明日の私へ

日頃の生活の中で、徒然感じた事を綴っていきます。

電卓のすすめ20 和算と連立方程式

2023年12月05日 | 電卓
電卓のすすめ19 からの続きです。

佐久間庸軒

幕末から明治にかけて活躍された福島県田村市船引町出身の和算家が新聞に掲載されていました。
和算家の名前は佐久間庸軒(1819年ー1896年)
勝海舟が1823年生まれですから、海舟より4つほど年上になります。
庸軒が明治16年に奉納した天井絵が、船引町にある古室神社で見つかったという記事でした。
天井絵には和算の問題が記されています。
日本では数学の問題が書かれた絵馬を算額として神社仏閣に奉納していた文化がありました。
しかし、天井絵は珍しく福島県と長野県でしか見つかっていないそうです。
算額は他国には見られない珍しい文化です。
江戸時代中期から盛んになっていたようで、一番古い算額は1683年に奉納されたようです。
福島県は庸軒の影響もあって和算の先進地だったと記されています。
算額のホームページである「和算の館」をみると現存する算額の一覧を見ることができます。
県毎に数えてみると長野県はダントツに多いのですが、福島県が2番手につけています。
 
(2023.12.5現在)
都道府県 奉納数
青森 4
秋田 5
岩手 40
山形 26
宮城 18
福島 49
東京 19
長野 80

庸軒は和算を極めるため諸国を旅し各地の神社仏閣を訪れました。
維新後、三春藩士であった庸軒は庸軒塾を開設。
門下生は2000人を越えたとあります。
和算の稽古場として使われていた書斎は、田村市の有形文化財となっています。
疎水のあるところに数学者有り。
測量技術と計算が必要であるため、庸軒の門下生も活躍されておりました。

和算と連立方程式


和算と言えば
江戸時代初期の和算家、関孝和ではないでしょうか。
関孝和はニュートンやライプニッツと並ぶ数学者です。
先日、テレビのクイズ問題から「連立方程式」がトレンドとなっていました。
関孝和は世界に先駆け、行列式による連立方程式の解法を生み出しました。
日本の数学は独自の発展を遂げ、良い意味でガラパゴス化していたようです。
日本のお家芸ですね。
 

連立方程式と"つるかめ算"

佐藤恒雄著「大人のための算数練習帳」は面白い本でした。
三部作になっていますが、その一つは文章題を算数と数学の両面で解説しております。
この本を読むと算数が好きになってきます。
算数は文字式が使えない、マイナスが使えない、関数が使えないなど禁じ手が多い学問です。
例えば「つるかめ算

鶴と亀の頭の数が100ありました。
足の数は合計で256のとき、
鶴と亀はそれぞれいくつですか。

数学では
鶴をx、亀をyとすると
x+y=100
2x+4y=256

という2元連立方程式になります。
関数電卓を使ってみます。
関数電卓のほとんどは、連立方程式を解くモードを持っています。
ここでは関数電卓CASIO fxーJP900を使ってみます。
[MENU]
[A:方程式/関数 計算]

[1:連立方程式]
と操作すると

[連立方程式
元(変数)の数は?]
と聞いてきます。

2元連立方程式なので2を押します。あとは係数を入力していくと答えが出てきます。
 
 
算数では
100羽すべてが鶴だとしたら足の数は200になるはず。
ところが256本ですから、56本の差は何だろうかと考えます。
56本の差は亀の足です。
亀と鶴の差は2本ですから
56を2で割ると28が亀の数になります。
鶴は100ー28で72になります。


この考え方が、算数って面白いなと感じます。

関数電卓で解けない問題



ところで、関数電卓が全ての方程式を解けるわけではありません。
関数電卓をお持ちなら次の問題を試してみてください。
x^2+y=10.97
3.75x+2.64y=14.83


このような問題を一発で解ける電卓は少ないと思います。
ソルバー等を使って地道に解くしかありません。

TIの電卓が答えを出したときは、正直驚きました。
 
電卓のすすめ21 に続きます。
 

続編、文具の木の実もご覧ください。

【計算が楽になる】電卓の使い方