まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

Q.宇宙人はいると思いますか?

2015-05-17 22:55:31 | 哲学・倫理学ファック
いい質問ですね。
この問いにお答えする前に、まずは問いを問い直しておきましょう。
この問いに答えるためには、「そもそも宇宙人とは何か?」 という問題を確定しなければなりません。
これに関しては以前に書いたことがあるので、そちらを参照してください。
簡単に言うと、宇宙人というのは宇宙生物 (=地球外生命体) のなかでも
ロゴス (理性=言語) を備えた存在者だけを指す概念であるということができるでしょう。
宇宙にもいろいろな生物がいるかもしれません。
生物と言われて虫や爬虫類や哺乳類みたいな動物を真っ先に思い浮かべる人もいるでしょうが、
地球上でも生物と言えばそういった動物よりも植物や菌類みたいな生物のほうが、
はるかにたくさん存在しています。
それよりもさらに多くの細菌原生生物などの微生物が存在しています。
そういったより単純な生物が進化を遂げてより複雑な生物が無数に誕生してきたのであり、
その果てに知性を有する存在者である人間が生まれてきたわけです。
おそらく宇宙 (=地球外) においても同じような進化を経るはずで、
まったく生命の存在しないところから突然ロゴスをもった宇宙人が誕生したりはせず、
ごくごく単純な生命から始まって、長い進化の歴史をたどったあとでやっと、
知性をもった存在者が誕生するかもしれないし誕生しないかもしれないのだろうと思います。

というわけで順番に考えていく必要があります。
宇宙人の存在を考える前に宇宙生物の存在について考える必要があります。

Q-1.宇宙生物は存在すると思いますか?

これに対してはこうお答えしておきましょう。

A-1.宇宙生物は存在するだろうと思います。

そもそも無機物の世界から最初の単細胞生物が誕生する確率ですらめちゃくちゃ低いそうです。
フレッド・ホイルはそれを10の4万乗分の1と計算し、
「がらくた置き場の上を竜巻が通過し、その中の物質からボーイング747が組み立てられる」
のと同じくらいの確率だと言ったそうです。
ただ彼はだからこそ、むしろ生物は地球上で発生したのではなく、
宇宙のどこかで発生して進化を遂げ、胚珠によって宇宙全体に広まったという仮説を唱えました。
現代科学においても、生命は地球上で誕生したのではなく宇宙で生まれ、
隕石か何かに付着して地球上にもたらされたのだという説が主流になりつつあるようです。
『ジュラシック・パーク』 で有名なマイクル・クライトン『アンドロメダ病原体』 という小説で、
地球外生命体との遭遇というテーマに関して、
人はつい宇宙人との出会いを想像してしまいがちですが、それよりもはるかに大きな確率で、
地球外微生物や病原菌などとの接触の可能性があることを描いています。
そう考えてくると、宇宙に生物がいてもおかしくないどころか、
むしろその可能性のほうが高いような気もしてきます。
さて、ではそうした地球外微生物が進化を遂げて、
知性を持った地球外生物、すなわち宇宙人もまたどこかに存在しているのでしょうか?

Q-2.宇宙人はいると思いますか?

これは一気に難しい問題です。
まあどう思うかだけ答えればいいようですので、こう答えておきましょう。

A-2.人間以外に知性を持った存在者が宇宙に存在する確率はものすごく低いと思いますが、
    宇宙の広大さとその歴史の長さを考えるならばいてもおかしくないのではないかと思います。

私が研究しているカントは、地球以外の太陽系の惑星のどこかに知性をもった存在者がいると信じ、
全財産を賭けてもいいと豪語していました。
現代の私たちは地球の外の惑星のことを探索することができるようになり、
太陽系の惑星に宇宙人が住んでいないことは明らかになりました。
そんな近くには当然いないでしょう。
しかし、宇宙はこれだけ広大で歴史も長いのですから、その無限にも近い空間と時間のどこかで、
進化の過程で地球人以外に知性をもった存在者が誕生していてもおかしくないと思うのです。
全財産を賭けるほどの度胸はありませんが、
まあ宇宙人はいつかどこかにいたのではないだろうかと思うのです。

これで質問にお答えしたことになるとは思いますが、
実は質問者には、実際には問いとして発してはいないけれども、
本当は聞きたかった (あるいは、本当は聞くべきだった) もうひとつ別の質問があったのではないでしょうか?
それはこれです。

Q-3.宇宙人に会えると思いますか?

