〈本日の東京地方は、台風9号の影響で朝から雨。手帳をめくると、朝から雨が降ったのは7/29以来!?(あくまでも私の記録の中で、ということですが) ほぼ1日降り続きました。この雨が、乾いた大地に恵みの雨となり、秋を連れて来てくれることを願わずにはおられません〉
昨日7日(火)、八ヶ岳へ行きました。長野県諏訪(すわ)郡原村の舟山十字路から阿弥陀南稜を登り、赤岳へ縦走、真教寺尾根を山梨県北杜(ほくと)市の清里へ抜けるコース。9月中旬に予定している山行の足馴らしです。
阿弥陀南稜は(一般登山道ではない)バリエーションルート。<初級>とは言え、単独・初見で臨むとなるとやはり緊張します。そこへ「台風9号北上」のニュース。当初7、8の二日間の計画を前倒し、急きょ1日で登り、下山することにしました。少しハードな行程になりましたが、本日の天候を見ると正解でした(ホッ…)。
そして、猛暑の予想に反して、八ヶ岳には秋風が吹き始めていました。
4:30登山口の舟山十字路(標高1620m)。準備を整えて、5時過ぎに出発です。
林道を40分ほど歩いて旭小屋着。昔懐かしい感じの無人小屋です。
阿弥陀南稜の取り付きはこの裏手から。小屋裏の作業道に入り込み少し迷いましたが、地形図と睨めっこして、何のことはない一般ルートのような道を発見しました。
それにしても…
バリエーションに道標があるのも、何だか…?(苦笑)
この頃から上空に雲が広がり始め、東よりの風も吹き始めました。イヤな感じです…。
稜線に上がると、シラビソ、コメツガなど針葉樹とコケの森が、八ヶ岳らしい雰囲気を漂わせます。
足元には、ゴゼンタチバナ(御前橘/ミズキ科)の実が鮮やか。
7時半過ぎ、最初のピーク立場岳(たてばだけ・2370m)に到着。樹林に囲まれた静かな場所。でもこの標識、なぜか標高が違っています…。
そして、この立場岳の少し先から…
北東方向に、目指す阿弥陀岳(2805m=左)と赤岳(2899.2m)が初めて姿を見せました。
さらに進んで、青ナギと呼ばれる場所から望む阿弥陀岳。右側のスカイラインが南稜。気が自然に引き締まります。
左手の樹上に中型の鳥を発見。
ホシガラス(星烏/スズメ目カラス科)です。八ヶ岳で見るのは初めて。(考えてみれば、これまで八ヶ岳は積雪期しか来たことがなかった)ちょっと嬉しい。
地面に目を落とすと…
ウメバチソウ(梅鉢草/ユキノシタ科)
ヤマトリカブト(山鳥兜/キンポウゲ科)
そして、今年もこの花の季節がやって来ました。
トウヤクリンドウ(当薬竜胆/リンドウ科)です。
晩夏から秋の花が満開。しばし癒されます。
無名峰を越えて9時前、P1(=ピーク1の意味・2564m)に到達。前方には…
P2~P4の核心部が迫って来ました。基本的にすべて西側(写真では左側)から巻く形で通過します。
写真では晴れていますが、この時の気温は12℃。台風の影響か、稜線上は南東よりの風も強く、寒い。ここで、カッパの上着とヘルメット、念のためにハーネスも装着しました。ロープを使うことはないだろうと思いましたが、恒例の「気合いを入れる」儀式です(笑)
東側に目をやると、雲海の上に富士山がくっきり。
北東前方には、赤岳が格好いい。
好展望を満喫しながらP2を過ぎると、いよいよ核心のP3です。
ヤマトリカブト、エゾシオガマ、ウメバチソウ、ウスユキソウ、トウヤクリンドウ、ミヤマアキノキリンソウ、タカネナデシコ…P3手前でお花畑が思わぬお出迎え。
(こんなお花畑は、一般ルートに出てからはなぜか見られませんでした)
さらに…
初めてお目にかかるキンロバイ(金露梅/バラ科)。
その名の如く、金色に輝く花が際立っていました。落葉低木ですが、分布はかなり局所的なようです。感動…。
心憎い演出に後押しされて、P3に取り付きます。ここも50mほど西へトラバースした後…
2ピッチ80mほどのルンゼ(岩溝)を詰めます。グレードは、Ⅲ~Ⅲ級+と易しいのですが、ミスしたら止まらないので、初心者がいる場合はロープを出した方が良さそうです。
P3を抜けると…
残るはP4のみ。これも西側から行くのですが、私はここが気持ち悪く感じました。狭い岩棚を巻く際、ザックを岩に引っ掛けたりすると転落しそうです。相変わらず風が強かったこともあり、特に慎重に通過しました。
そして10時前…
阿弥陀岳頂上へ飛び出しました。頂上には、これから北八ヶ岳まで縦走するというテント泊の若い男性が一人。静かなひと時、しばし休息です。
ここからは一般ルート。東にそびえる赤岳まで縦走し、そのまま山梨側へ下山します。
この頃から、風ととともにガスが急速にかかり始めました。目指す赤岳にも…。
11時20分赤岳着。周囲はもう、ガスに覆われて何も見えません。気温13℃、風速10~15m/sの風が吹き、秋を通り越して冬を感じさせる山頂に、早々と退散です。
下山する山梨側は、晴れ間が覗いていました。
清里の風景が、箱庭のようで美しい。
あとは気楽に下るだけ…と思っていたら、この真教寺尾根が予想以上に長かった!上部の鎖場も結構急で…ナメてました(反省)
ここでも、標高2000mを切るあたりから…
もう、おわかりですよね。ニホンジカによる樹皮剥ぎです。
私はこちらの光景に違和感を覚えました。
樹木を守るためにかけられた、おびただしい数の防護ネット。イタチごっこかもしれませんが、当面の被害を防ぐためには仕方ありません。
15時40分、その名も美しい「美し森(1520m)」(山梨県が整備した八ヶ岳中信高原国定公園の園地)へ下山。
さすがに疲れました…そして、ここで食べたソフトクリーム(バニラ&ブルーベリーミックス)の美味かったこと!いつも思うのですが、下山後のソフトクリームって、ビールと並ぶ楽しみの一つです(笑)
猛暑を覚悟して入山した八ヶ岳。思わぬ風の洗礼に意表を突かれましたが、その冷たい空気と咲き競う花々の中に、夏の終わりと、待ちに待った秋の到来を実感しました。
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