○ コーポレート・ガバナンス(企業統治)とは、どのような形態で企業経営執行者の業務執行を適正に行うかの仕組みであり、取締役会とかあるいは監査役という機関を置いて、企業経営を監督・監視する仕組みを設け、かつその機能を発揮せしめるかの問題ですが、不正行為の防止・業務執行の健全性の観点だけでなく、最近は企業経営の効率化の推進、収益性・競争力の向上の観点からも、適正なガバナンスのあり方について、世界的な規模で様々な試みがなされています。米国企業や日本企業の内部統制などもこういった試みですね。
○ 今回は、中国企業の監事、即ち日本企業流に言えば監査役の機能についてです。大規模な有限公司の場合は、3人以上で組織される監事会を設けますが、中小規模の公司の場合は監事会を設けず1-2人の監事を、持分保有者(社員)総会で選任します。
監事の任期は、3年と法定されています。忠実義務はありますが、どうも競業避止義務は法定されていませんが、忠実義務に含めていいかもしれません。監事の職責は以下ですね。
・財務状況・諸表の検査
・董事・経理の法令・定款違反の監視&違反董事・経理に対する解任意見の提出
・董事・経理に対する会社の損害回復の請求
・董事会が開催されない場合には、董事会会議を招集し議長となる。
・持分保有者(社員)総会・株主総会の開催の提案
・定款にその他の権限を定めたときは、その権限を有する。
○ 中国の会社の監事の機能は、日本の場合よりもきちんと規定されていますね、しかし実態はどうなのでしょうか。まあ、実態は日本の企業の監査役よりもひどいですね。
現実は、監事がいることさえも失念して、董事会を開催しますね。監事は、名誉職でもなく、登記事項ですから、登記のときに名義貸しして、それっきりというのが多いようですね。中国企業でも監事は日陰者ですね。私は、中国企業で監事が、いろいろ監査したということを聞いたことがありません。どなたかご存じだったら教えてほしいですね。
○ 尚、会社の計算については、会計年度終了後財務会計報告を作成し監査を受けなければならないことになっています。監査は、監事ではなく、公認会計士が行います。