たんに宇宙のどこかに宇宙人がいるかどうかではなく、
その宇宙人に会えるかどうかのほうが重要な問題だったのではないでしょうか?
実際にはこの質問はいただいていないわけですが、
ついでですのでこれにもお答えしておきましょう。

A-3.私たち地球人は宇宙人には会えないと思います。

先ほど私は、無限にも近い空間と時間のなかだからこそ宇宙人がいるにちがいないと書きました。
ということは、宇宙人がどこかに存在するとしても、
それは地球とははるかに離れたところであるにちがいありません。
そんな無限とも言えるほど遠く離れたところに宇宙人がいたとしても、
そんな彼らとどうやって会うことができるのでしょうか?
私たちのほうから行くにしても、向こうから来てくれるにしても、
いずれにしてもまず無理ではないでしょうか。
どうやって探したらいいかという問題もありますし、
たとえ見つかったとしてもそこまで行き着けるのかという問題もあります。

さらに問題なのは、時間に関しても無限に近い幅があるということです。
宇宙ができたのが138億年前、地球ができたのが46億年前、
地球ができてから現在までを1年として換算すると (地球カレンダー)、
人類の誕生は12月31日の23時37分頃だそうです。
人類が誕生してからまだ30分も経っていないのです。
宇宙人たちの歴史もそんなに長いものではないでしょう。
しかも、知性をもった生物の歴史がそんなに長く続くとも思えません。
ホモ・サピエンス以外の原人や旧人がことごとく滅びてしまっていることからしても、
知性をもっているからといって長い繁栄期間を誇れるかというとけっしてそんなことはなく、
昨今の日本や世界の様子を見ていても、
知性をもっているがゆえに愚かな選択をして短命に終わりそうな気配がぷんぷん漂っています。
とすると、地球人の生息期間と宇宙人の生息期間がぴったり重なるのも難しいでしょう。
同時期に生息していなければ、たとえ互いに存在していたとしても出会うことはできません。
もちろん、同時に生息していたとしても、互いにたどり着けるかどうかもわからないのです。

というわけで、たとえ宇宙人が存在している (存在していた) としても、
地球人と出会える確率はめちゃくちゃ低いだろうと思うのです。
ましてや宇宙人が本当に存在している (存在していた) かどうかもわからないわけです。
そう考えると地球人が宇宙人に会える可能性はほとんどゼロに近いと言わざるをえないでしょう。
私はUFOの目撃証言を否定するものではありませんが、
それは、UFOという言葉がたんに 「未確認飛行物体」 という意味しかもたないからです。
ですからUFOを見たという人はたしかに、
正体を確認できない空を飛んでいるように見える何かを見たのでしょう。
ただそれが、宇宙人の作った空飛ぶ円盤であるとは私にはまったく信じられないのです。
宇宙人との遭遇なんてとても夢のあるお話ですが、
なかなか現実はそう上手くはいかないでしょう。
宇宙人との出会いに期待を寄せるよりも、
地球人どうし殺し合わずに共存していくことを心配したほうがいいかもしれません。
ひょっとして何万年か後にどこかの宇宙人が地球にたどり着いたとき、
核戦争で地表がすべて破壊し尽くされていたり、
核廃棄物による放射線に覆われて巨大化したゴキブリばかりが跳梁跋扈している、
なんていうことになっていないことを切に願います。


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