこの「発音が出来ない、または宜しくない」という問題がある。
そこで、あらためて「英語の発音」を考えて見ようと思う。この「日本人は英語の発音が苦手である」というか「正確に出来ない人非常に多い」という問題の根幹にある事は「英語(乃至はEnglish)とは日本語とは全く異なる系統の言語である点」を忘れて英語を教えてしまっている事がある」と思う。
“science“のように英語を教える:
次には「学校教育では『科学的』と言うか『語学としての英語』を教える際に単語、文法、英文解釈、英作文等には重きを置かれていても『発音』が等閑にされているからではないか」との問題があると認識している。そう言う根拠は「在職中に我が国の一流企業の方々の英語に接する機会があったが、正確にして美しい発音にまでは勉強が行き届いていない例が多かったから」である。
今回は「我が国の学校で教えているのは科学としての『英語』であるから、”English“の発音とは自ずと異なって来る」事を前提にして考えてみようと思う。
「英語」とは違うEnglishの発音:
私はEnglishの発音が、我々日本人にとっての難関の一つだと認識している。英語を正確に発音できるように教える為には、最初が肝心なのである。その点は帰国子女たちが鮮やかな発音できていることからも明らかだ。即ち「小学校の児童や中学の生徒にnative speakerの正しく綺麗な発音を聞かせて、それを真似させるように時間をかけて訓練すれば良いのではないか」という事。
私の推論は「そう言う発音が出来ていない英語の先生方が教えておられるから、カタカナ語風またはローマ字式の発音しか出来なくなってしまうし、単語にアクセントが付けられず、抑揚(intonation)もつかず、切るべきところで切れていない平板な流れになってしまうのだ」なのである。
Englishは日本語とは違う言語だ:
私が方々で指摘して来た事は「native speakerたちは生まれつきEnglishをキチンと発音出来る素質が備わっていた訳ではない。生まれて以来Englishしかない環境で育っただけの事だ。帰国子女たちの綺麗な発音はそういう環境で育った賜なのである」という点だ。
それでは、何故、我が国の人たちが発音を苦手としているかを考えていこう。第一に指摘しておきたい事は「日本語とEnglishでは相互に違う音が多過ぎる」という点だ。それはEnglishにはth、rとl、fとv、wの音がある事だ。ここでも上記と同じことを言いたいのだ。こういう日本語にはない発音が出来るようになるのには上記の環境の問題がある。
換言すれば、学校教育での最初が肝腎で、正確になるように教えたかどうかという問題だ。これはnative speakerか、正確な発音が出来る先生の発音を真似してみる、真似ができるようになるしかないことだと思っている。この真似をすることは容易ではないので、教える方が繰り返して教え込むと言うか真似をさせる努力が必要だと思う。ハッキリ言うと「やれば出来ること」なのである。この時点で挫けたらそれまでだ。
念のために確認しておくと「多数の方々はローマ字式かカタカナ語的な発音で育ってきた英語の先生に最初に教えられたので、本当のnative speakerの発音を知らずに育ってきた為ではないのか」という事なのだ。前節の例から言えば、thの発音を正確に教えられていなかった為にthatが「ザット」になってしまうのだという事。
私は最初に「舌の先を上と下の歯の間に挟んで」と教えて、何度も何度繰り返して試しさせていれば、何時かは出来るようになるものなのだ。現に、出来ている人たちに何人も出会ってきた。私は「繰り返して訓練すれば誰にでも出来る」と言い続けてきた。それ即ち、「為せば成る、為さねば成らぬ、何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」なのではないか。
例えばwの発音がある。この「ウ」の音も日本語にはないのだ。即ち、口の両端を「ウ」と言いながら横に広げねばならないのだから。私はこの事を「その発音をする為に使う顔面の筋肉が違うのだ」と説明してきた。日本語にはwの音がないので、workが「ワーク」になってしまうしwebが「エブ」になる始末。”l“と”r”についても同様で、必ず出来るようになる。
これらなどはほんの一例に過ぎず、英語と日本語では使う顔面の筋肉が大なり小なり違うと承知しておく必要がある。言うなれば自由自在に英語の発音が出来るようないなる為には「顔面の筋肉のトレーニングが必要」となるのだ。故に、正確にEnglishの発音が出来るようになるというか、native speakerたちの中で過ごしていると、使う筋肉が違うせいで顔付きも変わってくるのだ。
ローマ字読みの功罪:
「ローマ字」と「ローマ字読み」の功罪を強く論じておきたい。先ずは「功」の面から。それは、我が国は早くから方々でローマ字表記に親しむように出来ているので、アルファベットの読み方も書き方も子供の頃から、難なくこなしていけるようになっている点である。大都会や地方を問わずに、何処に行っても横文字が幅をきかせている。
「罪」の面では正確にEnglish乃至は英語を発音出来なくする嫌いがあるという点では、貢献していないのだ。それは英語ではo即ちアルファベットのoは必ずしも「オ」または「オウ」と発音しない例が多過ぎる事を挙げておきたい。近頃方々で言い出した「job型雇用」は断じて「ジョブ型雇用」でなく「ジャブ型」なのだ。ジーニアス英和でも発音記号に「ジャーブ」の方が先に出ている。また、Appleの故Steve Jobs氏は最悪でも「ジョブズ氏」ではなく「ジャブズ」氏である。
Englishには”a“を「ア」とは発音しない単語が多すぎる。Chaosなどは「カオス」ではなくて、正しい発音は「ケイアス」が最も近い表記になる。ここにも出ていたようにaも曲者なのだ。多過ぎでどの例を挙げようかと迷うが、”oasis”は「オウエイシスス」であり「オアシス」ではないし、bakeryは「バカリー」ではないようなこと。
要するに、ここで言いたい事は「ローマ字読み」にする前に一手間かけて、辞書を引いて発音記号を見て確かめておく事なのだ。換言すれば、カタカナ語を見れば「本当の英語の発音とは違うのではないか」と疑ってみれば、90%以上の確率で正解だろうとい事。「単語を数多く覚える努力をする時に、同時に発音記号も確かめて、極力Englishに近い発音も出来るようにされたら良い」と思う。その際には「その単語の何処にアクセントが何処に来るかも確認しておけば、試験で良い点が取れるようになるだろう」と思う。
抑揚(intonation):
アメリカの会社に転じた直後ではアメリカ式の英語では抑揚の他に単語のアクセントが強調されるので、リズム感に似た感覚が必要になると知った。そのために、最初の間は「体でリズムを取りながら喋っているよう」な状態になっていた。ごく偶にKing’s Englishの国に行ってみると、アメリカとは違って平板な流れになっているので、かえって聞き取りにくいと感じたことさえあった。
正確で明瞭に:
私はこれまでに何度か「綺麗な発音は七難隠す」と言って説明してきた。そこに「正確な」が加わればより良いのである。そんな両方までは簡単にものにできないという方には「正確さ」と「明瞭さ(clarity)」を心掛けられるようにと申し上げておきたいと同時に、「カオス」のようなローマ字読みを忘れるようにとお勧めする。
発音が明瞭で正確であれば、先方にとっても聞き取り易くなり、意思の疎通が円滑に行くだろう。それこそ「七難隠す」とまでは行かずとも四難くらいは隠せるので、お互いに「楽しい話し合いでした」という意味で”Nice talking to you.“と言って握手して別れられるだろう
と申し上げて終わりたいが、そうなる為には何と言っても「音読・暗記・暗唱」が王道なのである。
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