新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

9月30日 その2 電気自動車を考える

2018-09-30 10:45:58 | コラム
電気自動車(Electric vehicle→EV)の時代が来るのか:

私はほぼ毎回、何故かテレビ東京が流す「出川哲朗の充電させてください」という番組を興味深く見ている。何に興味があるかと言えば、充電している時に必ず「2時間の充電で20 km走れて電気代¥14」と出ることだ。あんなに小型で軽量に見える電動バイクを走らせるのに2時間の充電で20 kmしか走れないのでは、1台で100 km走らせようと思えば5台の電池が必要で、充電には単純に計算すれば10時間もかかってしまうのだ。

ましてや、重量が1 ton 以上もあるEVともなれば走っている時よりも充電の方が長時間になりはしないかと、自動車の運転の仕方も知らず当然免許もなく、一家の男子3人が揃って事故に遭った者(父は昭和12年に貰い事故で死亡)が何らの自動車に関する知識もないままに心配してあげている。アメリカでイーロン・マスクのテスラが一向に成功しないのが、肝心要の電池を沢山乗せただけだということと電池の供給者の選択を誤っただけだと某電器会社の元副社長も指摘されたし、そのいう問題があるとも報じられていると聞いている

そういう簡単なようで重要で難し問題ばかりのEVだけの製造を何年先だったからに認めるとEUだったかで決めたというし、マスコミや識者の論調は「これからはEVの時代」で一致しているかのように見える。現に私は「アメリカでトランプ大統領の強硬な貿易赤字作戦に従ってハリブリッド車の工場をアメリカに新設すれば、その工場が稼働を開始する頃にはEVの時代が到来していて、とんだ時代遅れの投資と工場になっていないか」と先日論じて見せたばかりだ。

確かにEVの時代となればハイブリッド車よりも排気ガスの問題を心配せずに済むだろう。だが、4月に箱根湯本の旅館で見た駐車場には1基の充電用の設備があった。だが、2台が同時に充電させろとなったら大変だろうなと、余り前後の事情を考えずに心配していた。これは将来というか現在でも通用しそうな充電設備の問題であろうと思う。

ここに、少しだけカタカナ語の問題に触れて置くが我が国では英語の gas station を「ガソリンスタンド」にしてしまった。そうなると電気の場合は「電気スタンド」とせざるをないのではないかと密かに案じている。充電の設備が英語がどうなっているか知らないが、我が国では「電気ステーション」か「充電スタンド」とでもせねばなるまいと思うのだ。

こういう単なる充電だけを考えてもEVの時代にするのは容易ではないと思う。現に数千万台(なのかな?)のガソリン及びハイブリッド車が走っている我が国では、それでなくともガソリンスタンドが廃業に追い込まれている時代である。彼らを電気スタンドに改変させるのか、それとも新規に電気ステーションを日本全国津々浦々に新設するというのか。その資金を誰が負担するのか。それも既に上記したように1基だけでは何にもならないのではと、ずぶの素人であり門外漢が懸念している。

そう考えて「EV」で検索してみたところ、国債投資アナリスト・大原浩氏の興味ある論文に出会ったのその一部を引用してみる。

>引用開始
そもそも、燃料のガソリンの安定供給が長期に見込めるのに、電気自動車が脚光を浴びた理由は何か。
説明するまでもなく地球温暖化が世界的な問題として急浮上し、ガソリン自動車は二酸化炭素排出の元凶としてやり玉に挙がったからだ。確かに電気自動車そのものは二酸化炭素を排出しないかもしれないが、いまだ発電所は化石燃料を燃やす方式が主流を占めているしかも、化石燃料を直接内燃機関で燃やす方式より、発電所から長い距離を送電し充電してからの使用となり、その間、相当なエネルギー損失が発生する。つまり電気自動車は、化石燃料の効率悪い使い方に過ぎない。結局、環境を破壊しているのである。
世界の発電を見れば、石炭火力が約40%、天然ガスが約20%、水力発電が約17%、原子力が約11%。原子力を含めれば、自称環境保護運動家が主張する環境にやさしくない発電が7割以上を占めているのだ。
しかも、今後、電気自動車が普及すれば今以上に莫大な量の電気が必要になるから、環境を破壊する発電所を新規に大量に建設しなければならなくなる。日本だけでも自動車は8000万台もあるのだ。

<引用終わる

「なるほど」とも思わせられて読んだ。自動車では一時水素を燃料としようという議論が湧き起こり、何処だったか都内で「水素スタンド」を1箇所見たことがあった。先見の明かた単なる先走りかは解らなかった。だが、今回はマスコミのEV、EVという大合唱が押している。私は遺憾ながら自動車のことは解らないので「そう言う時代かな」とは思わせられたが、出川哲朗の番組を見て難問が多いのではないかなとボンヤリと考えつつ、「出川がここまで売れるとは」と驚いていただけ。

例によってマスコミ批判をして締め括れば、如何にも時代の流れのような報道の仕方をせずに「EVを伸ばしていく為にはどれほどの利点があるかを述べるのは当然としても、その前には如何なる障害(ハードルなどと言うな)があるか正面から述べておくべき」だ。何も考えずにマスコミ報道だけを頼りにしていれば、EVではやや出遅れた感があるトヨタには経営上の問題があるように思わせる。私は絶対にそうではないとまで言えないが、電気スタンド?等々のインフラの整備の心配をしてから論ずべきだと思っている。



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