すでに18年になる。ペルーのクスコで骨董ガラクタ入り乱れて商っているテント小屋の店で見つけた諸尊仏がんを書棚の上に安置させていただいている。
植物紋様の美しさといい
そろそろお手入れしなきゃと数年ぶりに手にしてホコリを払いこびりついた汚れを取る。金属製の蝶番を外して重曹とアルミに熱湯を注いで錆を取る。
銀のブレスレットはこんなに綺麗になったのにこの蝶番おそらくニッケルだろうが黒ずんだ錆がなかなか取れない。
リューターを駆使してなんとか取る。蝶番といえどもいいものを使っているのだ。
すみずみの汚れを取っていて改めて細部をながめる。観光客目当てのフェイク骨董 ではないとの思いが確信に変わってきた。
材質は非常に硬質の人工樹脂だと思うが不思議なのは中が空洞なのだ。人工樹脂だとどんな手法で内部を空洞にできるのか。流し込んだ樹脂にどうして空洞を作れる?どう考えても不可能だ。
中が元々空洞の素材といえば象牙や水牛の角が思い浮かぶが形がそれにしてもしっくりこない。
諸尊仏がんだから諸尊が30体近く掘り込まれている。とても硬い材質にシャープに精巧に彫り込まれている。それぞれの仏や天邪鬼が実に良いお顔をしていらっしゃる。
観光客相手のフェイクでここまで力を入れて彫らないと言い切れる。きっと腕の立つ仏師が心を込めて彫ったに違いない。
底に乾隆年製と彫られているのも名物をカタるフェイクくさいのだがそれにしても年代を感じさせるこの彫りようだ。乾隆年製が本当で有れば3万円で買えるわけがないがそれにして彫りの品が良いのだ。
植物紋様の美しさといい
謎めいたこの諸尊仏がんだが尊い仏たちであることは確信できた。さあ次はどこに持ち込んで謎を解いてもらおうか。